新作アニメ『花野井くん』 花澤香菜、少女漫画の“もどかしさ”に「これはたまらない!」恋愛観からアフレコ秘話まで…特別インタビュー


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新作TVアニメ『花野井くんと恋の病』について、4月4日(木)よりTBS/MBS系全国28局ネットにて放送が始まった。

森野萌先生による同名漫画(講談社「月刊デザート」連載)を原作とする本作は、恋愛とちょっぴり縁遠かった高校1年生・日生ほたる(CV.花澤香菜)と、隣のクラスのイケメン・花野井くん(CV.小林千晃)が織りなす、恋がわからない女子×愛が重すぎる男子の初恋ラブストーリー。2人の初々しい恋模様がアニメでどう描かれるのか注目だ。

先日4月11日(木)には第2話が放送されるなど、本格的なスタートを飾った本作のアニメ化だが、この度同作にて主人公・日生ほたるを演じる花澤香菜さんにインタビューを実施。作品の魅力から、ほたるや花野井くんの恋愛模様のことなど、たっぷりとお話をうかがった。(文・写真:千葉研一)

ほたるちゃんは恋愛にピュアだけど相手のことを思いやれる子。太い眉も可愛いです

――『花野井くんと恋の病』を初めて読んだときの感想をお聞かせ下さい。

花澤さん(以下同じ):私、少女漫画が大好きなんですけど、オーディションを受ける前に原作を読んで「これはたまらない!」と思いました(笑)。花野井くんの愛が重たいところにグッと来てしまって、大好きです!

――愛が重すぎて、ちょっと引いてしまうところもあるかなと思ったのですが。

いやいやいやいや。表現してくれないより、してくれた方がありがたいですよ。“私は”ですけど(笑)。

ほたるちゃんの人間性や言葉もすごく素敵ですよね。高校生らしからぬ大人びたことをたまに言うじゃないですか。それでいて、恋愛に関してはめちゃくちゃピュアなところがあって……。ただ、演じるのは難しそうな役だな、と思いました。

――オーディションはどのようなことを意識して?

普通の日常生活を送っている高校生をそのまま演じる感じではないなと思いました。ちょっと達観しているというか、友達の輪の中にいて彼女自身は自然体でいるつもりでも、簡単に踏み込めないというか。過去のトラウマから人付き合いに対して過敏なところがあるので、それゆえに大人っぽくなったのかなって。そういう大人っぽい部分をフィーチャーしてオーディションに臨みました。でも、アフレコをしていくにつれ、どんどん変わっていきましたね。

――そういう部分も含めて、ほたるの魅力はどのように感じていますか?

ほたるちゃんは、恋愛は自分にとって縁遠いものだと思っていたのに、「花野井くんとの恋とはどういうものなんだろう?」とちょっとずつ探っていくようになります。その過程を見ていると、ものすごく物事を順序立てて考えられる子なんだな、しかも相手のことをとても思いやれる子なんだなと感じました。そこが素晴らしいですよね。

食べ物を前にすると目をキラキラさせて小動物のように可愛らしいところもあるし、たまに武士みたいに勇ましいときもあって。そういうギャップも魅力的だなと思います。

――彼女みたいな子が近くにいたら、いかがですか?

「そんな気を使わなくていいよ」って言っちゃうかも(笑)。でも、すごくいい子だし、仲良くなりたいです。私は美味しいものを調べるのが好きなので、いろいろなお店を一緒に回りたいですね。

――花澤さんだったらパンとか。

いいですね。焼き立てパンとか大好きだと思うので。ほたるちゃんは「世界中の食べ物を制覇するのが夢」と言っていたから、食べたことのない料理を出すお店にも行きたいです。

――ちなみに、原作の森野先生はインタビューでほたるの誕生秘話を語っていて、髪型とか候補をいろいろ考えた中で「太い眉だけは譲れなかった」と言っていました。

太い眉はアニメでも強調されています。

――花澤さん的に、太い眉の女の子はどうですか?

可愛いです! 眉毛って、私は中学生のときに初めて気にしたんです。たぶん、女の子が最初に気にするのって眉毛なんじゃないかな。描くか描かないか、揃えるかどうか。ほたるちゃんの眉毛の太さは、そういったことに感心 がないことを表していますし、ちゃんとトレードマークにもなっているから、ほたるちゃんというキャラクターにとってなくてはないらない要素だなって思います。

花野井くんのささやきが素敵すぎて、拝んじゃいました

――小林千晃さんが演じる花野井くんの印象もお聞かせ下さい。

もしかしたら引いちゃう人がいるかもしれないぐらい、ほたるちゃんへの愛は強火なんですけど(笑)、高校生ですし、恋愛に真っ直ぐ全力をかけられるのは「青春!」って感じがしてめちゃくちゃいいですね。ほたるちゃんに対する優しい顔と、ほかの人に対するちょっと冷たい感じも、見ていてニヤニヤしちゃうといいますか。みんなに対して優しい顔をするわけじゃないところも安心できます。

――独占欲がありますよね。

ありますね。さすがに同じバイト先に来て一緒に働こうとしたときはビックリしましたけど、「そんなに好きなの? 仕方ないなぁ」ってなりました(笑)。それに、花野井くんの色っぽさと千晃くんの声のツヤがめちゃくちゃマッチしていて、アニメではさらにいい男になったなと思います。

――小林さんとは一緒に収録できたそうですが、横で聴いてうっとりしちゃうことも?

