〈レポート〉『転スラ』シリーズ10周年で初のスペシャルライブ開催…主題歌の歌唱から朗読劇、DJまで“10年間”を凝縮した一夜に


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異世界ファンタジー作品『転生したらスライムだった件』のWEB小説連載開始10周年を記念したライブイベント「転スラ 10th ライブ」が12月16日、松戸・森のホール21にて開催。本作アニメの主要キャストとアーティストたちによる朗読劇やライブパフォーマンスが約2時間半に渡って繰り広げられ、『転スラ』愛に溢れた一夜となった。

イベントには岡咲美保(リムル役)、豊口めぐみ(智慧之王役)、前野智昭(ヴェルドラ役)、日高里菜(ミリム役)、古川 慎(ベニマル役)、⽥所あずさ(クロエ役)、熊⽥茜⾳(エレン役)と、主題歌を担当するMindaRyn、TRUE、STEREO DIVE FOUNDATIONの計10組が出演。さらにライブ開演前には嬉しいサプライズとして、“原初の悪魔”の3人、ヴィオレ(CV:富田美憂)、ブラン(CV:内山夕実)、ジョーヌ(CV:長谷川育美)が音声で特別出演した。

ライブは、キャストによる朗読劇を挟む形で進行。ジュラ・テンペスト連邦国の歴史をまとめたエレン制作の絵本に、リムルが名前を付けることで不思議な力を獲得し、各章に名前を付けるたびに光を放ってライブパートに転換、アニメの名シーンをバックに主題歌アーティストがそれぞれの担当楽曲を歌唱するという贅沢な内容に始まる。最初の朗読パートで、リムルがその絵本に名付けたタイトルは「Nameless Story」。

朗読パートを経て、ステージに現れたのはMindaRyn。劇場版『転⽣したらスライムだった件 紅蓮の絆編』主題歌「Make Me Feel Better」を熱唱し、客席もリムル型のペンライトを振って盛り上がる。歌い終えて「転スラファミリーの一員になれて幸せ」と語った彼女は、さらに「Like Flames」をリムルとクレイマンの最終決戦のシーンをバックに力強く歌い上げる。

続いてクロエ役の田所あずさが主題歌アーティストとして登場し、リムルの強さやシズとの絆をイメージして制作された「リトルソルジャー」を、笑顔を浮かべながら爽やかに届ける。さらに岡咲美保が「ココロトラベル」を披露。リムル役の彼女が、アーティストとして『転スラ』に寄り添うにあたって意識したのは“思い出”。その可憐かつ優しい歌声が観客の心を温かくする。

そしてエネルギッシュなパフォーマンスで会場に熱気を注いだのがエレン役の熊田茜音。STEREO DIVE FOUNDATIONとしても活動しているR・O・Nが楽曲提供した「Brand new diary」と「VISIONS(feat. 寺島拓篤)」の2曲を客席を煽りながら元気いっぱいに歌い上げてみせた。

その後のトークパートでは、『転スラ』10年の歴史をまとめた年表を見ながらキャストが思い出を振り返る。ミリム役の日高はアニメ化前に原作のナレーションを担当していたという裏話や、熊田がラジオ番組「転スラジオ」で古川に失礼をしてしまった“なんすか事件”の話題が掘り起こされてジャンピング土下座する一幕もあった。

そこから主題歌アーティストの3組も加わり、今度は楽曲の制作エピソードを中心に興味深い話題が次々と飛び出す。なかでもTRUEとSTEREO DIVE FOUNDATIONが担当したTVアニメ第2期のオープニングとエンディング主題歌は当初、偶然にも同じタイトル(「Storyteller」)が付けられていたという話には、キャストも驚いていた。

そしてライブは後半戦へ。TRUEはTVアニメ第2期の前奏曲として制作された「黎明」を皮切りに全5曲を歌唱。その「黎明」は第34話のリムルが“神之怒(メギド)”を放つシーンと共に歌われ、厳かな世界観に観る者すべてが引き込まれる。

