『ガンダム』新作の謎“合体編成”で公式が謝罪 視聴者から「日テレ側が対応を」募る局への不信感


『ガンダム』新作の謎“合体編成”で公式が謝罪 視聴者から「日テレ側が対応を」募る局への不信感

昨日5月6日も深夜24時29分から放送されたガンダムシリーズ最新作アニメ「機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)」の地上波放送をめぐり、EPG(電子番組表)での番組表示に混乱が発生したとして、5月初めに公式サイトが異例の謝罪と説明を行った。

この問題は日本テレビ系の「火曜プラチナイト」内で全く関連性のないバラエティと連続して放送されているため、EPG上で両番組が60分1枠としてまとめて表示されるというもの。実際に番組表を見てみると「上田と女DEEP【〇〇〇】/機動戦士(以下略)」という変則的な表記になっている。

この問題はすでに3月末、初回放送の1週間前よりXのトレンドに上がるほど話題に。「全国ネットで見られるだけありがたい」と楽観視する声を圧倒するように、「録画予約がしづらい」「番組自体の存在に気づきにくい」「バラエティの視聴者も困惑するのでは」と指摘する声が相次いでいた。

この件に対し、アニメ公式は声明を公表。「正しく番組タイトルが表示されない」「放送開始時間の表示が不明瞭」「録画が不便」などの声が多数寄せられていることを踏まえ「皆様にはご不便とご面倒をおかけしており申し訳ございません」と謝罪。表示については「番組・EPGの仕様でこのような形でお届けしておりますが、放送時間・放送内容の変更等を示唆するものではございません。」と説明。「何卒ご了承いただけますようお願い申し上げます」と理解を求めていた。

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https://www.gundam.info/feature/gquuuuuux/news/video-music/01_17322/

この対応をめぐり、X(旧Twitter)などSNSでは「アニメ公式が声明を出すのか」「どちらかというと日本テレビ側の事情では」として説明責任は放送局側にあるとの指摘が相次いでいた。(日テレが製作に参加している以上、公式からの発表が適切と判断した可能性も)

なお、日本テレビ側も悪意あってこのような編成を行っているわけではないと見られる。特に、問題が指摘された当時は「広告料金に関連する」との指摘が一部で挙がっていた。テレビCMの放映料金はゴールデンタイム→23時台→24時以降の順に安価になるため、やや無理にでも人気作のアニメを入れ23時時台始まりにすることで、広告収入を最大化できるという見方があった。

これまで『ガンダム』シリーズで「日本テレビ系」の放送作品は無く、今回が初の事例であり、制作決定当時は「何気に初」「これで民放制覇!」と話題になっていた。加えて、劇場先行直後には情報番組「ZIP!」とコラボし期待を寄せる声も多かっただけに、今回の問題に対してはとりわけ落胆する意見が多かったことも想定される。

最近の日テレはアニメに力を入れているが…改善望む声も

日本テレビの動きをみてみると、2023年にはお馴染み「金曜ロードショー」のあとに「FRIDAY ANIME NIGHT」と呼ばれる新たな放送枠が設置するなど、アニメを重視した編成を組んでいることが伺える。実際、昨年度の同社決算ではわざわざ一枚スライドを設けて、『葬送のフリーレン』『薬屋のひとりごと』の展開を「大成功」としてアニメビジネスを自己評価した。

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2024年3月期決算資料より

一方、深夜アニメ枠の境遇は他局と比べてやや弱い存在なのは否めない。例えば関東ローカルの放送枠「AnichU」は火曜深夜25時30分〜という見づらい時間帯にある上、3月まで放送された『花は咲く、修羅の如く』はすべてのエピソードが5分〜1時間放送開始が遅延し、一度も正規の時刻に始まったことがない不遇の存在として、コアなアニメファンの間で知られている。

今回の問題はさまさまな事情が絡んでいることは想像に易いが、視聴者ファーストを考えると「単独番組」がベストなのは言うまでもない。アニメビジネスの強化を進めるにあたっては、ファンからの支持向上も図る必要がありそうだ。

著者 山本晃平