新版アニメ『狼と香辛料』エンディングは“ClariSならではの応援歌”異国情緒漂う魅力感じて―インタビュー


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テレ東系列にて毎週月曜日にTVアニメ『狼と香辛料 merchant meets the wise wolf』が放送中。この度本作にてエンディングテーマ「アンダンテ」を担当するアーティストユニット「ClariS」のオフィシャルインタビューが公開に。曲へ込めた思いから作品の魅力までたっぷりと語られている。

異国感あふれる曲調に「ピッタリ」作品は人生観にも通ず

──『狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』エンディングテーマが決まったときのおふたりのお気持ちを教えて下さい。

クララ:たくさんの人に愛されてきた『狼と香辛料』の新作でエンディングテーマを担当できることがすごく嬉しかったです。また、アニメのイメージや世界観が、今まで私たちが楽曲を提供させていただいた作品とはガラッと雰囲気が違うアニメだなと感じていました。だから私たちも「どんなエンディングテーマが歌えるのかな」というワクワク感がありました。

カレン:タイトルを見た時は『狼と香辛料』ってどういうことなんだろう?と思っていたのですが、実際に以前のアニメを見て「ああ、そういう意味なんだ!」と思ったと同時に、クララが話していた通り、今まで担当させていただいたことがないようなアニメでもありました。そのため、当時は「きっとこういう感じの曲になるんだろうな」というイメージは生まれたのですが、「ClariSの楽曲として落とし込んだときにどうなるんだろう」と。そのワクワクが第一にありましたね。

──「アンダンテ」はアイリッシュ音楽の特徴を取り入れた、異国の雰囲気漂う曲ですよね。

クララ:『狼と香辛料』も異国感があったのでアニメにぴったりな楽曲がきてすごく嬉しかったですし、私たちが曲を受け取ったときはもちろん、歌っていてもすごくワクワクどきどき、楽しい気持ちになるような曲に仕上がったなと思っています。

カレン:アイリッシュ感があって、それこそ現地の方が踊っているようなステップを踏みたくなる楽曲に仕上がりました。A、B、サビでリズムが違うことで、それぞれ違うステップを踏みたくなりますし、感情の起伏を表現しているような構成になっています。「旅をしていてもいろいろなペースがあるよね」ということも感じて、このアニメにすごくぴったりだなって。

──ホロとロレンスの旅を描いた歌ではあるのですが、おふたりの音楽の旅にも重なるように感じました。そこはどのように感じていましたか?

カレン:私たちは明確なゴールを決めていないんです。そこがホロとロレンスと似ているのかなって。「何があるか分からないから楽しい」という気持ちでふたりで活動していて。ハプニングと言うと大げさですけれども、旅の中でところどころにある予想していない出来事も楽しめたら良いよね、と思っているところは、ふたりの感覚と似ているのかなと思いました。

クララ:個人的には、カレンはホロっぽいなって感じています。カレンは旅にスパイスを与えてくれる存在なんです。私はわりと計画的というか、ある程度の決まった道筋の上を歩いていくタイプなのですが、カレンは「それも良いんじゃない?」「あんなこともしてみたい!」と、その場で思いついたことをどんどんと提案してくれるタイプで、旅がさらに面白くなる。そう感じることが普段からとても多いので、ふたりの関係性もちょっと反映された曲になっているんじゃないかなと思っています。

カレン:私は計画性ももちろん大事だと思うんですけれども、その時その瞬間にしか出会えない人や出会えないこと、そこでしか作れない思い出もたくさんあると思うんです。その分からないワクワクに飛び込んでいくことがすごく好きなんです。でも私の感性だけで生きていたら、きっととんでもないことばかりが起きていっちゃう(笑)。ゴールのないダンジョンというか。そこを楽しみつつも軌道修正してくれるクララの存在があるからこそ成り立っている旅なんだろうなと思います。そこもホロとロレンスっぽいのかもしれません。

軽快さが魅力引き立つ…二人の作る新たな化学反応

──カレンさんは「アンダンテ」を歌っている中で、おふたりならではの化学反応を感じる瞬間はありましたか?

