アニメ『範馬刃牙』「親子喧嘩編」突入で原作者「俺は勇次郎になりたかった」父親像をキャスト陣と語る〈板垣恵介×大塚明夫×島崎信長〉

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毎週日曜日23時30分よりTOKYO MX他にて放送中(Netflix先行配信中)のアニメ『範馬刃牙』第2期について、本日24日オンエアの26話「恋に殉じる」より「地上最強の親子喧嘩編」に突入する。

そんな本作の新編スタートを記念して、原作者の板垣恵介先生、範馬刃牙役・島﨑信長さん、範馬勇次郎役・大塚明夫さんの3名による対談インタビューを実施。本作への印象から「親子喧嘩編」の見どころなどが語られている。

大塚明夫「勇次郎の奇想天外さに毒されてもう何が起きても驚かない」

――現在地上波で大好評放送中のアニメ版『範馬刃牙』の最終章、「地上最強の親子喧嘩編(以下、「親子喧嘩編」)」がついにTVでもオンエアされますね。

板垣恵介先生(以下、「板垣」):『グラップラー刃牙』からシリーズを通して描いてきた親子喧嘩が完全に終わるという物語のクライマックスだから、アニメ(Netflix)でも当然盛り上がったな。

大塚明夫さん(以下、「大塚」):『刃牙』(シリーズ)の世界って基本的に強さを競う戦いですけど、この「親子喧嘩編」はちょっと特殊なんですよね。表向きは殺し合いのようなバトル展開なのに、その中でちゃんと勇次郎と刃牙が親子の交流している。その交流が楽しみで収録は本当にワクワクしましたね。

島﨑信長さん(以下、「島﨑」):親子喧嘩の掛け合いをしていると、明夫さん演じる勇次郎がずっと嬉しそうなんですよ。作中でも「おうおう刃牙、育ったな」「生意気言ってんな」「お前やるじゃねぇか」みたいな勇次郎の嬉しい気持ちが伝わってきて。最初憎しみから始まっていたはずなのに、だんだん親子愛っていうところに馴染んで変わっていくのがすごく楽しく、心が動くストーリーでした。

大塚:喧嘩の最中に「撫でてやるから来い」って勇次郎が言ったりして、刃牙泣いちゃってるじゃないですか。
島﨑:あれはえげつないですよ。
大塚:演じてて楽しくて仕方がなかったし、そういうストーリーを描く板垣先生ってどんな人なのって思うよね。とにかく通常の思考回路では追いつかない。勇次郎が地面に伏せられてもう駄目だっていう場面でも、アスファルトに穴をあけてその反動で拳を返すとか。強化ガラスを顔面で突き破るとか、奇想天外すぎてもう何も驚かないですね。世界で「刃牙」シリーズがウケているのは、それが楽しいんだと思うんですよ。「ありえねぇ」っていう喜びなんだと思うんですよ。

島﨑:「ありえねぇ」けど納得してうなずいちゃうような説得力がありますよね。そしてアニメではストーリーや登場人物に負けず、役者も濃いんですよ。印象的だったのが、勇次郎とマホメド・アライの再会のシーン。明夫さんと田中秀幸さんの掛け合いにみんな聞き惚れちゃって、直後に出番だった烈海王役の小山力也さんが出だしをミスってしまうなんてこともありました。あの力也さんでもやっぱり聞き惚れるんだなって、それでまた熱くなって。

大塚:誰が演じているというのもあるけど、やっぱり紡いである文章にそれだけの磁力があるんだと思う。板垣先生は不思議なほどそういうものをお持ちだなと思いますね。いくらでもアイデアやセリフが出てくるのかな?
板垣:いやいや、常に出てくるわけじゃないから(笑)。出るときは立て続けに出るけど、出ないとなるといつまでも出ない。でも、今褒められたシーンは自分でも「だろうな」と思ってた(笑)。才能が出たときだった。

島崎信長「最後の親子喧嘩は演じていて本当に楽しくて、そして複雑だった」

――24日からTV放送が始まる「親子喧嘩編」の見どころは?

