サンライズオリジナル『ゼーガペイン』新作劇場版、舞台・舞浜で「リセット祭り」開催…スタッフ&キャストの貴重秘話連発
サンライズ制作によるアニメプロジェクト「ゼーガペイン PROJECT REUNION」新作劇場版新作『ゼーガペインSTA』について、8月16日(金)の公開を記念した特別トークショーイベントが去る8月31日、開催された。
『ゼーガペイン』は、2006年4月から9月までテレビ東京ほかにて放送されていた、サンライズ制作のオリジナルテレビアニメーション作品(全26話)。緻密な世界観設定に基づくストーリー展開、複雑に絡み合う人間関係、3DCGで描かれた光り輝く半透明な装甲を纏ったロボットによる華麗なバトルアクションなどが人気を呼んだ。そしてこの度、本作を基軸とする新プロジェクトより、新作劇場公開された。
本作は、TVシリーズと『ゼーガペインADP』を振り返る「レミニセンス編」と、TVシリーズ最終話のその先を描く「オルタモーダ編」の二部構成で予定されており、新規公開のキービジュアルにはキョウ、リョーコ、シズノ、ハル・ヴェルトらが描かれている。
作中の“リセット”に合わせて舞浜でイベント開催
その同作の公開を記念して、8月31日(土)に千葉県・舞浜のシネマイクスピアリにて「『ゼーガペイン』リセット祭り2024@舞浜サーバー」が開催された。2016年公開の前作『ゼーガペインADP』、そして『ゼーガペインSTA』オルタモーダ編の上映に加え、主人公ソゴル・キョウ役の浅沼晋太郎さん、ミサキ・シズノ役の川澄綾子さん、下田正美監督が登壇するトークショーを実施。テレビシリーズで舞浜サーバーがリセットされる8月31日に、作品の舞台となる舞浜で行われた。
盛大な拍手に迎えられて浅沼さん、川澄さん、下田監督が登壇し、浅沼さんが「舞浜の空はちょっと曇っていますけど、みなさんの心は『ゼーガペイン』を観たことで晴れていたらいいな」と、テレビシリーズ第25話のサブタイトル「舞浜の空は青いか」にかけた挨拶をして、トークショーがスタート。
8年ぶりとなる舞浜でのイベントということで、川澄さんは「『ゼーガペイン』に関わってから、自分にとって舞浜が特別な位置づけになった気がします。SF的な世界観なのに実在の土地が舞台で、舞浜を愛する人たちがいるからこの場所を守りたいという対比があって。それは実在する舞浜だからこそだなと、ここに向かうあいだに思いました」と舞浜愛を語った。
本イベントでは、前作『ゼーガペインADP』、そして公開中の『ゼーガペインSTA』オルタモーダ編を上映したが、これはこの2つを連続して観てほしいというスタッフのアイデア。その意図について質問された下田監督は、2作がほぼ同時進行で企画されていたことに触れ、「今回の『STA』はテレビシリーズの続きでありながら、『ADP』直結の続編として作らせていただいています。通して観ると、キョウVer. 1(『ADP』のキョウ)の生き様が完結する感じです」と説明。
テレビシリーズではキョウが記憶喪失で、もう1人のヒロインであるカミナギ・リョーコの存在感が増していく展開になるため、忘れられたシズノが切ない立場になったことが心残りだったそうで、「『ADP』を作らせていただいたときに、キョウVer. 1とシズノの決着を描かないと眠れなくなると思いました」と、本作に込めた強い想いを口にした。
一方、川澄さんは「テレビシリーズをやっていたときに、シズノが報われていないという感じはそんなにしていなくて。最後にキョウが思い出してくれただけで、シズノは十分だったんじゃないかなと思っていました。だから『ADP』で昔のキョウとシズノの関係が描かれて満足だったんですけど、まさかその先があると思っていなかったので、いいんですか?!という感じです」と、満面の笑みでコメント。さらに、「今から考えると、シズノはよく高校生をやっていたなって。高3にしては憂いがありすぎますよね(笑)」と話し、会場の笑いを誘った。
質問コーナーでは作品設定、アフレコ…貴重な裏話満載
続いては、事前にウェブサイトで募集した質問に答えていくコーナー。特殊な用語や難解な世界観設定を2006年当時はどうやって理解していたのかという質問に、浅沼さんは「ずっと監督や音響監督に質問していた覚えがあります。例えば、パソコンの中にデータが入っているけど、外にデータを掴んで持ち出すことはできないからUSBを挿す。このUSBがアルティールで……と言われて、“なるほど!”っていうのを繰り返していました」と当時を懐かしんだ。川澄さんによれば、浅沼さんはそうやって学んできた世界観や用語の情報を毎週キャスト陣に共有していたという。
