直近には3億円超の賠償も…大手Switchエミュレーターが開発終了を突如発表、背景に任天堂からの要請か


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Nintendo SwitchタイトルをPCで動作させる、いわゆるエミュレーターと呼ばれるソフトウェアのうち、著名プロジェクトである「Ryujinx」が突如開発を終了したことがわかった。背景には任天堂との関連性があると見られている。

同プロジェクトをめぐっては先日、プログラムを開発、頒布するGitHubのページが閉鎖され、公式サイトのリンクも全て失効していることがユーザーにより確認された。その後、開発チームのDiscordチャンネルにてプロジェクトの終了が発表された。

今回の件は中心的な開発者であるgdkchan氏が任天堂との間でやり取りがあったものと見られており、声明によれば「任天堂から連絡を受け、プロジェクトの作業を中止し、管理する組織と資産をすべて削除するという合意を提案された」と伝えた。

合意の詳細な内容は明らかにされていないものの、プロジェクトの完全終了が確認できていることから、訴訟などを含めたリスクを回避するものとされている。

「発売前」のソフト流出で任天堂が本格的に対応か

Nintendo Switchのエミュレーターをめぐっては、2017年の発売初期より開発されていた「Yuzu」と今回の「Ryujinx」が2大巨頭とされており、いずれもWindows、Mac、LinuxのパソコンからAndroidまで、幅広いプラットフォームに対応。改造を施したスイッチ本体からゲームデータを「吸い出す」用途での利用を想定してた。

しかし、任天堂側はこれらのエミュレーターに対して対処する姿勢を強めており、本年、最大手である「Yuzu」の開発者が任天堂に対し240万ドル(≒3.57億円)の損害賠償金の支払いに合意し、プロジェクトの公開停止を行ったことが判明していた。

任天堂は以前からYuzuに対して「膨大な規模での海賊行為を助長している」として提訴。近辺には「発売前のROMデータが流出」していることが問題視されていたためか、双方の支払い合意に至った。

今回のRyujinxはそうした背景があるとも想定され、未然に提訴や損害賠償のリスクを防ぐ意図もうかがえる。周辺コミュニティは近日にも、YouTuberが同様のエミュレーターを紹介する動画が相次ぎ警告を受けたとの報告が話題になるなど、今後も任天堂による法的対応が強化されるとの見方が強まっている。

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著者 編集部 IT/デジタル担当
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