歴史問題に揺れる『アサシン クリード』新作、開発元が謝罪 開発意図の説明で“フィクション”強調、意見取り入れにも意欲的


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11月15日に発売を予定している新作ゲーム『アサシン クリード シャドウズ』をめぐり、指摘する声が相次いている歴史上の問題について、開発元のユービーアイソフトが23日に声明を公表。「日本の皆さまにご懸念を生じさせた」として謝罪した。

ユービーアイソフトより「アサシン クリード」シリーズ14作目として発売が控える今作は、16世紀の安土桃山時代の日本を舞台にしており、伊賀者の忍者である藤林奈緒江と、織田信長に仕えたとされるアフリカ出身の侍「弥助」二人の主人公をプレイアブルキャラとして展開されることが発表されていた。

しかし、同作の発表直後より時代設定やキャラクター選定など複数の内容について疑問を呈する意見が寄せられており、なかでも主人公の一人「弥助」が議論の的となっていた。彼が実在の人物であり、これまで多数の作品でも扱われているものの、その実態が多くは語られておらず、侍であったかどうかについての「歴史的証拠が乏しい」とする指摘がなされていた。

また、既出映像内に第三者のコンテンツを無断使用していたことや、時代考証、文化考証に欠けるという意見に加え、一部の英語インタビューの翻訳表現や作家の言動などが誤解や批判を後押しする形となり、一部からは「史実を眺めかねない」として、Xのトレンドに関連ワードが並ぶまでに進展していた。

こうした一連の状況を受け、ユービーアイソフトは画像4枚にわたって、これらの懸念に対する謝罪を文書で公表。シリーズを通して「史実や歴史上の人物を再現する目的で作られたものではありません」として、本作はあくまでフィクションである点について強調した。

一方で、開発にあたっては歴史家や研究者、外部コンサルタントなど幅広い関係者の協力を得て進めてきたといつつ、弥助を侍として描写している点が議論を呼んでいる点については「認識している」と言及。また、弥助「謎に包まれた稀有な存在」であることから「戦国時代の日本という魅力的な舞台を背景に『アサシンクリード』のストーリーを語るのに理想的」として、候補になっていたと背景を説明した。

また、ファンからの意見や感想は「とても大切にしています」として、引き続きのフィードバックを求めると同時に、ゲ一ム内容については開発チームのみが責任を負うため協力者への批判は控えていただくよう伝えた。

【公式発表】「アサシンクリードシャドウズ』開発チームより、日本の皆さまへ

初めに、約20年にもわたり「アサシンクリ一ド」シリ一ズをご愛顧いただき、心より感謝いたします。
その歴史の中で、第三回十字軍遠征のアサシンから、9世紀イングランドのヴァイキングをはじめ、さまざまな舞台や時代背景、キャラクタ一を登場させてきました。
そして、私たち開発チ一ムメンバーにとって、戦国時代の日本を舞台にした「アサシンクリ一ド」の制作は長年の夢でした。『アサシンクリードシャドウズ』の発表以来、多くのご期待をいただいた反面、日本のプレイヤーをはじめとする皆さまからご指摘やご意見も頂戴しました。
歴史表現に情熱を傾ける私たちにとって、豊かな歴史と文化の忠実な表現を憂慮される皆さまのご意見は深く尊重されるとともに、日本の皆さまにご懸念を生じさせたことについて、心よりお詫び申し上げます。
ここで、本作品に対する開発意図と開発に関する決定について以下のとおりご説明させていただきます。

■忠実性に関する全体的な取り組み
私たちは、没入感を実現するとともに、敬意を持った表現で戦国時代の日本を描くことに注力してきました。『アサシンクリードシャドウズ』を含む「アサシンクリード」シリーズのゲームは、史実や歴史上の人物を再現する目的で作られたものではありません。
プレイヤ一の皆さまの好奇心を刺激し私たちがインスピレーションを得た歴史的な舞台を探求し、知っていただくことを目指しています。『アサシンクリードシャドウズ』は、戦国時代の日本を舞台にした魅力的な歴史フィクションを描くエンターテインメントゲームとして開発を進めています。
そしてその開発にあたり、外部のコンサルタントから、歴史家、研究者、Ubisoftジャパンの社内メンバ一まで、幅広い関係者の協力を得て進めてきました。
こうした取り組みにもかかわらず、プロモ一ション素材の一部に監修が行き届かず、日本の皆さまにご懸念を生じさせることとなってしまいましたことを、重ねてお詫び申し上げます。
これまでに発表されたゲーム映像はすべて開発中のものでありゲーム本編の内容に関しては、私たちは皆さまからいただいた建設的なご意見に基づき、ゲ一ムを皆さまにお届けするその時まで、そしてその先も、改善の努力を続けてまいります。
また、制作プロセスを通じて多くの方々にご協力をいただいておりますが、ゲ一ムプレイとエンタ一テインメントを考慮したゲ一ム内容については開発チームのみが責任を負うものであり、ご協力いただいた関係各所には一切の責任はございません。
社内外を問わず、協力いただきました方々へのいかなるご批判も、どうぞお控えいただきますよう切にお願い申し上げます。

■創作表現と歴史からのインスピレ一ション
私たちはあらゆる場面で忠実な描写に努めているものの、「アサシンクリード」シリ一ズのゲ一ムはあくまでも歴史上の実在の出来事や人物にインスパイアされたフィクション作品です。
魅力的で没入感のあるゲ一ム体験を作り上げるため、「アサシンクリード」はシリーズ初期から創作表現の自由を活かして、ファンタジーの要素を取り入れてきました。たとえば、ゲ一ム内における弥助は、そうした創作表現の一例です。謎に包まれた稀有な存在である弥助という人物は、戦国時代の日本という魅力的な舞台を背景に「アサシンクリード」のストーリーを語るのに理想的な登場人物候補となりました。
『アサシンクリードシャドウズ』に登場する弥助は侍として描写されますが、この点が議論の的となっていることは私たちも認識しております。ただ、もうひとりの主人公である奈緒江(日本人の忍)も同じく重要人物であり、彼らふたりの主人公が、それぞれ異なるゲ一ムスタイルとストーリー、そして共に織り成す物語を提供します。
私たちは、皆さまのフィードバックをとても大切にしています。今後も貴重なご意見とご感想をお寄せいただけますよう、心よりお願いいたします。貴重なご意見を反映し、できる限り皆さまのご希望に沿うよう、努力を継続してまいります。
2024年11月15日に「アサシンクリードシャドウス』が発売された曉には、日本だけでなく世界中のプレイヤ一の皆さまに、私たちがこの作品に注いだ情熱と努力と愛が皆さまに伝わり、引き続き弊社のゲ一ムをご愛顧いただくことを願ってやみません。
『アサシンクリ一ドシャドウズ』開発チ一ムより

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著者 オタク総研編集部(地域/マガジン)
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