『鬼滅の刃』中国公開が興収寄与も「一歩遅ければ延期だった可能性」政治的リスクが話題に


『鬼滅の刃』中国公開が興収寄与も「一歩遅ければ延期だった可能性」政治的リスクが話題に

現在公開中の「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来」が、世界興行収入で1000億円を突破し、累計収入は約1063億円に達した。これは日本映画として史上初の全世界興行収入1000億円超えの事例となっている。

日本国内では379億円超を記録し、海外でも広く支持を集めた同作。前週からの大きなトピックスといえば、11月14日(金)からの中国本土版での上映が上げられる。

本作は11月に入り、現地題名『鬼灭之刃:无限城篇 第一章 猗窝座再袭』として公開が決定。公開日直前までの前売券収入が1億8,000万元(約39億円)にのぼり、IMAX上映での動員が多いと報じられるなど、好調なスタートを切っている。

日本公開から4ヶ月が経ち、中国市場が世界興収の押し上げに寄与している一方で、同国での劇場公開は他国にない地政学的リスクの影響を受けやすい側面がある。

事実、北米や香港などアジア圏では8月以降から上映されていたが、中国本土がこのタイミングになったのは上映規制や表現修正などが必要になるというハードルが存在していた。また、直近1週間は首相による台湾有事に関する発言に対して中国が強く批判、政治的緊張が高まっている。

現に、17日には中国で予定されていた日本アニメ映画『クレヨンしんちゃん』最新作や『はたらく細胞』の上映が延期されたと報じられた。「娯楽にも飛び火した」とされるなど、コンテンツ産業の公開へ影響を及ぼし始めている。

とりわけ『鬼滅の刃』が14日の公開だっただけに、ネットでは「一足遅ければ公開延期や非公開になっていたかもしれない」との指摘が寄せられている。今後も審査や情勢により、興行への影響する可能性も存在する。

「鬼滅の刃」は、集英社ジャンプ コミックス1巻~23巻で累計発行部数1億5000万部を突破した吾峠呼世晴による漫画作品が原作、ufotableが制作するアニメ作品。2019年4月にテレビアニメの放送を開始し、「竈門炭治郎 立志編」以降「無限列車編」「遊郭編」「刀鍛冶の里編」「柱稽古編」を放・配信。7月18日(金)にはファン待望の最新作『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』第一章が公開。

©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

著者 経済/社会担当
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