また、今回新登場したメカニックについて聞かれた下田監督は、オルタモーダが搭乗するオルティックゼーガに関して、「まだストーリーが何もない状態のときに、原作者の伊東岳彦から“10年後のゼーガを作っておきたい”という話があって、そこから10年後にホロニックローダーはどうなっているのかと考えて開発が始まったんです」と制作秘話を明かした。
ここで浅沼さんから、アニメでさせたい動きからデザインを考えたのか、デザインが先にあってどう動くかを考えたのかという質問が。これに対して下田監督は、「『ゼーガペイン』ではまず世界観があって、そこで主人公たちが乗り込むためにはこういうギミックで、こういうデザインでなければいけないという……。主人公たちがもう死んでいるような状態なので、半透明でトランスルーセントな、儚い陽炎のようなロボットが美しいんじゃないかと。でも、デザイン自体は凶悪なんです」と詳しく解説した。
まだまだ質問コーナーは続き、「本編では描かれなかったものの、会話をしたり、対決するなど交流している姿を見てみたかった・描きたかったキャラクターたちはいますか?」という質問では、トガ・ヴィタールなどテレビシリーズにも登場するゲームのキャラクターの話題が出たり、「このキャラがガンナーだったら」といった想像が膨んだりして大いに盛り上がった。また、下田監督から「表に出していない設定で、テレビシリーズが作れそう」という気になる発言も。
「シマの印象を教えてください」という質問では、シマを演じる坪井智浩さんに関するトークが繰り広げられ、下田監督が「坪井さんは本当にゼーガを愛してくださって。“『ゼーガペイン』のアフレコ台本は全部残しておきます!”と言われたんですが、僕は心の中で“ありがとうございます。でもシマはあと数話で……。すみません”と思っていました」と暴露し、会場に笑いが巻き起こった。
最後に集まったセレブラントたちへメッセージ。下田監督は「こんな日が来るとは夢にも思っていませんでした。テレビシリーズから18年経って初めてお話することができた内容もあって、有意義な時間でした。これからも頑張っていきますので、応援よろしくお願いします」とコメント。川澄さんはテレビシリーズ第16話で舞浜サーバーがリセットされた8月31日をこうして共有できたことに感謝しつつ、「こうやって監督とお話するたびに、いくらでも『ゼーガペイン』のアイデアがあると知ることができて私自身もうれしいです。また何年後かに舞浜で会うことができたら」と今後の展開へ期待を寄せた。
そして浅沼さんは、「僕は『ゼーガペイン』を幻が形になる物語だと思っていて。18年前はまさかこんな風景が存在するなんて……というものが形になって、最初はプラモデル1つだったのにいろんなグッズが発売されて、感慨深いなと。この先のゼーガを、希望をもっていろんな形で応援していただけたらなと思っています」と客席を見回しながら伝えた。最後の締めくくりは、『ゼーガペイン』のイベントでは恒例となっている挨拶。川澄さんの「せーの!」の声に合わせて、観客を含めた全員で「エンタングル!」と叫び、イベントは幕を閉じた。
『ゼーガペインSTA』作品情報
2024年8月16日(金) 特別上映
ガルズオルムとの最終決戦――プロジェクト・リザレクション――を完遂したセレブラントたちは、世界各地の残存部隊との戦いを続けていた。
セレブラントとして舞浜サーバーを守った「ソゴル・キョウ」は、雪が降りしきる冬の舞浜で目を覚ます。
「ずっと夏にいた気がする……」
記憶の欠損に困惑するキョウだったが、そこに新たな脅威・オルタモーダが出現する。
自らをヒカリタツモノと名乗る「ハル・ヴェルト」はサブスタンスシェイドと呼ばれる未知の能力で襲ってくる。
AI「ルーパ」の助けにより、これまでの記憶をダウンロードしたキョウは光対装備で対抗することになるが、これは互いの世界と存在をかけた戦いのほんの序章に過ぎなかった……。
企画・制作:サンライズ
原作:矢立 肇,伊東岳彦
脚本:高山カツヒコ
キャラクターデザイン:山下明彦,鈴木竜也,田頭真理恵
ほか
ソゴル・キョウ:浅沼晋太郎/カミナギ・リョーコ:花澤香菜/ミサキ・シズノ:川澄綾子/マオ・ルーシェン:朴 璐美/ルーパ:久野美咲/メイウー:牧野由依/メイイェン:渡辺明乃/クリス:家中 宏/ミナト:井上麻里奈/ハル・ヴェルト:河西健吾/ギテン:寺島拓篤/セフト:寺崎裕香/ミルヒ:黒沢ともよ/バスフォータ:石川由依/シド:花江夏樹/トーヤ:杉田智和/ツクルナ:島袋美由利
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