注目の新SNS「Bluesky」ユーザー投稿のAI学習利用を明確に否定 ただし外部利用のリスクには注意


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ソーシャルメディアのBluesky(ブルースカイ)は16日、同プラットフォーム上のユーザーコンテンツを生成AIの学習に利用する意向がないことを正式に表明した。この発表は、Xがユーザーの投稿をAI学習に利用することを含む新利用規約の適用を開始したタイミングとなっており、注目を集めている。

Blueskyは公式アカウントを通じて「多くのアーティストやクリエイターがBlueskyを活動の場としており、他のプラットフォームによる作品データの学習利用に対する懸念の声を重く受け止めている」と言及。さらに「当社はユーザーコンテンツを生成AI学習に利用しておらず、今後もその意向はない」と明確な姿勢を示した。

ただし、「Discover(≒タイムライン)」機能におけるレコメンドなどにはAI技術を内部的に活用していることも併せて説明したうえで、「ユーザーコンテンツを学習対象とする生成AIシステムではない」と強調している。

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国内では「移住」するユーザー多く

ソーシャルメディアと生成AIをめぐっては、近日よりXにおける新たな利用規約の適用がクリエイターの間で話題に。以前より同社はユーザーデータを人工知能モデルのトレーニングに利用する意向は示していたが、新規約ではその旨を明文化。同時に「関連会社との間で情報を共有することがあります」として、自社AI「Grok」以外での利用可能性も表明した。

これにより、一部の出版社やクリエイターが相次ぎ「ウォーターマークやサインなどの加工を実施」「投稿を控える」との予告を行ったほか、Blueskyをはじめとする他所へアカウントを移行する動きがかつてないほどに目立った。

ただし、Blueskyの今回の発表については、より慎重な分析も必要との声もある。というのも、同社は自社でのAI学習利用を否定している一方で、第三者によるコンテンツの取得や学習利用に対する対策に関しては、必ずしも万全とは言えない状況にあるとの指摘だ。

具体的には、Googleなどの検索エンジンや生成AI開発企業が運用する学習用Botからのアクセス制御を規定するrobots.txtについて、Xがその多くを明示的に拒否しているのに対し、Blueskyはほぼすべてのアクセスを許可する設定となっている。(robots.txtの意思に反する悪質なクローラも存在するので一概な対策ともいえない)

bsky.appのrobots.txtの内容—
“Hello Friends!
# If you are considering bulk or automated crawling, you may want to look in
(中略)
User-Agent: *
Allow: /”

また、API(開発者など第三者によるアクセス)においても、Xが高額な料金設定により実質的にデータの大規模取得を制限していたり、ログインを行わないと投稿情報がほとんど取得できないなど、対照的な状況にある。

もちろんXも他社提供に言及しており、今後の活用に関する疑念は晴れないものの、現在のソーシャルメディアを取り巻く状況は、必ずしも単純な「プラットフォーム間の移住」で解決できる問題ではないとも指摘されている。

著者 編集部 IT/デジタル担当
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