制裁下のロシア、昨年始めた「国産ゲーム機」開発に苦戦か スペック不足と関係者言及
ウクライナ侵攻による国際的な制裁を背景に、ロシアは昨年から国産のゲームコンソール機開発に乗り出していることが明らかになっていたが、道のりは険しいものであるようだ。
昨年3月、プーチン大統領がロシア国内で据え置き型と携帯型、両方のゲーム機の生産を目指すべく、必要な検討を行うよう指示していたことが公式声明により報じられていた。これは、ソニーやマイクロソフトなど海外大手メーカーによる制裁を見越して、国民向けに独自のゲームプラットフォームを提供することを目指すものだとされていた。
本件について、政府関係者は先日12月末、試作機の開発段階において技術的な課題が浮き彫りとなっていることをテレグラムチャンネルにて共有した。投稿によれば、制作された試作機はロシア製の「Elbrus」プロセッサを採用しているといい、国産のオペレーティングソフトウェアで動作するものの、PlayStation 5やXboxなど既存の国外コンソール機と比較すると性能面で大きく見劣りする状況だと説明した。
ただ、関係者や開発チームは、今回のプロジェクトは単に既存タイトルの移植を目指すものではないとして「国内のビデオ ゲーム製品の宣伝と普及を目的」とする方針であることにも言及していた。
このプロジェクトについて、ソーシャルメディアでは制裁下での開発という特殊な環境もあり、通常以上の開発期間を要する可能性が指摘されている。ロシア側がどのようなゴールを設定しているかが不明であること、完成して商用化する場合どの程度の存在感を示せるのか、などの疑問の声が上がっていた。
なお、ロシア国内でのゲームハード開発をめぐっては、類似の展開事例として国内初となる「クラウドゲーム」クライアントが昨年末に発表されていた。これはサーバー側で描写処理を行うため、デバイス自体が高性能である必要がない。5000ルーブル程度で販売されているが、実態のところはFireTV Stickのようなものであるため、革新性には乏しいと評されていた。