日テレ、アニメ事業収入が80%増加『フリーレン』『薬屋』は“大成功”強い手応え アンパンマンの中国番販も貢献


アイキャッチ画像

日本テレビを子会社にもつ日本テレビホールディングスは9日に2024年3月期(’23年4月〜’24年3月)の本決算を発表し、同日に公表された決算資料内にてアニメ事業の伸びが見受けられた。

発表によると、日本テレビ放送網全体では地上波広告の不振で減収減益となったものの、アニメ分野では収入が前期比79.7%増の66.95億円を記録し、同58%増となった28億円の支出を上回った。他ジャンルと比較しても秀でた成績になっており、「アンパンマンの中国番販が成功」や「新作アニメの配信、海外番販が好調」が起因したと説明している。

特に後者の新作アニメ展開については専用のスライドを設けたうえで、昨秋から日本テレビ系列にて放送されていた『葬送のフリーレン』『薬屋のひとりごと』の2作品の展開を「大成功」として、自己評価を行った。

『葬送のフリーレン』は日テレが新たに設けた金曜23時のアニメ枠「FRIDAY ANIME NIGHT」にて放送され、昨年9月末の初回は「金曜ロードショー」枠を用いて拡大版を放送するなど、異例とも言えるスタートダッシュだったことは記憶に新しい。以降約半年にわたりオンエアされるなかで注目を集め、原作マンガも800万部(放送前)→2000万部(放送後)と大幅に伸長した。また、昨年10月より土曜深夜に放送されていた『薬屋のひとりごと』も同じくアニメ化の好評タイトルとして、原作部数を1.5倍に押し上げた。

海外展開でも存在感UP・アニメ映画も複数出資

『アンパンマン』の伸長にもある通り、アニメ事業の海外展開についても大きく成長しているといい、グループ全社での海外セールスのうち、約半数がアニメを占め、昨年より倍以上に増加していたこともわかった。新作アニメでは先の『葬送のフリーレン』が、英語圏のレビューサイト「MyAnimeList」にて“全アニメ2万作品中1位”という記録的な成績を打ち出したほか、『薬屋のひとりごと』も同18位となり、海外ファンからも多大な支持を寄せられていたことが顕著にうかがえる。

日本テレビでは現在、アニメ枠「フラアニ」では人気ライトノベル原作による『転生したらスライムだった件』第3期が放送中で、前作に続き話題性を保っているほか、土曜日深夜にはヤングマガジン原作の『ザ・ファブル』も放送(いずれも連続2クール展開)。夏季以降は「アニメ化してほしいマンガランキング」で2位を獲得した「GANMA!」連載マンガ「多数欠」のアニメ化、そして翌年には『薬屋のひとりごと』第2期放送も控えており、さらなる展開に注目される。

なお、アニメ事業に関連して、映画分野についても昨年には“スタジオジブリ子会社化”という大きな動きが『君たちはとう生きるか』の大ヒットとともに話題になっており、こちらも「金ローでの過去作放送の増加」や「展覧会等リアル展開の促進」などを見込んでいる。また、その他アニメ映画では今夏公開の『僕のヒーロ―アカデミアTHE MOVIE ユアネクスト』にも出資しており、興収34.3億を記録した前作に続くヒットに熱視線が注がれている。(注記:ヒロアカのTVアニメは読売テレビが放送)

市井

著者 市井
オタク総研媒体統括 兼 合同会社サブカル通信社執行役社長。専門領域はアニメ、テクノロジー(ガジェット)、プログラミング、コンテンツビジネス。PRプランニングやIP調達なども担当しています。新作アニメ、海外スマホ、東南アジア好き。
メルマガ詳細