古参も新規もメリットあり?アニメ『ガンダム』ジークアクスは全12話展開か…その理由を考える


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いよいよ来月、4月8日に『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(以下、ジークアクス)』が放送開始となる。先日にはキービジュアルやプロモーション映像も公開されたが、そのお披露目会場となったanimeJapan 2025内において、本作が全12話であることが言及された。

「全12話」としており、単純な1クールではなく続編や分割2クールといった場合を想定する声も多いが、現時点での情報を見るに『ジークアクス』は歴代ガンダムシリーズのテレビ放映タイトルとしては異例の短さになる可能性がある。

直近の『機動戦士ガンダム 水星の魔女』は分割2クール構成であり、そちらも従来より短いと考えられてきたが、さらに『ジークアクス』はその半分となる。かなりコンパクトな放送となるわけだが、この短さは従来からのガンダムファンにも、新しくガンダムに触れる層にも、効果的に作用するのかもしれない。

ファースト世代はじめ長年のファンには、手軽に楽しめる構成か

ガンダムシリーズは1979年に放映がスタートした『機動戦士ガンダム』を祖とした作品群。続編や世界観を一新したタイトルに劇場版、SDガンダム、コミック派生作品、OVAと、これまで長い期間を掛けてファンの琴線に触れるコンテンツを作り出し続けてきた。初代ガンダムを観ていた方々は、現在では中高年から熟年層のくくりに入る方も多い。

それだけに、年齢的な要素も考慮すると、従来のように3クール、4クール構成の作品を追うというのは時間的にも負担が大きい部分があったと思われ、実際にその声も多い。『水星の魔女』の2クール制は、途中で休止期間もあったので非常に視聴しやすかった、と知人の古のガンオタ(ガノタ)も話していた。

そこへ来ての『ジークアクス』は、時間の制約が増えてきた長年のファンには配慮された構成と言えるだろう。

なにせ12話完結なのだから、リアルタイムで観ても負担は4クールの1/4だ。個人的な話になるが、筆者も現在は4クール作品を追うのは容易ではない。長年趣味で視聴している大河ドラマも、クオリティによっては視聴が苦痛に感じる年もある。

ただ、1クール完結もしくは休止期間を設けての2クールであれば一気見しやすく、あえて言うなれば「ハズキルーペなしにはガンプラも組めなくなった」ほどの世代にとっても『ジークアクス』は視聴しやすい放送形態なのかもしれない。

何より、ガンダムに興味があるけどまだよく知らない人たちへの訴求力が期待できる!

もう一つ、指摘されている理由には新規層の獲得がありうる。ガンダムというコンテンツはしばしば、新参者に対してオールドファンが冷たいと言われることがある。これに関しては、いちガンオタとして弁明の機会をいただけるならば「これまでに展開されてきたシリーズのコンテンツが多彩過ぎて、オールドファンも新規層にどう対応していいか分からない」という思いがある。

それならば、お互い関わり合いにならずに生きていれば軋轢も生じないのだが、稀にガンダムを知らない若い人から「ちょっと興味あるんで、どれを観たらいいか教えてください」と言われることが。この時、僕は大いに悩むのだ。

とにかく放送された時期を追って観ることを薦めるべきか、宇宙世紀を時系列順に追うことを薦めるべきか、あるいは自分が気になったものだけつまみ観ることを薦めるべきか。相手の熱量によって返答は都度考えてがいるが、中には興味があって観たものの、長過ぎて途中離脱してしまった、という人もいた。

…それはそう。私たちにとっては名作でも、若い方からすれば古い印象のコンテンツという見方はあるだろう。しかし『ジークアクス』は、1クール(の見込み)。

「とりあえずガンダムを観たいのですが何を観るべきですか?」と問われたとき「12話完結の作品があるので、それを観てはいかがでしょうか」と提案できる選択肢が増えたのは喜ばしい。OVAならもっと短い作品もあるが、『ジークアクス』はこれから放映されるため、リアルタイムで楽しむという体験も共有できる。

肝心の『ジークアクス』の内容に関してはまだ詳細が不明だが、先行公開版が多くのファンに強い印象を与えたことを考えると、あの映画をきっかけに現在サブスクリプションサービス(Amazon PrIme Videoなど)で旧作を視聴している人も見受けられるので、期待は大きい。

ということで、まだガンダムにあまり詳しくないけれど、そろそろガンダムシリーズを視聴してみたいというあなた。まずは4月から『ジークアクス』は必見だ。そして次のステップは……もう答えは明らかだよね。SDガンダム戦国伝を武者七人衆編から追いかけて、漢字の知識が豊富になるのだ!(文/松本ミゾレ)

『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』作品情報

本作はガンダムシリーズの新作として昨年12月に詳細が発表。シリーズ制作のサンライズと「エヴァンゲリオン」シリーズで知られるスタジオカラーとの共同制作として注目を集めており、監督には『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の鶴巻和哉氏、シリーズ構成に榎戸洋司氏、メカニカルデザインに山下いくと氏、脚本に庵野秀明氏を含む豪華スタッフ陣が集結する。

宇宙に浮かぶスペース・コロニーで平穏に暮らしていた女子高生アマテ・ユズリハは、戦争難民の少女ニャアンと出会ったことで、非合法なモビルスーツ決闘競技《クランバトル》に巻き込まれる。
エントリーネーム《マチュ》を名乗るアマテは、GQuuuuuuX(ジークアクス)を駆り、 苛烈なバトルの日々に身を投じていく。
同じ頃、 宇宙軍と警察の双方から追われていた正体不明のモビルスーツ《ガンダム》と、そのパイロットの少年シュウジが彼女の前に姿を現す。
そして、 世界は新たな時代を迎えようとしていた。

制作 スタジオカラー/サンライズ
原作 矢立 肇/富野由悠
監督 鶴巻和哉
脚本 榎戸洋司/庵野秀明
配給 東宝/バンダイナムコフィルムワークス
製作 バンダイナムコフィルムワークス

©創通・サンライズ

著者 松本ミゾレ