【解説】Xboxが携帯ゲーム機を投入…も従来とは似て非なるモノ?実態はほぼ手持ちパソコン


【解説】Xboxが携帯ゲーム機を投入…も従来とは似て非なるモノ?実態はほぼ手持ちパソコン

マイクロソフトは日本時間の9日、Xbox Games Showcase 2025にて新型携帯型ゲーム機を発表した。展開されるのは「ROG Xbox Ally」と「ROG Xbox Ally X」の2モデルで「手に持てるXbox」をコンセプトにしているが、実際のところは従来のXboxゲーム機とは似て非なる側面がある。

今回発表された2モデルはいずれもAMD社製プロセッサを搭載した携帯ゲーム機であり、特に上位機種となる「ROG Xbox Ally X」は16コアGPU、8コアCPU、メモリ24GB、1TBストレージを採用する。ディスプレイは1080pの120Hzリフレッシュレートに対応しており、パソコンにも並ぶ高性能となる。一方の「ROG Xbox Ally」は廉価で性能が低くなっているかわりに、クラウドゲーム用途などにも適する。

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ROG Ally

性能面でも期待される本機。その見た目からもまさに「手に持てるXbox」を体現している印象だが、直近の「Xbox Series X|S」をはじめとするXboxシリーズとは異なる点も多い。

まず挙げられるのは、製造は台湾のPC機器大手・ASUSが手掛けている点。ASUSは現在、ゲーミングブランド「ROG」にて携帯型ゲーム機(ハンドヘルド)シリーズ「ROG Ally(エイライ)」を展開している。本機が「ROG Xbox Ally」と命名されたことも鑑みると、やはり既存シリーズの派生とも取れる。

そして、もう一つの特徴は搭載されているOSが「Windows 11」である点で、これは市場で多く出回っているハンドヘルドと同様だ。単純にWindwos 11をインストールするのではなく、ゲームプレイに適したUIを採用したモードを採用したり、不要な機能を一部削除したりするなど、より使いやすくなっているという。

つまり「手に持てるXbox」というよりかは「ポータブルゲーミングPC」が実態に近く、独自のUIやシステムで動いている既存のXboxとは異なる点となっている。そのぶん使い道や拡張性は非常に高いものになっており、もちろん「Steam」も動作する。

Xboxがこの時期にこのようなコンセプトで手持ちデバイスを展開する背景には、同社が重点をハードウェアからソフトウェア、クラウドに移している現状があると指摘されている。

ゲーム事業はソフトが牽引、親和性高いWindows搭載

マイクロソフトは今年5月、ゲーム事業におけるハードウェアの販売数は前年同期比で6%減であることを明らかにすると同時に、Xboxシリーズ本体の値上げを発表した。上位モデルの「Series X」は66,978円から87,980円になったほか、最廉価モデルである「Series S」も67,480円となり、4万円台だった従来から大幅に上昇した。

しかし、ゲーム事業全体では前年同期比で5%の増収を記録した。これはサブスクリプションサービスやマルチプラットフォーム展開によるソフトウェア収益拡大がハード減退を相殺したことによるもの。Xboxブランドは現在、「Xbox Game Pass」のサービス拡充に注力しており、最新タイトルを常にプレイできることを強みとしているほか、「クラウドゲーム」機能を使うことでタブレット、テレビなどでも遊べる。

今回の「ROG Xbox Ally」ももちろん対応しており、Xboxエコシステムの一環として位置づけられている。事業基盤としてのハードウェアは強く、完全に見限るわけには行かない反面、こうした方針や外部環境を鑑みると今回の携帯型ゲーム機のハード展開は有用なものと見られる。 (※一部Typoを訂正しています)

著者 山本晃平