【解説】「ガンプラないなら食玩を組めばいいじゃない」勢い増す“組立式おまけキット”の世界とは

なかなかガンプラが手に入らない状況が続いている――バンダイが先日、新工場を稼働させたばかりだが、まだまだ需要と供給の均衡には時間が掛かりそうだ。
とにかく焦っても仕方がないので気長に待つとしたいものだが、モデラーのなかには「そうは言ってもガンダムを組みたい」という方も多いはず。そこで、今回は同じバンダイがリリースしているガンダム関連の食玩に目を向けてみたい。
ここ最近、バンダイのキャンディ事業部は組み立て式無塗装キットが同梱された食玩に、かなり力を入れているのだ。
『ガンダムアーティファクト』の登場がガンプラオタクの目を引いた!
バンダイ・キャンディ事業部(いわゆるお菓子売り場に陳列される食玩を担当する部署)はかねてより、ガンダムにまつわるアイテムを山ほど発売してきた。
それこそ筆者がまだ小学生の頃。今から30年以上前の時点で、スーパーのお菓子売り場には組立式簡易キットが安価で売られていたものだが、こういうのはガンプラの廉価版としての役目も果たしていた。
もっと時代を遡ると、森永のチョコスナックにガンダムのミニモデルが封入されていた時代があるわけだが、残念なことに筆者は世代でない。とにかく、お菓子売り場には昔から小さなガンプラと呼んで差支えないものが陳列されていたわけだ。
ここ20年は食玩バブルの勃興と共に彩色済みのクオリティの高い食玩おまけフィギュアも次々登場したが、そのバブルは弾け、往時ほどの勢いはない。
その代わりに、昔よりも精密な造形の、無塗装組立式キットがガンダムの食玩としてリリースされるようになっている。
代表例は『ガンダムアーティファクト』。ガレージキット並の造形とクセのあるアレンジが目を引くモビルスーツが組立式のキットとして2021年から発売されており、話題となった。

(▲アーティファクトのパラスアテネ。泣きながら組み立て塗装したもの)
非常に精密なパーツがランナーに配されており、これがもはや食玩のレベルを超えた小型のガンプラ。組み立てるだけでも相当な歯ごたえがあり、塗装まで含めるとかなりの時間泥棒となる。
この『アーティファクト』はガンプラ難に喘ぐマニアに大ウケし、以降精力的に新作がリリースされる運びとなった。
『チョコサプ』、『スペリオルディファイン』で無塗装をネックとしない新しい食玩の楽しみ方が確立
そして、バンダイは7月に『チョコサプ 機動戦士ガンダム』もリリースした。こちらはチョコの中に組み立て式キットが封入されるタイプの古き良き形式での展開だ。現在でも探せばまだコンビニやスーパーで見かけることができる。
こちらは造形が素晴らしいおまけが全19種類ラインナップされており、発売直後からガンダムファンに注目されていた。

(▲組立て、塗装したチョコサプのおまけたち。ダブり上等!)
実際、筆者も『チョコサプ』はいくつか購入している。ブラインド方式なので何が当たるか分からないドキドキ感もあるが、ダブっても大半は量産機なので気にならないのも嬉しい。『アーティファクト』ほど塗装難度も高くないので、こちらはガンプラ初心者でも楽しめるかもしれない。
さらに、8月下旬にはSD体型での組み立てキット『ガンダム スペリオルディファイン』も発売した。こちらは3頭身ほどのまとまりの良い造形となっており、無塗装ながらそのまま飾っても満足度の高いものとなっている。
第1弾は全5種中4種がガンダムとなっており、全体的に人気の高い機体ばかりがラインナップされた。
やはり筆者も購入・塗装したが満足度の高い時間つぶしが出来た。「SD戦国伝」からもラインナップされているので、間口の広さや展開バリエーションの広さに今後も期待しているシリーズである。
食玩にも目を向ければ、ガンプラの代替品には困らない!
冒頭の話に戻るが、とにかくなかなかガンプラも入手するのが難しい状況は変わらない。「何か組みたい、塗装したい」という欲求はモデラーの性である。この欲求は定期的に満たしておかないと心がよどんでしまうもの。
そういう状況を防ぐためにも、食玩でガンダムを組んで、塗るという解決策があることを、筆者は声を大にして紹介していきたい。
最近はアナログ原型だけでなく、デジタル原型で作成したであろう食玩キットも少なくないが、精度の高いガッシリした造形は目にするだけで気持ちも引き締まる。
ここで紹介した3種の食玩も恐らくデジタル原型だと考えられるので、「ちょっと興味があるぞ」という方は、ためしに購入してみてはいかがだろうか?
その上で塗装もして自分だけの1体を完成させれば、きっとオタク心も満たされるに違いない。
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