新BS局「BS10」誕生の背景に「観てもらえない」「赤字も出た」ジャパネットが“ザッピング実現”の苦労明かす


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全国無料のBS放送局「BSJapanext」と映画専門有料チャンネル「BS10スターチャンネル」が1月10日(金)付きで合併。BS10へチャンネルポジションを変更し、新しく「BS10(ビーエステン)」が誕生した。開局にあたり、開局記者会見が開かれ、はじめに、ジャパネットホールディングス代表取締役社長 兼CEOの髙田旭人氏が経緯や今後の取り組みを語った。

「ほとんどの人は、通信販売の会社だという印象が強いと思うが、実際のグループ会社は16社で、通信販売事業4社、長崎・佐世保地域でのスポーツ地域創生事業の2つの柱に加え、旅行事業、イノベーション事業、コミュニケーション事業があります」そう説明した高田氏。現状では、グループの売り上げ2,680億円のほとんどが通信販売事業だというが、そこに「コミュニケーション事業」として今回テレビ局が入ってくることで「100億を目指す会社になると思います」と事業の取り組みについてアピールした。

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今後は100億目指すBS10、ポジション変更の苦労を語る

そしてBS放送事業に参入する意義については、2022年3月からBSのテレビ事業に「BSジャパネクスト」として参入してからこれまでの経緯を明かし「2年と少しやっていて、いい番組を作ってもなかなか観てもらえない難しさを実感していた。アプリを作り、40万ダウンロードから180万ダウンロードと数を伸ばし、アプリでも観られる環境も整えたがそれでも難しく赤字も出た」とテレビ事業の厳しさを吐露。

「このままだといくら想いがあっても続けられない、撤退するか進むのか、協議を重ね、その時、リモコンの中にあるチャンネルボタンに移行できないか、ということになり、BS10チャンネルにあった『スターチャンネル』の親会社である東北新社さんにお願いして半年ほど交渉を重ね、友好的にM&Aをすることができました」と経緯を明かした。

また「この過程は本当に難しく、チャンネルを(別のチャンネルに)移すということは過去に実例がなかったが、総務省の皆様や各種業界団体の皆様に前向きに協力いただきたどり着けた」と新事業の立ち上げを振り返った。

そして、「テレビは魅力的で良いものであるものの、最近はインターネットやSNSなどに押されていることは実感している。その中で、例えば若い人や子供たちが、インターネットやSNSで自分たちの好きな情報だけ選んでいることが当たり前になってきていて、新しい情報に触れる機会がないことを個人的に危惧しています」と思いに触れ、「もっと知れば楽しい世界や、新しい趣味や新しい考え方が得られるTVに向かっていきたい」とB参入に込めた思いを語った。

続いて、ジャパネットブロードキャスティング社長執行役員の佐藤崇充より、「BS10」の取り組みについて編成特徴や強化コンテンツについての発表がされた。

「通販だけではなく、映画・ドラマも」今後の展開方針明かす

これからの番組について、「(ジャパネットグループのため)通販のみのチャンネルだと思われているが、世の中に埋もれている良いものを見つけて磨いて売っていくというのは、通販だけではなく、映画・ドラマも一緒で、こちらもさらに磨いて売っていく。旅事業を通じた番組など、番組を通じて世の中にいいものを届けていきたいです。BS放送に乗せるだけだはなく、アプリで視聴者とつながることも、これからも大事にしていきたい」と力説。

また「スポーツについても力をいれていく」とし「配信も含めて面白いコンテンツが増えることは良いことだが、たとえば無料でスポーツに触れる接点をお届けして(その魅力が)広がっていくことにも非常に意義がある。そこを通じてスポーツ人口が広がることもあるし、ゴルフやバスケ、麻雀の対局など、生放送にもこだわって放送していきたい」と熱意を込めて語った。

ほかにも、50周年を迎える「パネルクイズ アタック25 Next」について、「番組のいい部分は残しつつ、リニューアルも行っていく」。映画は「『BS10』の無料チャンネルで(有料チャンネルの)『BS10スターチャンネル』と組んだ強みを出していきたい」

「スターチャンネルに加入したい方は直接契約ができる環境が本日から整っている。無料と有料のハイブリッドは前例がないが、放送業界に新しい風を吹かせていきたいと思っています」と言葉を結んだ。(※01/12 15:21更新…初稿時に一部表記違いがございました。訂正してお詫びいたします)

著者 編集部 IT/デジタル担当
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