英語圏VTuberグループ「ホロライブEN」2度目の全体ライブで見せた国境と次元を超えた盛り上がり――オフィシャルレポート公開
去る8月24日と25日の2日間、ホロライブの英語圏向けグループ「ホロライブEnglish」による北米でのライブイベント『hololive English 2nd Concert -Breaking Dimensions-』がアメリカ・ニューヨークのキングスシアターにて開催。1929年開業という歴史ある同所でのVTuberライブは初とのことで、注目が集まったイベントのオフィシャルレポートを紹介する。
2023年7月開催の『hololive English 1st Concert -Connect the World-』に続き、グループにとって2度目となっな今回の全体ライブ。ホロライブEnglishに所属するタレント15名が全員出演したほか、ホロライブより戌神ころね、星街すいせい、ホロライブインドネシアより、ムーナ・ホシノヴァ、こぼ・かなえるがゲスト参加し、ソロ曲、ユニット曲、カバー曲など2日間で延べ34曲を披露。次元、国境、あらゆる境界を越えて広がり続ける同所の人気を体現した。
ENユニット「Myth」で開幕、未発表曲の披露で沸く
DAY1公演のトップバッターを飾ったのは、ホロライブEnglish Mythの5人。森カリオペ、小鳥遊キアラ、一伊那尓栖、がうる・ぐら、ワトソン・アメリアは、Mythのユニット曲「ReUnion」を披露し、オープニングに相応しいパフォーマンスを披露。落ちサビ部分では5人が輪になって向き合い歌う場面もあり、Mythの特別な絆と輝きを確認できるオープニングとなった。
続いてはPromiseのIRySが、「Carbonated Love」を披露。“希望の歌姫”である彼女らしさあふれる力強い歌声だけでなく、パラパラ風の動きを取り入れた振り付けで会場を沸かせる。そんなギラついた世界観から一転、“カワイイ”に溢れたステージングでファンのハートを射抜いたのが、Adventの双子コンビ・FUWAMOCOことフワワ・アビスガードとモココ・アビスガード。ふわふわな尻尾を振りながら電波ソング調の「Born to be “BAU”DOL☆★」を披露し、キュートな歌と踊りで会場から盛大な“BAU BAU”コールを引き出す。
FUWAMOCOの2人によるMCで再度会場を沸かせた後、今度はPromiseの七詩ムメイとセレス・ファウナが未発表の新曲「It’s Not a Phase」を披露してのコラボ。パンキッシュなエモロックと2人の柔らかな歌声とのコントラストが新感覚な1曲に仕上がっていた。そして、今年8月に3Dモデルをお披露目したばかりであるAdventのシオリ・ノヴェラは「world.execute(me);」(Mili)をカバー。神秘的な曲調が彼女のクールな歌声と相性抜群、公の場でライブを行うのは今回が初めてにもかかわらず、自身の個性がしっかりとアピールされており、タレント力の高さが見て取れた。
歌ってみた動画などで人気の高い柊キライのボカロ曲「ボッカデラベリタ」のカバーで歌の引き出しの多さを誇示したのが、Promiseのオーロ・クロニー。がなるようなアプローチから艶やかなファルセットまで、多彩な声音で楽曲のダークな世界観を表現する。
そして次の曲へ行く前に、ここでステージセットが変化。先ほどまでのキングスシアターの内装に合わせたクラシカルなものから、ニューヨークの街並みをモチーフにした現代的なものに様変わりする。今回のライブでは「The Past(過去)」「The Present(現在)」「The Future(未来)」という3つのステージコンセプトが設けられており、ライブの進行に合わせてセットが切り替わっていく趣向だ。
そのネオンが光る都会的なステージに降り立ったのは、一伊那尓栖、がうる・ぐら、ムーナ・ホシノヴァ、星街すいせいの4人。ポージングしながら颯爽と現れた彼女たちの姿に会場が沸くなか、星街すいせいのリードで2024年のVTuberシーンを代表する彼女のヒット曲「ビビデバ」を歌い始めると、歓声はさらに大きくなり熱狂の渦に包まれた。ホロライブ、ホロライブインドネシア、ホロライブEnglish、それぞれのタレントたちがダンスしながらスタイリッシュに歌う姿は圧巻だ。
