安売りし過ぎて大丈夫?カプコン、11年連続増益の秘訣に「旧作セール」モンハン1作品だけで3ヶ月100万本を販売


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ゲーム開発などを手掛けるカプコンは2024年に発表した通期業績において、過去最高益を更新し、実に11期連続の営業増益を記録している。本年度は新作展開が少なく、現時点での業績進捗率は半分程度だが、今月末に「モンスターハンターワイルズ」が控えており、挽回を目指している。

そんななか、直近2月に公開された第3四半期の決算において、同社が近年力を入れる「旧作リセール」が伸長していることが明らかになった。4-12月期間での販売本数の報告によると、新作は191万1千本と前年同期比で67.6%減少した一方、リセールは7.2%増の2861万9千本で、「旧作タイトルの積極的な販売」の成果が現れた。

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公式が公表したタイトル別の販売本数の報告によると、「モンスターハンター:ワールド」が本年度(4-12月)で279万8千本、「モンスターハンターワールド:アイスボーン」は233万2千本、「モンスターハンター:ライズ」が205万6千本、「バイオハザード RE:4」が204万9千本を記録。

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旧作リセール状況(第3四半期時点)
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旧作リセール状況(半期時点)

特に同社の看板タイトル「モンハン」シリーズは新作「ワイルズ」の販売を前にその強さが顕著で、前回公表数値からの比較、つまり3ヶ月間では「モンスターハンター:ワールド」は103万本も増加していた。(マスターエディション販売分含む)

最大60%OFFも珍しくない、大型セールが貢献

過去の動向によると、同社は「お正月」「お盆」といった長期休暇の期間に旧作タイトルを一挙に値下げするセール・キャンペーンを展開し、大きく数を伸ばしている傾向にある。現に直近の年末年始には「2024年最後、そして最大規模」と銘打ちCAPCOM HOLIDAY SALEを開催。「バイオハザード」「ドラゴンズドグマ」は最大40%OFF、「ストリートファイター6」は50%OFF…などなど大盤振る舞いだった。

これらの施策はゲーマーにとって嬉しいこと極まりない一方、個人投資家などからは「低価格セールを定期的に行うのは恒常販売の買い控えに繋がるのでは」「利益面での影響はないか」との声も挙がっていた。しかし、この心配に対し、カプコン側は2023年時点で以下のように回答した。

Q. 昨今の好業績は、旧作を積極的に値下げして販売本数を拡大していることによるものだと思いますが、値下げによって利益が圧縮されるデメリットはないのでしょうか。

A.ゲームソフトのデジタル販売では、パッケージや説明書、ディスクの製造などによる原価がほぼ発生しません。そのため、仮に 7,000円で発売を開始したものであっても、開発コストの償却後であれば、1,000円で販売しても十分な利益が得られます。デジタルで販売する商品を充実させ、ユーザーの皆様に幅広い価格帯でコンテンツを提供することで、様々なユーザー属性、幅広い国・地域で購入いただける環境は、当社にとって大きな機会だと考えています。(原文ママ)

旧作リセールについては今年3月末までにさらに1000万本ほど伸ばし、3700万本の販売を見込んでいる。ここには年末年始セールの新年分も含んでおり、見込まれる「モンハン」新作のヒットとともに12期連続増益を目標としている。

©CAPCOM

著者 編集部 経済・社会担当
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