そこから一転して「Storyteller」を晴れやかに届けると、爽快さの中に強い意志が滲む「Another colony」、神秘的なサウンドと壮大な歌声がマッチした「浄歌」、「リムルの中のあの子のために歌います」との言葉に続いて歌われた「僕の中の君へ」と、主題歌や挿入歌としてアニメを彩った名曲を歌い繋いでいく。

続くSTEREO DIVE FOUNDATIONは、キーボードなどの機材を用いて演奏しながらパフォーマンス。イントロにシーケンスのリズムを加えてクラブミュージックの要素を強めた「MONOGRAM」、DJプレイ的に披露された「Indigo & Tangerine -Rimuru ver.-」に続いては、「SPARKLES」が劇場版『転⽣したらスライムだった件 紅蓮の絆編』の印象的なシーンをバックに歌われて感動を誘う。最後はポジティブなメッセージとエンディングアニメが背中を押してくれる「STORYSEEKER」で締め括った。

ここでリムルと智慧之王の朗読パートが挟まれ、絵本からのお礼として届けられたのは、ヒナタ・サカグチとの因縁を描くTVアニメ第3期の特報映像。2024年4月より日本テレビ系各局とBS11にて連続2クールで放送されることが発表され、客席からは喜びの声と拍手が上がる。

『転生したらスライムだった件』第3期キービジュアル

さらにSTEREO DIVE FOUNDATIONが担当する第3期オープニング主題歌「PEACEKEEPER」がサプライズで初披露され、会場はこの日最大級の歓声で応える。R・O・Nいわくこの楽曲は「速い」「エモい」「ポップ」「バンドサウンド」という『転スラ』らしさを意識したという。

エンディングでは、出演者全員に加えてリムル(人間体)のかわいらしい着ぐるみが登場し、ファンと一緒に記念撮影。さらにアンコールで再び全員がステージに上がると、TVアニメ『転⽣したらスライムだった件 転スラ⽇記』エンディング主題歌「カモナ・テンペスト!」をみんなでワイワイと歌唱。岡咲はリムルの声音で「転スラ10周年、ほんとにありがとなー」と感謝の言葉を届け、『転スラ』らしい賑やかなムードの中、10周年を記念した祝宴は大団円を迎えた。

TEXT:北野 創/Photographer:江藤はんな

ライブフォト<ソロショット>一覧

セットリスト&イベント情報

転生したらスライムだった件 転スラ 10thライブ
日程:2023年12月16日(土)
場所:松戸・森のホール21(松戸市文化会館)大ホール

※以降「R」は朗読パートの略記

R01. 岡咲美保、熊田茜音、前野智昭、寺島拓篤〈映像出演)
M01. Nameless Story
R02. 岡咲美保、熊田茜音、豊口めぐみ、前野智昭
M02. Make Me Feel Better
M03. Like Flames
R03. 古川 慎(ベニマル役)、前野智昭(ヴェルドラ役)、日高里菜(ミリム役)
M04. リトルソルジャー
M05. ココロトラベル
M06. Brand new diary
M07.VISIONS(feat. 寺島拓篤)
R04. 岡咲美保、豊口めぐみ、前野智昭、日高里菜、古川 慎、田所あずさ
M08. 黎明
M09. Storyteller
M10. Another colony
M11. 浄歌
M12. 僕の中の君へ
R06. 岡咲美保、豊口めぐみ、前野智昭、古川慎(ベニマル役)、田所あずさ、熊田茜音
M13. MONOGRAM
M14. Indigo & Tangerine -Rimuru ver.-
M15. SPARKLES
M16. STORYSEEKER
R07. 岡咲美保、豊口めぐみ
M17. PEACEKEEPER
Ed. エンディング】
M18. カモナ・テンペスト!(ABEMA未配信)

©川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会

市井

著者 市井
オタク総研媒体統括 兼 合同会社サブカル通信社執行役社長。専門領域はアニメ、テクノロジー(ガジェット)、プログラミング、コンテンツビジネス。PRプランニングやIP調達なども担当しています。新作アニメ、海外スマホ、東南アジア好き。