格安“1円iPhone”は年末まで?量販店で目立つ「お急ぎください」規制強化前に駆け込み需要狙う


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年末年始商戦が本格的に始まり、家電量販店を覗いてみると「セール」「値引き」などの文字が目立つ季節に。なかでも、スマートフォンコーナーはその勢いがひときわ凄まじく、至るところで「お急ぎください」とガイドライン改正を前にした返却プログラムの駆け込み喚起が見受けられる。

都心のターミナル駅に隣接する大型家電量販店。店頭に入るやいなや、携帯キャリアや代理店の販売員が大きなポップを手に持ち出迎えてくれる。店内、そして店舗外を見回すとあちこちに「iPhone 16が3円×12カ月」「iPhone 15が1円×24カ月」との文字が目につき、例年よりも増してその数が増えている印象だった。

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ソフトバンクの場合はiPhone 16を月3円でレンタル…店舗外周に貼られた返却プログラムの紹介ポップ

「クリスマスまでに機種変を」促す量販店が多い背景

この動きの背景には、12月26日より施行予定の「スマホの割引規制に関するガイドライン(総務省公表)」の改正が影響する。大まかに取り上げると、これまで「24カ月24円」のように極端に安価な価格で設定されていた端末返却プログラムが今までよりも割引しずらい状況になるとみられる。

現在、ドコモやau、ソフトバンク、楽天などの大手キャリアは、一定期間の経過後に買い取りという体で返却することで、実質的に最新機種を格安でレンタルする「返却プログラム」が設けられている。しかし、先日公表されたガイドライン改正内容によると、そうした制度利用時の免除額に規制が入ることになる。

「将来時点でしか金額が確定しない利益の提供に係る利益の提供額の確定の手続」
「将来時点でしか金額が確定しない利益の提供に係る利益の提供額の確定の手続」

たとえば昨年発売のiPhone 15(約15万円)をキャリア乗り換え+返却プログラム申し込みで契約する場合、現行制度で認められている最大約4万円の値引額を満額適用、24か月後に約10万円で端末を買い取り残債を免除することで、負担額を「1円×24カ月」とすることができる。プログラム利用料を含めても実質負担額は2万円を割り込むことも多い。

しかし、本改正では通信キャリアに対し、返却プログラム開始時に当該端末の「買取予想価格」と実勢価格の資料を総務省へ提出することなどが義務づけられることに。ここでの買取予想額は、一般社団法人が定める「端末販売価格」に残価率を乗じたものとしており、この予想額に極めて乖離する状況だと指導に及ぶ場合があるとしている。上記の例であれば、買取予想価格を半額の7.5万円とする場合、はじめ24ヶ月のレンタル価格は2,000円程度になるとみられる。

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この規制は特にiPhoneやハイエンド帯のAndroidといった高額端末ほど影響を受けやすく、改正後からはいわゆる「1円iPhone」が姿を消す可能性も。こうした状況から、年末を前に家電量販店での値引きラッシュや追い込みセールスが増えているようだ。現に「1円」と明記されたポップを見るとどれもキャンペーン期限は12月25日と書かれており、早期終了もあり得るとしている。

また、今回のガイドライン改正は必ずしも低価格なレンタルが無くなるわけでもないようで、現場の販売員からは「負担額の増加はキャリア次第ですね」「キャリア側が新たな策を生み出す可能性も」との声も聞かれた。ただし、国内のiPhone人気を鑑みると、影響は大きそうだ。

新ガイドラインで逆に割引額が増えるケースも少なからず存在

加えて、今回のガイドライン改正は必ずしも規制ばかりではない。たとえば、発売から3年が経った型落ちモデルの値引額が緩和されることが挙げられる。

具体的には、最終調達日から36ヶ月以上が経った端末が割引規制対象外になるというもので、現時点では「iPhone 13」などが在庫がある限り、一括1円以下で販売される可能性と見えてきた。ただ、3年前の型落ち機種となると在庫僅少あるいは終売している場合も多く、実際は年末年始を注視したいところ。

そしてもう一つの策として、総務省が推進する5Gの高速大容量規格「ミリ波」の促進を図るべく、ミリ波対応端末の割引上限が4万円から5万5000円に緩和されることも決定している。ただ、こちらは対応端末にiPhoneが含まれないなど、非常に限られたものであるため、恩恵は受けにくそうだ。

著者 編集部 IT/デジタル担当
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