携帯キャリア各社、25万人が集まる「コミケ」に向けて臨戦態勢 auや楽天は基地局×最新技術で“繋がる”アピール


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12月30日(土)と31日(日)に東京ビッグサイトにて開催予定の大型同人誌即売イベント「コミックマーケット103」の開催に向けて、携帯キャリア各社がウォーミングアップを始めている。

コミックマーケット(コミケ)は冬と夏に年2回開催される世界最大の即売会として知られており、来場者の最大数はのべ59万人にのぼる。2019年以降の“参加有料化”や2020年以降の新型コロナウイルス対策により以前ほどの規模ではないものの、それでも2日間で25万人以上の参加を見込んでいる。

そんなコミケだからこその懸念として挙げられるのが電波問題。コミケはその規模ゆえにイベント開場前から「待機列」と呼ばれる入場待ちが発生し、各ブロック数万人規模の参加者が同時にスマートフォンを操作することで「繋がりにくい」といった問題が発生しやすくなる。

そこで、ドコモ・au・ソフトバンクの大手携帯キャリア各社はこうした事象が起こらぬよう、様々な手を尽くして現場で回線増強を行うことからしばしば「縁の下の力持ち」として評されている。

いよいよ数日後に迫った「コミケ103」でも例外ではなく、各社準備を始めている。特にauはニュースリリースとして取り組みをいち早く発表しており、5Gに対応した車載基地局による屋外エリア対策を実施することを明らかにした。

いずれのキャリアも東京ビッグサイトでは館内全域が4G/5Gエリアになっているものの、前述のように会場外では回線が不安定になることが想定されるとKDDIは説明。続けて「混雑するイベント会場でもネットワークの容量を拡大し快適な通信環境を実現するMassive MIMOの技術や自動トラフィック分散機能の活用、さらにStarlinkをバックアップ回線として待機させることで、屋外で臨時のエリア対策を実施する」として、最新技術も最大限活かした取り組みを紹介した。

その他ドコモやソフトバンクも同様の対策を行っているが、なかでも「楽天モバイル」が直近数回のコミケで積極的な取り組みを見せている。楽天モバイルは4大キャリアの最新参でありながらも、会場外に4G移動基地局と4/5G基地局を複数車両配備しており、現地では楽天モバイルの社員が「ちゃんと繋がるか」の実地検証を行っていた。

このほか、会場内には「コミックマーケットに参加される皆様へ!!」と特別仕様の大型広告も多数掲出。こうした施策はただ「繋がる」を担保するだけでなく、数十万人クラスでのイベントにも耐用可能であるという訴求を行う好機としてプロモーションにも用いられていることが特徴的だった。同社は今回も同様の取り組みを行うとしている。

市井

著者 市井
オタク総研媒体統括 兼 合同会社サブカル通信社執行役社長。専門領域はアニメ、テクノロジー(ガジェット)、プログラミング、コンテンツビジネス。PRプランニングやIP調達なども担当しています。新作アニメ、海外スマホ、東南アジア好き。