〈検証〉ビッグサイトへの新たな足「東京BRT」は速くて安いオタクの強い味方?乗って分かった利点と欠点


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アニメやゲーム、エンタメ好きなら年に数回以上はお世話になるであろう東京ビッグサイト。ビッグサイトは臨海副都心に位置するが故、新宿や東京などからは少し遠いことから「りんかい線」や「ゆりかもめ」「都営バス」など複数の交通機関での行き方が存在する。

4月より東京BRTが「ビッグサイト直通」

そんなビッグサイトへの足として新たに4月より直通運行を開始した「東京BRT」が仲間入りした。

東京BRTとは勝どきや晴海、有明といった臨海副都心と新橋、虎ノ門を結ぶ東京都の公共交通機関として2020年に開通したBRT(バス高速輸送システム)。運行は京成バスが行っており、以降「プレ運行」として試験的な運行を実施、本格運行へ向け準備をすすめている。

2023年4月からは「プレ運行(二次)」として従来の路線を大幅に拡大。新たに「幹線ルート」と呼ばれる東京テレポート・国際展示場(ビッグサイト)方面が加わり、これまで運行されていた「晴海・豊洲ルート」と「勝どきルート」とともに3系統での運行がスタートした。

新橋駅から乗って分かった利点と欠点

新たに運行を開始した東京BRTに、筆者が東京ビッグサイトへ行く用事があったため実際に乗って「メリットとデメリット」を調査してきたので紹介する。

新橋駅から降りて早速乗車!と言いたいところだが、まず乗る前に一点「駅からBRT乗り場まで結構時間がかかる」のが印象的だった。というのもJR新橋駅から行くには同じくビッグサイトへの足として知られる”ゆりかもめ”の新橋駅を通り越して、幹線道路を横切る必要がある。地上から行くには結構長い信号待ちもあるため、乗り場へは時間に余裕を持って行くとよいと感じた。(とはいえ乗り場自体はわかり易いのでご安心を)

なお、新橋駅から発着する東京BRTは前述の3系統が共通の乗り場で運用されており、国際展示場(東京ビッグサイト)へ行くには「幹線ルート」を使おう。平日昼の場合、幹線ルートは毎時10分・30分・50分の3本体制だった。

乗客人数についてだが、東京ビッグサイトにて商談会が開催されていたときの昼過ぎに乗ったところ、人数は始点の新橋では8人。途中停留所の勝どきや有明テニスの森前で複数人降車&誰も乗車せず、最終的には4名が終着まで乗っていた…という風に、土日のイベント会期中ではないのか、はたまた周知不足なのか凄く空いていた印象だった。

※そもそもYahoo!乗換案内などでは「東京BRT」という表記ではなく、運行会社である「京成バス」表記になっていたり、Googleマップでも表示が一部変になることがあったりと情報の整備が現時点では不十分という意見も

さて、肝心の乗り心地や時間についてだが、この東京BRTは宮城で運行されている「気仙沼線BRT・大船渡線BRT」などとはことなり専用軌道が用意されているわけではない。そのため、普通に「信号待ち」が発生していた。とはいえ、普通のバスに比べ圧倒的に停留所の数が少ない(3つ)ため、体感では結構速い。今後の本格運用で解消されることに期待される。(後述)

車両についても今回乗ったバス車内は通常の都営バスとほぼ同じ。東京BRTには「連節バス」と呼ばれる1.5倍の輸送力を兼ね備えた車両もあるが、日時やルートによって調整しているそう。しかし、都営バスとの違いとして「フリーWiFi」が使える点があり、短時間で着く上にパソコンでの仕事もできるという点もビジネスマンにとっては利点かもしれない。

所要時間は予定より1分早く16分で到着し、複数発生した信号待ちを加味した時間となっていた。価格は一律220円(大人)。同じく新橋駅からビッグサイトに行くゆりかもめの場合、運賃は390円・所要時間は22分であるため、時間的にも経済的にも東京BRTは非常に良い選択肢になり得ることがわかった。

到着地点はりんかい線「国際展示場駅」を出てビッグサイトへ行くときに見かける”あの”ロータリーで、限りなくビッグサイトに近い場所に停めてくれた。(それでも都営バスやゆりかもめには近さという点では勝てない)

今後の本格運行でさらに便利&速くなる?

先ほどの概要や乗車体験にて一部言及した通り、この度乗ったのはあくまで「プレ運行」であるため、まだまだ本領発揮していない。特に本格運行からは「公共車両優先システム(PTPS)」と呼ばれる仕組みが導入されるということで、専用軌道を持たずしてもバス優先信号制御なとにより今まで以上に定時性を担保できるようになるという。

加えて、速度についても現在は路線バスと同じ15km/h程度での運行となっているものの、本格運行時には速度を上げて20km/hと速達性にも富んだ交通機関になるそうだ。輸送力についても現在は450人/時としているが、本格運行時には2,000人/時・将来的には5,000人/時の輸送力を目指している。

ゆりかもめや都営バスは遅い、りんかい線は少し不便で高い、そんなビッグサイトへの新たな安く速い交通機関「東京BRT」に期待が高まる。