折りたたみスマホの”入門”にピッタリ。8万円切りで買える格安スマホ「razr 40」の実力を試す


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スマートフォンブランドのモトローラが11月末に発売を開始した折りたたみ式スマートフォン「motorola razr 40」。実売価格が8万円を切るコスパの良さから注目を集める本機を実際に使用したので、使い勝手とともに紹介する。

motorola razr 40は、コンパクトな縦型折りたたみデザインのスマートフォンとして、先行して販売されていた「motorola razr 40 ultra」の廉価モデルで展開されており、その大きな特徴であり魅力なのがズバリ価格。公式サイトやAmazon.co.jp、家電量販店などで125,800円(税込)で販売されているほか、MVNO大手の携帯キャリア「IIJmio」では2024年1月31日までの期間限定キャンペーンとして一括95,800円、回線契約では2024年1月17日まで一括79,800円で販売中。

折りたたみスマホはその名の通り「画面を折り曲げられる」必要があること、新顔につき普及しておらず量産化できないことなどにより、販売価格は10万円〜15万円を超えるのが一般的とされている。しかし、本製品は実売10万円を下回る価格で販売されており、通常価格の12.5万円であったとしてもコスパが良く「折りたたみ入門機」としての価値が十分にあるように感じた。

安価ながらも機能性は◯

比較的安価ながらも「安かろう悪かろう」では一切なく、性能自体は競合他社と引けを取らない。むしろ優秀なほど。折り曲げ部分には“しずく型ヒンジシステム”を採用し、ディスプレイには6.9インチの有機ELディスプレイと折りたたんだ状態で利用可能な1.5インチアウトディスプレイの2つを搭載しており、144Hzリフレッシュレートによる美麗な映像表現が可能に。

折り目を感じさせない設計になっており、数週間ほど使ってみた所感にはなるが画面の耐久度も少々向上したかのように思えた。本体中央のヒンジ部も強化されており、フレックスビュースタイルと呼ばれる“半開き”も可能で、45°〜120°程度まで自由度の高い自立ができる。

折りたたみスマホをあまり体験したことがない方は少し画面をたたむ際に躊躇するかもしれないが、ちょっとやそっとでは壊れないのでご安心を。「スマホを折りたたむ」という近年登場した概念であるからこそ、新製品が出る毎に進化を感じさせるのもこれらの魅力の一つと言える。

思ったよりもちゃんと折れ曲がります

なお、折りたたみスマホは「縦折り」と「横折り」の2つのタイプが存在するが、本製品は後者。折れ曲がることに変わりないが、特徴や用途が異なるため、似て非なるものとして知られている。正直に申し上げると、縦折りタイプは横折りタイプよりも受けられるメリットや価値は少ない。それでも縦折りには縦折りなりの魅力が存在し、中でも「コンパクトさ」には目を見張るものがあった。

閉じた状態の本製品の外寸は88mm×74mm×15mmと正方形状になっており、小さめの胸ポケットでも余裕に収まるほど。機能面では、YouTube等の動画をフレックスビュースタイルで再生すると画面下半分にメディアコントロールが表示される“スタンドいらず”な機能や、カメラ起動時も画面配置が変わるといった便利な機能が備わっていた。

その代わり、開いた際は少し縦に長く、メインディスプレイのアスペクト比は22:9と細長いため、16:9の動画視聴時には両端に黒帯ができる。こちらはほとんどのスマホでも同じなので特に気にはならなかったが、ヨコスク(横スクロール)マンガでは余白が少し気になった。なお、一点注意があるとするならば、開閉時の際「ガラケーのノリで片手で開けようとするのは厳しい」ことが挙げられる。全くできないことはないのだが、手がかじかむ冬の季節、かなり手が痛くなる。その点だけ気をつけよう。

そして、折りたたみならではのもう一つの特徴が本体背面にあるアウトディスプレイ。こちらはメインディスプレイが閉じた状態に使用することができるもので、タイマー・録音・通知表示・メディアコントロール(再生/停止)などの操作を行える。また、本製品ならではの機能として“カメラのインスタント起動”が挙げられ、手に持って捻るだけで簡単にカメラが起ち上がりそのまま撮影が可能だった。

通常時にカメラを起動すると「赤ちゃんの視線をこちらに向けるアニメーションが流れる」という子育てニーズでの面白い機能も

性能と価格の駆け引きが優秀

ここまで折りたたみという部分に絞って紹介したが、全体的に見ても安価ながら妥協のない製品に仕上がっている印象。特に本体背面の外観については高級感あるフェイクレザーを採用しており、SNSでも「ultra(上位機種)よりもカッコいい」と非常に評判が良い。

処理性能についてはミドルクラスのプロセッサ「Snapdragon 7 Gen 1」を搭載し、決して最先端を行く高性能ではないものの、多くのゲームであれば快適動作が見込め、コスト面でのうまくバランスを取った選択肢と言える。

カメラに関しても6,400万画素メインカメラ+1,300万画素超広角/マクロカメラ構成で、夜景撮影にも耐用できる必要十分な性能を発揮していた。

生体認証には指紋認証を採用しているが、センサーは電源ボタン共用で側面に配置されている。現行機種の多くは画面内指紋認証を採用しており、側面スタイルは好き嫌い・慣れ不慣れがあるかと思うが、折りたたみスマホはほとんどすべて側面なので特段不満には思わなかった。

そして日本国内、とりわけ都市圏に住む人は必須ともいえる「モバイルSuica(おサイフケータイ)」にも対応しているほか、IP52相当の防水防塵にも対応している。海外スマホの日本販売におけるローカライズコストを加味するとかなりの頑張りが伺える。

結論「razr 40」はコストパフォーマンスに富んだ折りたたみスマホとして、とりわけ「入門機」という点において非常に魅力的であると感じた。「折りたたみスマホって最近流行ってるけど、実際どうなの?」と半信半疑で興味を持っている方にはぜひとも体験していただきたい。

市井

著者 市井
オタク総研媒体統括 兼 合同会社サブカル通信社執行役社長。専門領域はアニメ、テクノロジー(ガジェット)、プログラミング、コンテンツビジネス。PRプランニングやIP調達なども担当しています。新作アニメ、海外スマホ、東南アジア好き。