終了予定だった「BS松竹東急」存続にJ:COMが名乗り出る 一時は巨額損失も「J:COM BS」として再始動


終了予定だった「BS松竹東急」存続にJ:COMが名乗り出る 一時は巨額損失も「J:COM BS」として再始動

JCOMは18日、BS放送局「BS松竹東急」運営会社の全株式を取得し、完全子会社化することを発表した。今回の子会社化により、BS松竹東急(BS260ch)は7月1日付けでチャンネル名が「J:COM BS」に変更して放送を継続する運びとなる。

J:COMは国内の大手ケーブルテレビ事業者として知られているほか、放送事業として傘下にスポーツテレビ局「J SPORTS」を有する。今回、放送事業における30年の実績と経験を活用することで事業成長につながると判断し、契約締結に至ったとしている。

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前年には38億円の損失を親会社が計上するなど不振だった

BS松竹東急とはその名の通り松竹と東急が提携し2022年3月に開局した新しいBS放送局。プロ野球をはじめサッカーやフットボール、ゴルフなどのスポーツ中継、ドラマや映画などのコンテンツを全国無料放送していた。

しかし、運営会社は今年3月、同局の放送を「6月30日24時(深夜0時)に終了」することを明らかにした。主要株主である松竹グループがBS放送事業からの撤退を決定したことを受けたもので、当時は終了後の対応を「未定」としていたが、今回ジェイコムが名乗り出たことで、名称こそ変わるものの、引き続き「J:COM BS」として存続する事となった。

BS松竹東急は開局して3年目になるものの、新規参入者として険しい道のりが続いていた。松竹が撤退以前に公表した開示情報によると、同局の業績不振が親会社である松竹株式会社にも影響し、これを理由に38億円の特別損失を計上していた。

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この背景について、松竹側はスポーツ中継の視聴率や認知率は「順調に推移している」としていたものの、放送コマーシャルなどの広告売上高の伸びが当初計画を下回っていると言及していた。

同局はBS放送局として、2007年の「BS12」以来の開局として注目されていたが、テレビのリモコンボタンに「260ch」が割り当てられておらず、新規の視聴者層の取り入れが比較的難しかったことが指摘されていた。

ドラマやスポーツを中心に、松竹繋がりで歌舞伎など演劇や落語、バラエティといったジャンルも「傑作選」として放送するなどして支持を集めていた同局。アニメジャンルも定期的に展開しており『リリアルなのは』『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』などを放送していた。タイムリーなところでは現在、6月16日〜23日にかけて、人気アニメ『TIGER & BUNNY』シーズン2をオリジナルの形で放送している。

著者 編集部 経済・社会担当
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