侵害報告も不可能?中国発ファッションEC「SHEIN」でイラストを無断利用したグッズ販売が横行…権利主が告発

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中国発の大手ファッションECサイト「SHEIN」で、イラストレーターの作品を無断で利用したグッズを販売するショップが横行してると、無断利用されたイラストの権利者が告発し話題になった。

被害にあったのはイラストレーターのKONNOITAさん。今回SHEINにて「40ピース 漫画人物グラフィック ランダム ステッカー」という名称でKONNOITAさんが描いたイラストを無断で用いたステッカーが販売されていたというもの。販売価格は169円となっており、破格の値段に惹かれる人も少なくはないだろう。権利侵害を報告したツイートは現在12万いいねを超えている。

https://twitter.com/muneganai29/status/1629390339621666816?s=20

今回SHEINを通じて販売されているような権利者に無断で作成されたステッカーは以前より中国のAliExpress(アリエクスプレス)や米国のWishなどでも多く見受けられたが、これらは海外配送という点もありハードルが高く「怪しい」と思われがちだった。

しかし、SHEINのようなECサイトは、近年注目を集め若者の間で浸透しつつある上に、今回の事案では「配送が3月2日~」と一般的な海外配送に比べ早い点から、ハードルが下がっており、警戒心なく廉価な商品を購入しやすい環境を生んでいると言えるだろう。

では今回の場合、どのように権利侵害に対処すればよいのか。まず第一に考えられるのはショップへの連絡がありうるが、ショップのページを確認する限り連絡先等の記載が無い為不可能。では他社ECのように「SHEIN」を介して報告出来ないかと確認したところ、「著作権」というリンクが見つかった。

本ページは日本語化されていないものの、「SHEINに掲載されている、またはSHEINからリンクされている素材が、あなたの著作権、商標、またはその他の知的財産権を侵害していると思われる場合は、当社のオンライン知的財産権苦情処理ポータル www.shein.com/ip-complaint から苦情をお申し出ください。(抄訳)」との記載があったが、まさかのリンク先が「ない」。404 Not Foundを返されるという事態に。

例えば類似ECのAmazon.co.jpでは「知的財産権侵害についての申し立て」が権利主より可能になっており、オンラインフォーム上で「著作権に関する問題 – 著作権のある素材(テキスト、写真、ビデオ、音楽、ソフトウェアなど)を不正に使用している」旨を迅速に報告することができる。

つまり、編集部が確認した限りだと「権利侵害」の専用フォームなどはなく、直接的に報告することは不可能という可能性が非常に高いことがわかった。カスタマーサポートとしてチャット機能が利用可能だったが、こちらは消費者目線での対応のため相手側の把握には時間がかかりそうだ。

以上のように、SHEINではイラストレーターの権利侵害に対する直接的な報告が不可能で、権利者の被害を最小限にとどめるための対策が望まれる。販売者による権利侵害商品の速やかな下架措置が望まれる一方、「SHEIN」に対しても権利侵害の未然防止や迅速な対応がプラットフォームを運営する立場として求められる。今後も動向にも注視したい。

※権利侵害や海賊版の相談は文化庁海賊版対策情報ポータルサイト等から可能です