数多の不安から一転…ガンダム「ジージェネ」最新作、名作『F』超えも確実視?エターナルの躍進

1998年、初代プレイステーションで専用ソフトとして始まった『SDガンダム G GENERATION』(以下、ジージェネ)。
90年代はスーパーファミコン対応の『新SD戦国伝 大将軍列伝』やセガサターン対応の『ギレンの野望』など、シミュレーション系の”ガンダムゲー”がしばしば発売されていたが、『ジージェネ』はSD頭身で再現されたモビルスーツを設計、開発してユニットとして活躍させる戦略シミュレーションゲームとなっている。
いわゆる兵器なので撃墜されれば手持ちから消失するリスクもあり難易度もやや高かった初代だが、当時のガンダムファンの反響も大きく、次々と続編が制作されるようになり、2019年にはコンシューマー版最新作を展開した。
一方、同時期にはスマホアプリ版の開発中とのリリースがしばしば耳目につくようになったが、コンシューマー版で腰を据えて遊ぶのがジージェネであると感じるファンも多く、「よりによってアプリか…」という反応も多々あった。
以降、何度もリリース予定時期を後ろ倒しにしていたため、一時期は「もう開発中止になったのでは?」と心配する声もあったが、ファンはご存じの通り4月16日に『GGENERATION ETERNAL(以下、ジージェネET)』として正式リリースされ、現在大反響を呼んでいる。
7月末時点で総ダウンロード数は600万を超えた。蓋を開けてみれば想像以上にスマホ端末でも違和感なくジージェネを楽しめたことの証左のような数字とも言えるだろう。
必須の設計要素がバッサリ削除。その結果スマホで遊びやすく…
ジージェネETでは、従来シリーズでは欠かせない存在だった要素がいくつか意図的に排除されている。とりわけ、もっとも衝撃的だったのが設計だ。
従来では手持ちのユニットを組み合わせて、新しい機体の設計図を解放するというプレイスタイルがジージェネ独自の楽しみとして認知されていた。しかし、本作では開発は残っているが、設計をすることはできない。

これも最初は違和感もあったが、実際にプレイしてみると、本作はスマホで遊ぶゲームであって、コンシューマー版のように長時間遊ぶための要素との親和性は高くないことが分かる。開発は残しつつも設計をなくしたことで、テンポの良いユニット育成が可能になっている。
このほか、戦艦の在り方も様変わりした。
戦艦の存在も過去とは大きく様変わり
過去作では戦艦にモビルスーツを搭載して出撃するという、”ごっこ遊び”のような楽しみ方もあったジージェネだが、本作ではステージ開始時点でユニットが既に配置される形に変更された。
これにより戦艦の援護射撃はもちろん、消耗した機体を帰艦させて回復という王道の遊びもできなくなった。
こちらも一見すると物足りなさを感じるかもしれないが、周回プレイが基本となるアプリゲームにおいて、「何度も戦艦に戻って回復して再出撃して敵を削る……」というプレイスタイルは冗長になりがちだ。
おそらくそうした懸念があって戦艦の存在も出撃させるものではなくしたのだろう。
代わりにジージェネETでは、戦艦は「サポーター」として導入。任意のタイミングで機体のエネルギーやHPを回復させる役割を担っているほか、いわゆる属性遊びのような形で編成のバリエーションを工夫させる仕組みに貢献している。
コンシューマー版にあったものがなくなり、アプリならではの要素が追加された
実は筆者、当初は「やはりジージェネは据え置き機で」という思いが強く、特に課金が前提となる「ガシャ」システムへの抵抗感から、リリース当初は本作に触れてこなかった。
好きなゲームの続編がソシャゲ、しかも課金しないとろくに遊べないという事例を何度も目にしてきたため、アレルギー反応も強かったのかもしれない。
ところがリリース2ヶ月のタイミングに、友人から「面白いから遊んでみなよ」という勧誘を受ける。(終いには仲間からスマホ端末が送られてきて、「これでジージェネETをやれ」とまで言われてしまった)
渋々スタートしてみると、従来のジージェネとは色々と勝手が異なるものの、やっていることはジージェネらしさも残ってることに気付いた。
懸念の課金要素だが、無課金で開発で入手できる機体を強くする程度でも「エターナルロード」という常設高難度ステージは突破できる。逆に言えばジージェネETは敵も味方もAIの挙動にクセがあり、オートで周回する場合には特に味方の損耗が大きくなる。
ただ、マニュアル操作することで一見すると「これは絶対クリアできないだろ」というような難度のステージも意外と何とか突破できることから、結果として従来作よりも遊んでいて楽しい。
そして、スマホアプリ化した最大の恩恵は、シリーズ共通の弱点であった「コンテンツの枯渇」を克服することも大きいように感じる。
コンソール版では機体も強化して、ステージも全部クリアして、設計も堪能して、黒歴史コードにも手を付けて……となると、もうやることは無くなっちゃう。ところが、ジージェネETは定期的に新しいイベントが開催されるため、コンテンツを食いつぶすこともない。
最高傑作超えも時間の問題?
ジージェネシリーズをめぐっては2000年発売の『SDガンダム GGENERATION-F』が「最高傑作めある」と主張するファンは多い。外伝作品まで網羅した、まさに“満漢全席”と呼ぶべき圧倒的なボリュームを誇った『ジージェネF』。
現在のジージェネETはまだFの域には達していないかもしれないが、過去作では収録されてこなかった機体が多数参戦しており、そのポテンシャルは計り知れない。
特筆すべきは、ユニットの戦闘アニメーションのクオリティだ。量産機や低レアの機体でも、劇中での活躍をかなり丁寧に再現した動きを見せるものが多い。特に『機動新世紀ガンダムX』に登場したコルレルというモビルスーツの挙動は要チェックだ。
アプリでの展開ならば接ぎ木のようにどんどん枝葉を増やしていけるため、数年後には明確にF超えのボリュームを達成しているのではないだろうか。そうして実ったものを、よき所でコンシューマー版の新作として還元してくれればうれしい。