【解説】地上波民放が相次ぎ“アニメ重視”の秋改編 テレ朝が土曜23時に新枠設立、「ドラゴンボール」のフジやTBSの強さ顕著に


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今日から10月がはじまり、地上波のテレビ局では各局で改編が相次ぐ時期になりました。アニメ分野では1年を4分割して春夏秋冬を「クール」として捉えるのが一般ですが、テレビ業界全体が年度下半期であるがゆえに、秋は特に動きが活発です。

各局がそれぞれ特色ある編成を打ち出すなか、ここでは深夜帯に放送が予定されているアニメの放送情報にスポットをあてて、特に注目されるポイントをチェックしてみましょう。

【テレビ朝日】「始まるの遅すぎ」問題是正か…23時台に新枠始まる

まずテレビ朝日から。テレ朝の大きな動きとしては、新たなアニメ枠「IMAnimation」を毎週土曜23時30分から、系列24局の全国ネットで立ち上げることが決まっています。

同社は2019年から同じ毎週土曜日25時30分より「NUMAnimation」と呼ばれる深夜アニメ向け枠を展開し、多数の人気作を生み出すなど一定の成果を上げてきました。しかし、放送開始時刻が遅いことから「いくら土曜日でも遅すぎる」という声も少なくありませんでした。

この声に応えるかたちなのか、この度新枠が設立され、その第一弾としてヌマニ枠で人気を集めた『ブルーロック』のTVアニメ第2期が始まります。同作からは今年春に映画化も果たしており、こちらもテレ朝系で地上波放送を今週行う予定です。また、これに続く第二弾には、秋田書店の人気作品『ババンババンバンバンパイア』のアニメ化が来年冬に控えています。

かくいうテレビ朝日は最近、アニメ事業に力を入れており、製作委員会への参画を積極的に行っています。特に今年冬に放送された『僕の心のヤバイやつ』では海外の映像販売で過去最高益を更新するなど成功事例が増えており、企業ポートフォリオの拡充を図っています。なお、朝日放送(在阪)も26時より「ANIMAZING!!!」を引き続き展開し、こちらも全国ネットで放送されます。

【日本テレビ】らんま1/2も!連続2クール原則で久々に新顔揃う

日本テレビでは、毎週金曜23時からの「FRIDAY ANIME NIGHT」枠が半年ぶりに新番組を迎えます。これまでの『転生したらスライムだった件』から、ジャンプ原作の「株式会社マジルミエ」へとバトンタッチ。お仕事×魔法少女作品で挑む予定で、朝の情報番組「ZIP!」でも特別コーナーが組まれていました。

日本テレビラインナップ

また、土曜日24時55分枠も半年ぶりに更新されます。これまで『ザ・ファブル』を放送していましたが、新たに『らんま1/2』の「完全新作的アニメ化」が予定されています。こちらは往年の名作というだけあって、ファンからの期待は厚いものがありますが、作品を知らない若年層もいるのが現状です。声優の続投といった「らんまらしさ」で既存ファンを取り込みつつ、Z世代に人気のアーティスト「ano」の起用などで新たな層の流入を狙っています。

【フジテレビ】「DRAGON BALL」新作で放送、知名度と期待で前進…フラアニ被りの可能性も

フジテレビの最大のアニメ関連トピックは、やはり「ドラゴンボールDAIMA」の放送開始でしょう。故・鳥山明先生が原作、ストーリー、キャラクターデザインを手がけた完全新作アニメシリーズとして、原作ファンの期待はとても高まっています。

放送枠は毎週金曜23時40分枠と決まり、日本テレビの「金曜ロードショー」に続く「フラアニ」と近い時間帯になります。フラアニは23時始まりですが、前番組の影響で開始時間が大きく前後することがあります。その点では、DAIMAのほうが原作の価値として一歩リードしているかもしれません。どちらも気になる視聴者の皆さんは、それぞれ録画や配信サービスを上手く活用したいところです。

【TBS系】「東名阪連携」でテレ東顔負けの強豪に…異世界からラブストーリーまで手厚くカバー

TBS系列では、在京のTBS、在阪のMBS、在名のCBCの三社が全国ネットでアニメ枠を共有し、各局が製作委員会にも参画するなど、存在感を強めています。

今期は毎週木曜にジャンプ原作の青春部活ラブストーリー『アオのハコ』や、人気原作のオカルティック青春活劇『ダンダダン』を放送します。特に『ダンダダン』については、MBSの編成局関係者が「鬼滅の刃」のヒットに続くような作品にしたいと意欲を見せており、自信作であることがうかがえます。

TBS/MBS

深夜帯だけでなく夕方帯にも引き続き展開し、日曜夕方4時30分からは『七つの大罪』の新作続編を、5時からは『シャングリラ・フロンティア』の第2期を放送します。これは今年の冬クールと同じ布陣となります。

CBCでは、前回好評だった「アガルアニメ枠」にて、今年春にも放送したラノベ原作『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる』の第2期を放送。次回冬クールも『キン肉マン』続編を控えるなど、TBS系の期待の新顔として注目を集めています。

【テレ東・TOKYO MX】製作参画進むキー局に押されるも支持なお厚し

テレビ東京では、20周年を迎えた『BLEACH 千年血戦篇-相剋譚-』を土曜日23時から放送します。その他、ゴルフアニメ『オーイ!とんぼ』の後半クールや『アイドルマスター シャイニーカラーズ』の第2期なども放送予定です。深夜帯ではありませんが、『アニメポケットモンスター』も新章を迎え、テレビ東京らしさあふれる3カ月となりそうです。

そして最後に、全国ネットではありませんが「アニメ強豪」であるTOKYO MXにも触れましょう。MXでは今秋、再放送を含め毎週50作品以上を放送予定です。MXは前記各局とは異なり、キー局ネットを持たない関東ローカル局で、製作参画も他局と比べると消極的です。

そのため、人気原作や注目作などが全国ネットに流れる動きがより顕著になっている一方で、キー局と比較して放送枠を比較的安価に買えることから、KADOKAWAやアニプレックスといった大手版権元の作品もしっかりと揃えています。

例えば『Re:ゼロから始める異世界生活』はその一例で、初回90分拡大版で10月2日より始まります。今はストリーミング全盛期であるがゆえに、前回夏クールの『【推しの子】』のように知名度がある作品は「全国ネット進出」をせずとも良い環境になっているのかもしれません。その他にも、日常系作品からラブコメ、異世界転生、動物もの、さらには「MFゴースト」のようなレース物まで、多数のジャンルをカバーしています。

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著者 編集部 経済・社会担当
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