AnimeJapanにサウジアラビア企業が複数出展「ドラゴンボール」パーク建設のQiddiyaなど…アニメの製作出資も行う現状


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3月23日(土)と24日(日)の2日間、大規模アニメイベント「AnimeJapan 2024」が東京ビッグサイト東展示場にて開催され、国内外のアニメファン13.2万人が足を運んだ。

11回目となった今回のAnimeJapanはのべ110社のアニメ関連企業によるブース出展、250以上のステージイベントが行われ、史上最大規模での開催となった。5年ぶりに企画コーナーが復活するなど、コロナ禍による規模縮小の面影は完全に消えたと同時に、ディズニーやNetflixといった海外企業の参加が目立った今回、中東系の外資企業が複数出展していたことも印象的だった。

特にサウジアラビアに拠点を置く企業2社はそれぞれ大規模なブース展開を行っており、先日東映アニメーションとの協業による『DRAGON BALL』テーマパークの建設を発表した「Qiddiya」の姿も。Qiddiya(キディヤ)とはサウジアラビアの首都リヤドで計画されている娯楽をテーマにした都市開発プロジェクトで、王国のムハンマド皇太子率いる政府系ファンドが支援している。

AnimeJapanのQiddiyaブースは東2ホール「東映アニメーション」の真横にて展開。大規模な装飾が施されたブース内ではプロジェクトの紹介ビデオや『DRAGON BALL』テーマパークの予告映像を放映した。さらに、ブース中央には『DRAGON BALL』より神龍の1/50スケール巨大フィギュアが設置されており、一緒に写真を撮るべく多くの来場者が足を運んでいた。

また、サウジアラビアを拠点とするコンテンツ会社「マンガプロダクションズ」を出展し、自社取り扱い作品の紹介を中心に展示を行っていた。同社は先のQiddiyaとは異なり、アニメやマンガを専門に取り扱うメディア企業で、これまで多数の日本国内作品のローカライズを行っていたほか、近年はオリジナル作品の制作・製作も精力的に展開している。

ブースでは作品紹介を巨大な展示パネルやティザー映像などを用いて行っており、ブース内随所に見られるアラビア語の表記、そしてクーフィーヤをはじめとした民族衣装を着た担当者の姿が“物珍しさ”を誘い、多数のアニメファンが興味を示していた。(ちなみに会場スタッフに話しかければ自分の名前をアラビア語で書いてくれるらしい)

コンテンツ産業を巡っては、中東系企業によるアニメ、マンガの製作参入が近年活発的に行われており、日本国内でも「製作段階から委員会出資を行う」ようなアニメ作品が多数現れ始めている。例えばサウジアラビアのアニメーション企業「MBC Anime」は昨年10月から放送されていた日本国内の秋クールアニメにおいて『僕らの雨いろプロトコル』と『カミエラビ』の2作品への出資を実施。

中東・北アフリカの大手メディアネットワークであるという「NBC Group」の巨大紙本を活かした形で、うち後者の『カミエラビ』については第2シーズンの制作も決定している。また、先のマンガプロダクションズでは国内大手制作会社のProduction I.Gとのライセンス契約のもと、オリジナルアニメ「GREAT PRETENDER razbliuto」のプレミア上映イベントをサウジアラビアにて行っており、同作のアラビア語字幕付きの予告編公開は全世界で1,500万回再生を突破しているという。

現在ではアニメ作品がアラビア語圏でのストリーミングサービスでサイマル配信されることも珍しくなく、今回のAnimeJapanにて大規模なブース展開を行うことで、現地の勢いと注目を国内でも体感することが叶った。

市井

著者 市井
オタク総研媒体統括 兼 合同会社サブカル通信社執行役社長。専門領域はアニメ、テクノロジー(ガジェット)、プログラミング、コンテンツビジネス。PRプランニングやIP調達なども担当しています。新作アニメ、海外スマホ、東南アジア好き。