カレン:歌声はまったく違うんですけれども、楽曲によって、ふたりで歌っている部分がひとりで歌っているように感じる部分があるんです。それはお互いに感じていることで。「アンダンテ」のようなゆっくり歌うテンポがあったり、タタタンッと軽快に進むリズムがあったりする楽曲は、ふたりの良さを引き出すのにもピッタリで。そういう意味では、クララの良さ、カレンの良さ、がすごく出ている楽曲だなと感じています。

クララ:ひとつの声に聴こえる、という感覚がより際立った楽曲だなと思いました。コーラスも含めてなのですが、今までになかったひとつの声が出来上がった気がしていて。今までもそう聴こえる楽曲の中に、ふたりそれぞれの良さ、合わさったときの良さを感じる曲がたくさんあったんですけれども、より親和性が高くなったというか。それと、温かみを感じるような歌になったんじゃないのかなって思っています。

カレン:ハートフルな曲だなと感じています。この楽曲って誰も急いでないんですよね。それでいて、誰も急かしていない。今自分が生きている中で、いろいろなことに追われすぎてしまって、もう明日のことを考えていて、「なんか生き急いでいるな自分」って思うことがあるんです。この「アンダンテ」を聴いていると、それが一回リセットされるというか。そういった意味でも、温かみを感じられる曲になっているんじゃないかなって思っています。“今”について考える時間が少なくなっている人ってたくさんいると思うんです。そういう人にこそ、聴いてもらえたら嬉しいなって。

──ClariSならではの応援歌とも言えますね。

クララ:そうですね。ClariSの歌で「頑張れ」と直接的に言うことはほとんどないんです。歌を通して「自分のペースでゆっくりでも良いんだよ」「一歩でも前に進めたら良いんだよ」って伝えているのが、ClariSらしさなのかなと思っています。ClariSらしい応援歌の新作ができたのかなと思っています。

──特に〈大丈夫 ゆっくり踏み出せるよ〉という言葉に、とても優しい響きが込められているように感じました。

カレン:それはきっとお互いそう思っているところがあるんです。クララに「大丈夫」って言われると、私も「あ、大丈夫なんだな」って思えるし、きっと私が「大丈夫だよ」ってクララに言ったら、きっとクララにとっても自信になる。だからこそ、この〈大丈夫〉という言葉にも説得力が生まれるのかなって思っています。

レコーディングでは新たな挑戦も

──レコーディングはいかがでしたか?

クララ:いろいろなテンポが組み込まれていて、ClariSとしての新しいイメージを持つ曲だなと感じたんですが、同時にどこか懐かしい雰囲気もあって。長年ずっと聴いてきたようなメロディやサウンドにも感じられて、違和感なく身を任すことができる楽曲だと思います。サビはリズム感があって、歌詞も弾むような部分があるんですけれども、最近の楽曲と比べると、A・Bメロは言葉数も音数も少なくて、より歌詞の意味やメロディが入ってきて。そこが新鮮でもありましたし、どうやって歌ったら伝わるかなというのは、曲をいただいた時にとても考えました。それもワクワクする要素でしたね。歌詞の意味一つひとつが伝わるように歌いたいなと思っていました。

カレン:曲の中にはタイトルの〈アンダンテ〉の他にも〈スタッカート〉〈クレッシェンド〉など音楽用語がたくさん出てきます。抱いている想いがオシャレに表現されていて、クララが話していた通りどこか懐かしさもあって、すんなりと心に響きました。ただ、いざ歌ってみると意外と難しくって。

耳馴染みの良さから「心地いいな」と思うんですけれども、歌ったことのないテンポだったので、サビの〈Step by Step 君のリズム感じて〉というところも「今まで自分の体験したことのないリズムだ」と。これをどう落とし込んでいけば良いんだろう、と模索しながら練習をしました。リズムを大切にしている楽曲だからこそ、ちょっとでもズレてしまうと「アンダンテ」の良さが無くなってしまうので、完成するまでは苦戦したところもありました。でも、クララの歌を聴きながら歌うと、自然とペースが合っていって。クララの声に引っ張ってもらいました。

クララ:久しぶりに時間の掛かったレコーディングだったんです。シンプルだからこそ、一つひとつの音・言葉の重さがあって、ニュアンスやリズムなど、意識するところも。

カレン:この楽曲はホロにも言えるし、ロンレンスにも言える、お互いの感情を表したものになっているんですよね。だからどちらに寄せるかというよりも、『狼と香辛料』というアニメの世界観に寄り添ったものになっていて。だからこそ、言葉に対する表情を歌声で表現していくのが大変なところもありました。

