〈コラム〉SVOD界の新星「DMM TV」春アニメ見放題作品数・先行配信数No.1を獲得。制作内製化で他社を猛追


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昨年末にローンチされた新たなSVODサービス「DMM TV」が2023年春クールアニメの見放題作品数・先行配信数において1位を獲得したことが明らかとなった。(※)

DMM.comリリースより

「DMM TV」とはDMM.comが2022年12月1日より運営を開始したSVOD(定額見放題・Subscription Video On Demand)方式の動画ストリーミングサービス。​「月額550円で12万本以上の動画が見放題」というキャッチコピーのもと、サービス開始と同時に新たに設けられた有料会員制度「DMMプレミアム」の会員サービスとして提供されている。

そんな新たなDMMの挑戦だが、「DMMプレミアム」加入者が半月足らずで30万人を突破したことも発表されており、好調なスタートを切っていた。なお、本記事で扱う​アニメ以外にも​映画、​ドラマ、​バラエティなど多様なジャンルの作品もラインナップされており、「Hulu」に近いサービス形態となっている。

以降、お笑い芸人の春日俊彰さん(オードリー)、女優の髙橋ひかるさん、声優の雨宮天さんをアンバサダーに起用し、CMを打ち出すなど、サービス認知の拡大を図っていた。また、それらの一環としてアニメファンとの距離を近づける施策を行っているのも特徴的で、最もアニメ業界に注目が集まるイベント「AnimeJapan 2023」では特設ブースを用意してキャスト登壇ステージを行ったり会場内での巨大広告も行ったりと、積極投資が目立った。

AnimeJapan「DMM TV」ブース展示=編集部撮影

その認知向上の傍ら、SVODサービスの契約数を成長させるために非常に重要な「コンテンツの拡充」も同時並行で推進しており、それらの尽力の結果がこのたび発表春アニメでの見放題作品数・先行配信数No.1を獲得したのだろう。事実、今期は独占配信2作品、先行配信18作品を含む、全52作品の配信が行われており、『Opus.COLORs』『六道の悪女たち』の2タイトルはDMM TV独占配信というサービスローンチ5ヶ月以内にも関わらず他社サービスと変わらないラインナップになっていた。

※2023年3月31日から4月にかけて、国内にて提供されている定額制動画配信サービスにおける新期配信開始のアニメ作品が対象。国内定額動画配信サービス内で各社より先行して配信された作品を先行数としてカウント。調査期間2023年4月10日〜4月30日。調査委託先:(株)コミュニケーション科学研究所 調査手法:デスクリサーチ

 

自社レーベルに制作会社…アニメ製作〜配信まで

このSVOD界の超新星「DMM TV」だが、運営元のDMM.comは単純に動画ストリーミングサービスを提供するだけにとどまらず、アニメの製作から制作、配信まで一貫して行うアニメ制作の内製システムを形成しつつあることにも注目したい。

そもそもDMM.comは今回の「DMM TV」を発表する以前からアニメの”製作”事業への参入を行っており、アニメーション制作・ライセンスビジネス事業としてレーベル「DMM Pictures」を2017年に設立。以降、『アニメガタリズ』『いぬやしき』『彼女、お借りします』『炎炎ノ消防隊』『白い砂のアクアトープ』といった数十にも及ぶ作品タイトルの製作委員会への参画を行っていたほか、講談社とMBSと「アニメイズム」枠における製作提携を行うなど強い存在感を示していた。

それらの製作参画やライセンシングビジネスの経験の蓄積が後にリリースされることとなる「DMM TV」のコンテンツ拡充へ寄与したのではないかとも思われる。そして、その「製作・制作・ライセンシング・配信」を一貫して行うことを実現するアニメ制作の内製システムをさらに加速させる動きが先月見られた。それはDMM.comが新たなアニメーション制作会社として「株式会社CUE」を設立するというもの。

新たに設立された「株式会社CUE」では、”クリエイターの思い”を第一に、企画からマルチメディア展開まで一気通貫で手掛るといい、代表取締役社長には、Production I.Gより元執行役員・制作部長である黒木類氏が就任。今後のアニメーションの企画製作から映像制作、配信まで一貫して行える体制づくりへの期待が高まる出来事となった。

これらの背景から、今後、〈アニメを見るSVODサービスなら「dアニメストア」だよね〉と言われてきた現状から大きな変化が見られる可能性にも注目される。

【春アニメ配信情報】DMM TVでは月額550円で新作52作品が見放題、独占配信2作品も注目

オタク総研編集部

著者 オタク総研編集部
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