島﨑:やはり今までになかった”父としての勇次郎”がどんどん出てくるところですよね。勇次郎の魅力は作中でもたくさん語られてるんですけど、まずシンプルに「やっぱ最強ってかっけぇ」ですよね。誰しも最初は最強になって腕力一本で全てを通すことに憧れたと思うんです。でも少しずつ大人になって現実を知っていくんですよね。

だからこそ、どこまでいっても腕力一本でわがままを押し通す、国も制すみたいな勇次郎の生き様に憧れますよね。それが世界中で愛されてる所以でもあって。人種や文化に関係なく本能でみんなが憧れる、刺さるんだと思うんです。でも「親子喧嘩編」では、その最強の男の父としての部分が顕著になる。

大塚:急に見えてくるよね。

島﨑:「最凶死刑囚編」から刃牙と勇次郎の親子としての関係性が増して、過保護とは言わないまでも「これは親から子へのアドバイスではあるよな」「心配してんだよな、見守ってんだよな」みたいなセリフやシーンがあって。それを積み重ねたうえでの最後の親子喧嘩は演じていて本当に楽しくて複雑だったんですよね。

勇次郎に「褒めてやる」って撫でられるのも、刃牙は「こんなことされたことなかったし、ずっと欲してたから嬉しい」って。口では「いや、ふざけんなよ!」って言いつつもやっぱり嬉しくて拒否しきれない。その勇次郎の父性はずるいですよね。”最強”っていう肩書があるからこそ、勇次郎の人間的な部分や父の部分が浮き彫りになるんですよね。……長々と話しましたが、勇次郎の魅力は本当に語り尽くせない。先生はよく、あのとんでもない人物を生み出されましたよね。

大塚:勇次郎は最初、刃牙にとって”ただ越えるべき山”という存在だったのかもしれないけど、先生が描いているうちに、先生の勇次郎へ想いが乗り移ってるんじゃないかなって感じます。
板垣:物語の中で勇次郎も成長して、どんどん魅力的になっていったな。
大塚:ちょっと重なってませんでした? 先生ご自身が勇次郎に。
板垣:……重ねたかった。自分の父親がまるっきり勇次郎と対極のタイプだったんで、父親に敵わなさを思い知らされたかった。こんなふうに圧倒されたかったなっていう想いが勇次郎には反映されてる。

大塚:息子としての父親像なんですね。
板垣:俺は娘3人だけど、息子がいたら本当に迷惑かけたと思うわ。「俺を抜くことがお前の仕事なんだ、お前の役割、責務なんだ」そんなことをどこかで必ず言ったはずだなと。適当な距離感が持てなくて迷惑だったろうな。
島﨑:板垣先生に「俺を超えろ」と言われるのはきついですね。壁がでかい。
大塚:超えられない壁だよね。

板垣:だから『刃牙』(シリーズ)に自分の想いを描いたんだよな。「あの親父が会釈するんだ!」って、そんなふうに驚けたら嬉しいだろうと。「ちゃんとしていてマナーもいい。ああいうふうに親父を見上げたいな」って。
大塚:なるほど。先生の理想像を勇次郎が全部体現したわけですね。
板垣:非常識に見えても、ちゃんと俺の中に憧れがあるんだよ。
島﨑:最初は強さを求める戦闘狂みたいなイメージで勇次郎を憎んでいたはずの刃牙も、彼を知っていくほどどんどん誇らしくなっちゃうんですよね。

板垣:とにかく超えようとしてたんだけど、一方で「親父が強いと嬉しい」んだよね。これは多くのファンと共有できるところだろうなと思いながら描いた気がする。

<以降、インタビューの全容は12月28日(木)発売の「週刊少年チャンピオン」4+5号にて掲載予定>