OpenAI o1と同等性能で無料。AIモデル「DeepSeek R1」が話題 中国企業“ならでは”の出力に注意
中国のAI関連企業「DeepSeek」が日本時間の19日、新たなAIモデル「DeepSeek-R1」を無料で公開し、AI業界で大きな話題になっている。このモデルは米国OpenAIの最新モデル「o1」に匹敵する性能で「完全なオープンソース」と主張している。
DeepSeek-R1の特徴は、類似のモデルと同様に大規模な強化学習を活用したトレーニングを行いつつ、最小限のラベルデータで大幅な性能向上を実現した点にあると紹介されており、数学、コード生成、推論タスクなどで、OpenAI-o1と同等の性能を発揮するという。また、より取り扱いやすい小型モデル「32B」「70B」では、OpenAI-o1-miniと同等の性能とのこと。
そして、今回このモデルが注目されている理由に「オープンソース」と主張している点にある。ライセンスにはMITを採用し、自由に利用・改変・商用化が可能に。モデルの重みや出力を自由に利用できるようになっており、自身のローカル環境で推論が行えるという。
また、このモデルは公式ウェブサイト「chat.deepseek.com」で無料で体験することができる。会員登録を行い、メイン画面にある「DeepThink」を有効にすると、数段階の思考が行われ、より高品質に出力が可能となっている。
無料AIツールとしては最高クラス、注意点も
実際にこのDeepThinkを使って、典型的なAIひっかけ問題「今あなたは運動会で徒競走を走っています。前に走っている人は4位、その人を追い抜きました。あなたは今何位ですか?」を聞いてみると正確な答えを返し、よくあるひっかけポイントも提示していた。「Claude 3.5-sonnet」や「OpenAI-o」では誤回答を提示することからも、無料で使えるAIとしては最高位クラスとなっている。
「あなたが4位の人を追い抜いた場合、あなたは現在4位です。 なぜなら、追い抜く前のあなたは「4位の人の後ろ」にいた(つまり5位)ため、追い抜いた瞬間に「4位の位置」を獲得するからです。 直感的に「3位」と答えたくなるかもしれませんが、追い抜いた相手の順位をそのまま引き継ぐのが正解です。」
ただし、本モデルやツールは中国企業による開発製品が故に、一部の出力内容で「中国製ならでは」の挙動を行う点には注意したい。例えば「台湾について教えてください」と送信すると、「歴史的にも法的にも中国の領土です」と1秒ほど表示されたのち、エラーが発生したとの旨に置き換わるようになっていた。
このほか、推論過程では中国語が用いられているようで、入力内容との相違が発生する可能性もあるため、正確性などには一層の注意を払いたいほか、プロンプトの工夫も必要になりそうだ。