クララ:表情をつけすぎるとリズムが崩れてしまったり、リズムを意識しすぎてしまうと言葉の意味が伝わらなくなってしまったり……。そういった細かな表現には久しぶりに苦戦しました。イメージの中ではすごく歌えていたんですけれども(笑)。実際に声を吹き込んでみると「ちょっと違うかも」という部分が生まれてきて、そこは挑戦と調整を繰り返していきました。

──アニメをご覧になっている方に、ぜひフルで聴いてもらいたいですね。

クララ:Dメロ(パート)もすごく良いメロディなので、ぜひフルで聴いてもらえたら嬉しいです。

カレン:アニメをご覧になっていく間にどんどんと歌詞の意味が深まっていくんじゃないかなって。ふたりの関係性に結びついてくるような言葉が散りばめられているので、ワクワクするような気持ちになるのはもちろん、「アンダンテ」という曲はアニメをすべて見終わったあとに完成する曲でもあるのかなと思っています。

 

──5月末からは久しぶりのツアー“ClariS SPRING TOUR 2024 ~Tinctura~”がはじまります。ツアーはふたりにとって旅のひとつだとは思うのですが、歌詞にかけて、おふたりで旅をしてみたい場所があれば教えてください。

クララ:ずっと旅行をしたいねって常に話していたんです。それこそ、コロナ禍に入ってしまって行けなかった海外旅行があって……。

カレン:デビュー10周年をお祝いして、今までのおつかれさまとこれからも頑張ろうねという意味で旅行を計画していたんです。

クララ:実はその時はフロリダのディズニーランドに行きたいね、って言ってたんです。叶わなかったので、今もいちばん行きたい場所です。国内でも、プライベートのツアーをしてみたいです(笑)。

カレン:したいよね! それと音楽的なところで言うと、やったことのないこと、新しいことにたくさん挑戦していきたいです。それが反映されたアルバム『Iris』(読み:イーリス)がツアー前にリリースされるので、そこでもいろいろな旅ができたんじゃないかなって思っています。

──では最後に『狼と香辛料』のファンの方に向けてメッセージをください。

クララ:『狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』のエンディングテーマを担当させていただき、とても嬉しく思っています。今作はリメイクでありながらも、新しい要素が入った完全新作とのことで、私たちも楽しみにしています。また、ロレンス役の福山潤さんとホロ役の小清水亜美さんが続投っていうのがすごいなって。

私も以前の作品を拝見させていただき、ホロとロレンスの関係性にシンパシーを覚えたり、私もこんな旅をしてみたいなと憧れたり……視聴者としてホロとロレンスと旅をできることをすごく楽しみに思っています。

カレン:長年愛されてきた作品だからこそ、リメイクが実現したのだと思っています。そうした作品のエンディングテーマに、私たちを選んでくださり嬉しい気持ちでいっぱいです。ホロとロレンスのふたりはあたかも最初からそうだったかのように自然に距離が縮まっていくので、最初の出会いを忘れてしまいがちなんですけれども、それすらも自然に見えてしまうくらいに引き込まれてしまいます。その世界観が本当に大好きです。そうした作品を彩れる楽曲に仕上がったと思っているので、毎週のアニメ放送も、「アンダンテ」も楽しみにしていてもらいたいです

『狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』作品情報

若き行商人クラフト・ロレンスは、荷馬車を引く一頭の馬を相棒に、街から街へと商品を売り歩く日々を送っていた。
ある日、黄金色の麦畑が広がる小さな村を訪れた彼は、耳と尻尾を有する美しい少女と出会う。
「わっちの名前はホロ」
自身を“賢狼”と呼ぶホロは、豊穣を司る狼の化身だった――。
彼女の「遠く北にあるはずの故郷・ヨイツの森へ帰りたい」という望みを聞き、ロレンスとホロは北を目指す商売の旅の道連れとなる。だが行商人の旅には思いがけない波乱がつきもので……。
孤独だった行商人と、孤独だった狼の化身を乗せた馬車が、今、騒がしく走り始める。

©2024 支倉凍砂・KADOKAWA/ローエン商業組合

著者 編集部 アニメ情報担当