不安定必至のJR新宿駅で5Gを“安定して繋げる”初の試み KDDIが中継技術で1Gbps超え実現

KDDIとJR東日本は24日、無線中継器を活用することで 5G(ミリ波)の通信エリアを拡大する実証試験が国内の駅で初めて成功したと発表した。JR新宿駅ホームにおいて4月11日までに実施された。
今回の実証試験では最多乗降客数で知られる新宿駅のホーム上にミリ波中継器設置。列車や利用客の往来が激しく、遮蔽物が多い環境下においても「1Gbpsを超える通信速度で、安定した通信が可能であること」を確認したという。
ミリ波通信は、28GHz帯の広帯域を活用することで高速・大容量通信を可能にする一方、電波の直進性が強く遮蔽物に弱いという課題を持つ。鉄道の駅構内のような複雑な構造物が多い場所では、従来、通信エリアの拡大が困難だったが、KDDI側はこの課題の対処として、ミリ波基地局の電波中継技術を2024年12月に開発している。

今回の実証では、JR新宿駅1番線・2番線ホームと周辺施設の合計4箇所にミリ波中継器を設置し、2月10日から4月11日まで通信エリアの拡大と通信速度・品質の検証が行われた。結果、駅ホームのように遮蔽物が多い環境下でも、ミリ波中継器が自律的に最適なルートを選択して電波を中継することで、通信エリアの面的な拡大と通信品質の維持が可能となったという。
今後、KDDIは本実証の成果をもとに、駅構内や沿線における5G通信エリアのさらなる拡大に取り組む予定としている。