UUUM、業績予想を下方修正で純利赤字の見通し 収益性に乏しい「YouTubeショート」成長などにより
YouTuberタレントのプロダクション業務を中核に行うUUUM株式会社<3990>は10日、投資家や関係者に向けて2023年5月期の通期業績予想の修正を通達した。
同日に公開されたIR資料によると、本年4月14日に開示した2023年5月期(2022年6月1日~2023年5月31日)の業績予想を大幅に下方修正を行ったことが明らかとなった。各種数値の内訳として売上高は”約2,300億円と横ばい”・営業利益は”約5億~7億円→△2億円”・当期純利益が”約0~1.2億円→△10.5億円”となり、通期赤字の予想となった。
同資料には下方修正に至った理由が明記されており、「YouTubeショートの再生回数増加に伴い、YouTubeショートを除く動画再生回数が当初の想定を下回る推移をしたこと等を受けて、売上高は想定を下回る見通しとなりました。」(原文ママ)が要因の一つとして挙げられていた。
理由に明記されている「YouTubeショート」とは、動画共有サービス・YouTubeにて新たに提供が始まった”短尺縦長”の動画の総称。TikTokやInstagramのリール等と同様の操作性を持った縦スクロールによるレコメンド配信が特徴で、様々なジャンルの投稿者が参入し、テンポの良い動画スタイルで人気を博すクリエイターも多い。
ショート動画は通常の動画に比べ再生数が獲得しやすい一方、収益性は通常の動画に比べ劣る傾向にある。「YouTubeショート」が登場した2021年時点では収益化が不可能で、本年2月からは収益化が可能になったが、クリエイターによる広告挿入のコントロールが出来ないことから、収益性には未だ乏しいことで知られている。
同社は直近期の決算短信や資料にて「マネジメントの集中による生産性の向上」や「関連子会社によるゲーム事業やグッズ等のコマース事業の展開」を進め、”脱アドセンス”を模索していることがうかがえる。
※アドセンス…Google社の広告配信マネタイズプラットフォーム
今回の「YouTubeショート」による収益性鈍化について株主や関係者からは「他社の収益プラットフォームに大きく依存する売上体制によるものではないか」と、断続する同社の株価の下落や低迷と共に心配視する声も散見される。(編集部=塚元)