経団連、コンテンツ産業の大規模支援を政府に要請「今すぐ行うべき」緊急メッセージ発信

日本経済団体連合会のクリエイティブエコノミー委員会とエンターテインメント・コンテンツ産業部会は6日、コンテンツ産業支援施策の拡充に向けた「緊急メッセージ」を発表した。政府に対し、複数年にわたる大規模かつ戦略的な支援を今すぐ行うべきだと求めている。
アニメ、ドラマ、ゲームをはじめとした日本におけるコンテンツ産業は近年大きく成長しており、海外市場規模が半導体の輸出額を超える水準に達する。経団連は2023年の提言でコンテンツ産業を日本経済をけん引する産業とするべきと主張し、政府もこれを受けて「新たなクールジャパン戦略」をはじめとする政府文書でコンテンツ産業を基幹産業と位置付けた。
世界における日本のコンテンツIPの存在感が高まる一方で、各国も強力な産業振興策を打ち出しており、国際的な競争環境は激化していると経団連は説明。そのうえで、「コンテンツ産業をわが国の基幹産業としてさらに推進していくためには、民間主導によるクリエイティビティの発揮を大前提にしつつも、官民連携による取り組みが不可欠である」と指摘。
「政府においては、これまで以上に本腰を入れ、複数年にわたる大規模かつ戦略的な支援を今すぐ行うべきである」と強調した。
具体的には海賊版対策の強化、グローバル市場調査・情報提供体制の強化、ローカライズ費用やプロモーション支援の強化などの海外展開支援、クリエイター人材の育成・確保や制作現場のDX推進支援などを挙げた。
分野別ではマンガの海賊版対策とローカライズ支援、アニメスタジオへの新人教育支援やデジタル技術投資支援、ゲームの新規タイトル開発支援、実写・ドラマのロケ誘致や国際共同製作に向けたインセンティブ強化、音楽の海外大型ライブツアー支援などを求めている。
経団連は2033年の海外売上高20兆円という政府目標の実現に向けて、これらに加えて司令塔機能の強化や税制優遇といったコンテンツ産業全体に対する支援策の拡充も不可欠だとし、引き続きコンテンツ産業の振興における活動を続けていくとしている。