ささやいてくれるシーンは漫画を読んで脳内再生していたから、楽しみにしていたんです。そうしたら本当にいいささやきが来たので、収録後に「ありがとう〜!」って拝みましたもん(笑)。そのぐらい素敵でした。

――さすがにリアルでやられるのはきついですか?

いや、いいですよ? リアルでも喜びます(笑)。

――収録を一緒にできたのはプラスに働いていると思いますが、小林さんの演技を聴いてご自身の演技に変化が出たとか、2人でやったからこその生まれたものについてお聞かせ下さい。

ほたるちゃんがどういう子なのかを描いている第1話の前半は、彼女のピュアな部分を前面に出した方が良いとディレクションいただき、そうキャラ作りをしました。その上で、花野井くんに出会うんです。

花野井くんに出会っても、恋愛に対して臆病というか、どういう感覚なのかわからないので、よそよそしい感じに演じています。前半の話数はずっとよそよそしいままなので、それを保つのが大変でした。だって、花野井くんはグイグイ来てくれるので、一緒にアフレコしていると応えたくなっちゃうんですよ(笑)。「まだまだ……まだまだ……」と抑えていて。徐々に徐々に距離が近づいてくやり取りは、やっぱり2人でやる中でしか生まれないですから、難しくもあり楽しい部分でもありました。

――役者冥利といいますか、一緒にやるからこそ絶妙な距離感ができあがったのですね。

本当にそうですね。ほたるちゃんも花野井くんのことをなんとも思っていないわけではなく、ふとした瞬間に「あ、なんか花野井くん可愛い」ってキュンとするんです。本人はキュンだとわかっていないですけど(笑)。そういうのって、横で実際に声を聴いていないと同じ気持ちになれないこともあるので、一緒に収録できて良かったです。

――小林さんは少し年下ですが、キャスト陣は花澤さんと同世代や上の方も多いですよね。そういう皆さんが高校生を演じるのは声優ならではだなと思ったのですが、大人になって高校生を演じる楽しさを教えて下さい。

同世代が集まって、ほたるちゃんたちの恋愛模様をキャッキャしながら見ている、この感じがたまらなく楽しいです。いくつになってもこういう作品に関われるのは、本当にありがたいことだなと思いました。ただ、ほたるちゃんのようなピュアな子を演じるのはプレッシャーもありましたね(笑)。

――意識しないにしても、大人だと色々経験していますからね。

そうなんですよ。経験値をこそぎ落としていく作業が必要になるので、そこは慎重にやりました。しかも、この作品はみんなそうで(笑)。みんな経験値をこそぎ落としていかなきゃいけないから、味方がたくさんいて心強かったです。久保ユリカちゃんは同世代ですし、千晃くんが1番下っていう(笑)。

――1番若い方でもいい大人。

あはははは! 確かに(笑)。

2人のもどかしさや葛藤がよくて、アフレコ現場でも盛り上りました

――恋がわからないほたると愛が重すぎる花野井くんの関係性は、花澤さんから見て正直どう思いましたか?

2人の関係性って花野井くんがグイグイ来てくれたからこそ成り立っている関係だなと思います。(第1話の冒頭で)喫茶店で女の子に水をかけられているのを見るまで、ほたるちゃんは花野井くんの存在自体うっすら知っているぐらいだったわけで、そこから付き合おうってならないですよね。

花野井くんは花野井くんで、好きになってもらうためにはどうしたらいいんだろう? ってものすごく考えて、しかも行動で示してくれて。きっとそこに動かされていったんだろうなって感じがします。

――ほたるも変化していったと。

花野井くんと一緒にいたら、もしかしたら恋という感情がわかるかもしれない。自分のこともわかるかもしれない。それって普通の恋愛の始まり方とは違いますよね。

――見ていてもどかしさはなかったですか?

