企業系ゲーム攻略サイト、ソニー系協業で「決済」に挑む “Apple税”規制法受けアプリ外課金を推進
国内大手ゲーム攻略サイト「Game8」を運営するゲームエイトは本日23日、ソニーペイメントサービスとの協業でモバイルゲーム分野の新たな決済サービスを提供する「株式会社S8 Plus」を設立し、事業開始を発表。同日に設立記者会見を行った。
本合弁会社の設立は、昨年6月に可決された「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」を受けてのもの。新会社では事業の中核として、攻略記事からシームレスに課金できる記事内「アプリ外課金」システムを開発するとしており、情報収集から購入まで一連の流れをスムーズにする狙いを明かした。
現在、AppleのApp StoreやGoogleのPlayストアでは、アプリ内課金の売上から約30%が手数料として徴収される(小規模事業者は15%)。この料率が極めて高いことから、しばしば開発企業からは「Apple税」と称されている。今回の「アプリ外課金」は、ゲームサービス外のWebサイトにおいて、決済機能を提供することで、より低い手数料でアイテム購入が可能になる。
業界全体に貢献できるように 代表取締役が狙いや背景明かす
記者会見に出席した沢村俊介 S8 Plus代表取締役社長兼ゲームエイト代表取締役社長はこの取り組みについて、EpicとAppleが係争に発展していた4年前からこの環境に興味を持っていたとして、法案が設立された半年前から始めたものではないと明かした。近年、モバイルゲーム市場の競合が激化するなかで、プラットフォームの手数料はこれまで以上に無視できなく、パブリッシャー側の負担につながっていると説明。
法案設立の後押しもあるなかで、S8 Plusを通じて「ユーザーの課題解決と業界の発展に貢献する」と話した。将来的にはアプリ外課金の導入支援パッケージを提供する計画もあるとしたほか、攻略サイトならではの販路を活かしたゲームダウンロードキーの販売も視野に入れており、新規ユーザー層へのアプローチを強化する方針を示した。
また、新会社の資本構成はゲームエイトが60%、ソニーペイメントサービスが40%となっているが、この比率について沢村氏は「ユーザー体験の向上が非常に重要。ジョイントベンチャーとして協業し、両者が互いにコミットすることがベスト」と説明。具体的な手数料に関しては「30%にはならないが、現状はお伝えできない」とした。
同様の取り組みは同業他社であるゲーム攻略サイト「GameWith」などを見せている。こちらもGame8と同様に、課金意欲の高いユーザーが多く集まる攻略サイトの特性を活かし、低コストでの実装が可能な仕組みを採用するとしているが、競合激化における手数料引き下げ競争は起こるかと問われると、単純な手数料費用だけでなく、マーケティング費用も含めての検討が重要だと回答した。