続いて、小鳥遊キアラ、七詩ムメイ、ネリッサ・レイヴンクロフトがエレクトロニックなダンスポップ「Beyond the way」を艶やかに歌い上げると、今度は小鳥遊キアラが自身のソロ曲「Pineapple」で会場をトロピカルなムードに一新。“so sweet”な歌声でファンを魅了しつつ、ポップに弾けた“Pineapple(パイナップル)”のコールを誘って、オーディエンスのボルテージを引き上げていく。
ステージ転換で多様なパフォーマンスを繰り広げたDAY1
そしてIRyS、セレス・ファウナ、オーロ・クロニー、七詩ムメイ、ハコス・ベールズの5人からなるPromise全員が登場し、今年6月に発表されたばかりのユニット曲「Our Promise」をライブ初披露。リッチなオーケストラサウンドと伸びやかな5人のハーモニーが、悠久の時を経ても色あせることのない“約束(Promise)”への想いを描き出す。続いてセレス・ファウナがソロで歌ったのは、ジャパニーズシティポップの名曲「真夜中のドア~Stay With Me」(松原みき)。ファウナの憂いを帯びたボーカルも素晴らしいのはもちろん、サビで観客が大合唱するほど、海外でもこの楽曲が浸透しているようだ。
そしてステージが近未来風の装いにチェンジすると、ワトソン・アメリア、古石ビジュー、フワワとモココが登場して魔法少女ソング「ふしぎ・プルプル・プルリン・リン!」(宍戸留美)を夢と可愛さいっぱいにパフォーマンス。この楽曲はアメリアが2022年に行われたホロライブの全体ライブ『hololive 3rd fes. Link Your Wish』でソロ歌唱したものだが、かわいい後輩たちと共にニューヨークで再度披露することとなった。
次に登場したのは、オーロ・クロニー、こぼ・かなえる、戌神ころねのリージョンを跨いだコラボレーションで、こぼのソロ曲「HELP!!」を披露。ラップパートも織り交ぜたクールな楽曲をシックに乗りこなす3人のバランスが絶妙だ。日本ではサメちゃんの愛称で親しまれているがうる・ぐらは「ワールドイズマイン」(Supercell)をソロで歌唱。“世界でいちばんおひめさま”というフレーズや“Ahhhh!”とかわいらしく吠えるパートなど、まるで彼女のためにしつらえたようなマッチングぶりで、初音ミク好きの彼女らしいナイスな選曲。
ライブのクライマックスに向けて、この日の最高潮とも言える盛り上がりを見せたのが、CHADCASTこと森カリオペ、IRyS、ハコス・ベールズのトリオに古石ビジューを加えた4人による「BLUE CLAPPER」のカバー。ホロライブ5期生がhololive IDOL PROJECT名義で歌うこの楽曲は、タイトル通りクラップパートをたっぷり含んだライブの定番曲で、歌詞は日本語ながら海外のファンにも馴染みは深いようで盛大なクラップ音が会場に鳴り響く。
そしてライブはついに最後の楽曲へ。ステージ後方がせり上がると、登場したのは、ホロライブEnglishのメンバー15名。この日の本編ラストを飾ったのは、もちろん今回のライブに向けて制作されたテーマソング「Breaking Dimensions」。歌詞にはMyth、Promise、Adventの各ユニットの名前や楽曲のフレーズが織り込まれており、15人がソロパートを歌い継ぎながらひとつの楽曲へと昇華していく。
だがDAY1公演はここで終わらなかった。観客の熱狂的なアンコールに応え、物語の続きが始まる。スクリーンに映し出されたのは、ホロライブEnglishのメンバーたちの過去を振り返るスペシャルムービー。彼女たちとの思い出の日々が胸に去来するなか、「Together to the future」というメッセージが映し出され、再び15人がステージに立つ。DAY1公演の本当のラストナンバーとなったのは「Connect the World」。
ホロライブEnglish初の全体ライブ『hololive English 1st Concert -Connect the World-』のテーマソングにして、最初の全体曲だ。作編曲はホロライブ初の全体曲「Shiny Smily Story」と同じ中野領太が手がけたこともあり、同曲のフレイバーを含んだ華やかなメロディーと開放的なサウンド、メンバーたちの希望に満ちたユニゾンボーカルが、会場だけでなく配信を通じて世界中の気持ちをひとつにコネクトしていく。彼女たちとの未来が明るいものであることをすべてのファンに確信させて、DAY1公演は終幕した。