少女漫画って、もどかしいのがよくないですか?(笑)
そこでチューしちゃったら物語が終わっちゃうよ、みたいなところがいいんです。しかも、ほたるちゃんは無意識に花野井くんがグッとくるようなことをやっちゃうんです。花野井くんは恋に対してはほたるちゃんよりもベテランだから、そこでグイッといこうとしちゃうけど、「待て待て」と言い聞かせて自制する。その葛藤もすごくいいですね。

――花野井くんがグイグイ来ているのかと思いきや、実はほたるが無自覚にすごいこと言いますからね。そんなこと言って大丈夫? って思っちゃいます。

そうなんですよ。ガード緩すぎるんですよ(笑)。そのまま行ったら、ギューとかしてもいいとなっちゃう……。やっぱりほたるちゃんにどうやったら好きになってもらえるかを考えるのは大変だと思いました。花野井くんはよく諦めずにできるなって。

――キスしそうなシーンもありますからね。

本当ですよ。あそこで終わっていた可能性ありますね(笑)。でも、やっぱりほたるちゃんの気持ちを一番に考えるんですよ。それが素晴らしいです。

――こういう少女漫画のもどかしさとかも、キャストの皆さんで話していたわけですね。

アフレコ現場でめちゃくちゃ盛り上がりました。みんな原作を読んでいるからどうなるか知っているのに、「この2人どうなの?」「花野井くんってどうなの?」「どのキャラと付き合いたい?」って。この作品は1人でニヤニヤするのもいいですけど、友達と一緒にわーわー言いながら見るのもオススメです。

――花澤さんや久保さんだけでなく、重いのが好きな人は多かったですか?

もちろん、好きじゃない方もいました。でも、高校生だからってのは大きいですね。同い年でこれをやられたらどう思うかはわからないですけど、愛を訴え続けてくれるのはありがたい話だと思います。愛情表現って難しくて、付き合った後はなーなーになっちゃうじゃないですか。そうじゃなくて、どんどん深まっていくのはいいなと思います。やっぱり愛されるのはいいなって(笑)。

――てことは、世の男性たちにも見てもらいたい作品ですね!

あ、でも、花野井くんは参考にならないと思いますよ?(笑)あの行動力や愛情表現の仕方は見習ってもいいかもしれないですが。

初めてアニメのヒロインを演じたときに言われた言葉に勇気をもらいました

――ティザーPVや実際の映像をご覧になった感想をお聞かせ下さい。

恋というものが何かわからなかったほたるちゃんの視点で物語が進んでいくので、最初はキラキラした高校生活ではなく、彼女のモノローグから始まるんです。そこから花野井くんと出会い、ちょっとずつ画面もキラキラしていきます。ここからなにかが始まって彼女の日常が彩られていくんだなと予感できる映像が素晴らしいなと感じました。

それに、原作で花野井くんの目がキラキラになっている決めカットがあるじゃないですか。そこは原作と同じようにアニメでもめちゃくちゃ強調して表現されていて、少女漫画原作らしいキラキラ感を映像で見られるのが嬉しいです。色の付け方も良かったですし、原作でキュンとした花野井くんのセリフを千晃くんの声で聞けるのはやっぱりいいなと思いました。

――では、作品にちなんだこともお聞きします。作中でほたるが花野井くんのとある言葉に勇気をもらえたように、誰かに言われて勇気をもらえた言葉はありますか?

私は子役からお仕事をしていますが、声優としては17歳のときに初めてアニメのヒロインを担当することができたんです。でも、自信がぜんぜんなくて……。そんなときに「君は唯一無二の声だからね」と言ってくださった方がいて、その言葉は一番勇気をもらえましたね。子役って本当にたくさんいるので、「君の代わりはいくらでもいるんだから頑張りなさい」とずっと言われ続けていたけど、そんなふうに言われたことがなかったんです。

オープニング場面カット

※以下、序盤(1話~2話)のネタバレを含みます。ご覧になる際はご注意ください。

――全部楽しみだと思いますが、特に楽しみにしているシーンを教えて下さい。

先ほど話題に出た、「キスしてもらってみてもいいでしょうか?」と言うシーンですね。「目、つむって」と言って、ほたるちゃんの耳元で「好きかどうかわからないのに、こんなこと許しちゃダメだよ」って言うセリフ、最高!!(笑)

――ここはグッときますね!

いいですよね! でも、真似しちゃダメですよ?(笑)これはハードル高いですから。決めゼリフすぎて、千晃くんも緊張したんじゃないかな。ここは絶対に見て欲しいです。

――普通だったら、目をつむったらOKだと思うじゃないですか。それなのに止めてそんなセリフを言うなんて。

キスは完全に好きになってもらってからしたかったんでしょうね、花野井くんは。順序立てていこうとするのもいいなって思います。

――逆に、ほたるのセリフで特に好きなものをあげるならどこですか?

雪の中、ほたるちゃんの落とし物を花野井くんが探すシーンがあるんですけど、私だったらちょろいからキュンとしちゃうと思うんです。でも、ほたるちゃんは「バカヤロー!」って言うんですよ(笑)。自分をもっと大事にしなさいと。ここは、ほたるちゃんがどういう子なのかすごくわかるシーンだなと思いました。お母さん的な安心感があるというか、包容力があるというか。高校生のときはこんなふうには考えられなかったな、私は、と思っちゃいましたね。すごく素敵なシーンです。

――ありがとうございました!

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花澤香菜さん インタビューショット

Ⓒ森野萌・講談社/「花野井くんと恋の病」製作委員会