ゲーム受託大手のトーセ、途上国の委託子会社を解散「技術力向上の遅れ」理由に1.5億円特損 赤字見通しなど苦境続く


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ゲーム受託開発大手のトーセ27日、特定子会社TOSE PHILIPPINES, INC.の解散および清算、ならびに札幌開発センターの閉鎖を決定したと発表。これに伴い、今後公表予定の8月期の連結決算において特別損失約1億2,100万円の計上を見込んでいる。

トーセは国内最大級の独立系受託開発専門企業として、これまで任天堂、ソニー、カプコン、バンダイナムコ、MIXIなど多数のゲーム関連企業と取引し、累計2,300本近い開発経歴を持つ。元請けから受託した開発は社内で行うほか、発展途上国に関連子会社を設け委託する「オフショア開発」も展開していた。

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しかし、この度TOSE PHILIPPINES, INC.の解散・清算を発表。解散の経緯としては、コロナ禍以降の営業赤字継続、技術力向上の遅れ、物価・人件費高騰による業績改善の見込み低下があるとしており、2028年の清算完了を予定する。

札幌拠点も先行き不透明により閉鎖に

また、オフショアではないが、国内開発拠点の一つだった「札幌開発センター」の閉鎖も決定。人材獲得競争激化による規模拡大の困難や開発効率向上の未達が要因で、2024年11月末頃に閉鎖を予定している。

この決定により、2024年8月期の連結決算において、TOSE PHILIPPINES, INC.の清算に伴う損失約1億500万円、札幌開発センター閉鎖に伴う損失約1,600万円の特別損失を計上する見込みである。

同社は本年7月4日に発表した第3四半期決算のなかで、業績の大幅な悪化が明らかになっていた。売上高は32億4,300万円(前年同期比27.6%減)、営業損益は5億9,900万円の赤字(前年同期は4億4,700万円の黒字)にのぼり、ゲーム開発事業における複数の案件の中止や、モバイルコンテンツ関連での開発遅延による売上減少があった。

当時、この業績悪化を受けて、トーセは今後の対策としてプロジェクト管理ルールの強化と徹底、海外顧客との商談機会の増加などを目標に掲げていた。自己資本比率は85%超え、44期連続の黒字決算という健康経営を続けてきたが、一転しての赤字決算見通しにより、その長期にわたる成長に変化が生じている。

著者 編集部 経済・社会担当
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