”地下✕MR”でエンタメを創生―東京メトロ3駅にて「クロケスタ駅ナカLIVE!!」開催【体験レポート】


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2月21日から3月21日までの期間、東京メトロの3駅にて「クロケスタ駅ナカLIVE!!〜新宿・銀座・王子をめぐるバーチャルライブ・ラリー〜」が開催。期間中、会場内では最新のMR技術を用いた音声コンテンツの体験ができるほか、各種コラボキャンペーンも実施される。【体験レポート】

“駅”で楽しむ音楽✕MR体験

本キャンペーンは東京メトロによる新規事業創出企画「Tokyo Metro Accelerator」の2022年度選考において採択された株式会社GATARIとの共創プロジェクトで生まれたもので、「今までにないエンターテイメントからインフラをツクる」というコンセプトのもと実施に繋がったとのこと。

そしてその共創の取り組みを行うに際し、MRとの親和性の高いコンテンツを持つIPホルダーを探す中で、音声MRとの相性の良いviviONが企画するコンテンツ『Clock over ORQUESTA(クロケスタ)』とのコラボレーションが実現したという。クロケスタとはSNS連動型のキャラクターソングプロジェクトとして今年でプロジェクト2周年を迎える。

今回開催されるキャンペーン「クロケスタ駅ナカLIVE!!」は豪華声優陣が歌う人気ボカロPによるキャラクターソングをライブ仕立てのスペシャル音源を、普段は地下鉄の乗り降りに利用する”駅”という環境で楽しむことが出来るという内容だ。

本企画は銀座駅(丸ノ内線)・王子駅(南北線)・新宿駅(丸ノ内線)の三駅にて「バーチャルライブ・ラリー」として展開されており、そのうち筆者は銀座駅にてMRを体験した。本キャンペーンを体験するにあたり、特別な機械は不要で、必要なのはお手持ちのiPhoneと『Auris』アプリ、イヤホンのみ。会場に入ってアプリを起動、各キャラクターの前に立つとそのキャラの音声が流れる。

銀座駅では小豆沢三斗・音葉五百助・天馬六華・榊八色の4名が登場し、それぞれのキャラクターソングを体験できるとともに、前後のトークパートでは「カレー」「銀ブラ」といった銀座という土地ならではのトークも盛り込まれていた。(詳細は是非現地で体確かめてみてほしい)各音声は1〜2分程度と長すぎないのもポイントだ。

体験できる音声コンテンツは立体音響となっており、まるでライブハウスにいるかのような臨場感ある音楽体験をで一般的なイヤホンでも楽しめるようになっていた。

音声コンテンツなのでスマホは胸の位置にあてて体験する

各会場それぞれに4名のキャラクターの音声コンテンツが体験することができ、4名全員分を体験した後には”舞台裏トーク”テイストの音声を聞くことができるほか、最後に発表される「パスワード」を特設サイトに入力することでスペシャルボイスドラマが聞くことができる。

詳細は以下公式サイトを確認ください

【詳細】東京メトロ×Clock over ORQUESTA クロケスタ駅ナカLIVE!!〜新宿・銀座・王子をめぐるバーチャルライブ・ラリー〜

制作から配信までスマホ1台、MR技術の民主化に期待

ここからは少し技術的な話になるが、今回のプロジェクトを実現するにあたり東京メトロの共創企画に採用されたGATARIの技術にも注目したい。

GATARIとはMR(Mixed Realty=複合現実)を得意とする東京大学のVR学生団体創設者が2016年に設立したスタートアップ法人。人とインターネットが融け合う世界の実現を目指したMixed Realityプラットフォーム『Auris』の開発・運営を主な事業としており、今回の東京メトロとの共創企画でもこの『Auris』を用いられている。

同サービスではスマホカメラで捉えた映像と事前に空間をスキャンしたデータを照らし合わせ、自身の現在地を認識する「VPS技術」を活用することで、従来のGPSベースよりも高精度な空間トラッキングを実現している。なお、『Auris』への実装にあたり、同社は2021年にはRealityの体験制作技術に関する特許も取得しており、これまでにも「姫路城」や「海遊館」などで活用されているという。

公式リリース群より引用

GATARIの担当者は今回の共創企画に際し、「VPS技術を用いることでGPSの電波が入らない地下でも数cm誤差レベルでの高い空間認識を実現できた。」と説明した。また、空間データの撮影からコンテンツの作成スマートフォン1台で完結するといい、これまでUnityといった専門的な開発プラットフォームがデファクトスタンダードであるMRコンテンツ開発の民主化にも期待が膨らむ。

左から東京メトロ、GATARI、viviONの担当者

スタートアップ企業の持つ優れた技術力と東京メトロの持つ広大な地下資源を活用した今回のプロジェクト、MRを活用した新たなエンタメコンテンツの創生で日本のコンテンツ産業への活性化にも注目される。

市井

著者 市井
オタク総研媒体統括 兼 合同会社サブカル通信社執行役社長。専門領域はアニメ、テクノロジー(ガジェット)、プログラミング、コンテンツビジネス。PRプランニングやIP調達なども担当しています。新作アニメ、海外スマホ、東南アジア好き。

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