「ホロライブ」相次ぐ“卒業ラッシュ”に代表が声明 ファンや株主による「懸念」どう受け止めている

VTuberグループ「ホロライブ」を運営するカバー株式会社は3月6日、所属タレントの紫咲シオンが4月26日をもって卒業することを発表。公式の発表直後、同社の代表取締役である谷郷元昭氏が自身のXにて相次ぐタレントの卒業について言及した。
紫咲シオンは2018年にホロライブ2期生としてデビューし、約7年間にわたり活動を続けてきた。ホロライブの黎明期からグループの発展に貢献し、活動の幅を広げファンを魅了してきたが、このたび卒業を決断したという。カバー社は発表に際し、「これまで温かいご支援をいただいたこと、心より感謝申し上げます」とコメントしている。
【お知らせ】
紫咲シオンはホロライブを卒業します。
6年半という期間支えてくれたみんな、本当にありがとうございます。
この決断は自分の中で数年、沢山考えた結果です。卒業配信は4月26日を予定しています。
その日まで、最後までもっとたくさん思い出作りたいです!…
— 紫咲シオン🌙 ホロライブ (@murasakishionch) March 6, 2025
今回の卒業発表について、決断に至った理由として自身は配信を通じて「会社との方向性の違い」を挙げた。ホロライブ2期生として活動をしていくなかで、特にここ数年でそうした思いが強まっていると明かしていた。
ホロライブでは近年、複数のタレントの卒業や活動休止が相次いでいる。2024年8月には湊あくあ、同年10月にはワトソン・アメリア(EN)、2025年1月には沙花叉クロヱとセレス・ファウナ(EN)がそれぞれ卒業を発表。約半年間で5人がグループを離れることとなっていた。
こうしたタレント卒業の最大の理由は「方向性の違い」である場合が多いものの、多発する現状について、運営方針や労働環境に関する懸念を抱くファンや視聴者が多く見受けられた。
一連の卒業ラッシュ受けて、谷郷氏は「卒業に関するお知らせが続き、皆さまにご心配をおかけしていることを真摯に受け止めております」「私たちもタレントの旅立ちを見送るたびに、皆さまと同じように寂しさを感じています」とした上で、タレントが才能を最大限に発揮できる環境を整えるため、EXPOや3Dライブ、企業タイアップ、音楽制作など多方面から支援を行っていると説明。
一方、至らぬ部分も多いとして「私自身もタレントと直接対話する機会を設け、改善に向けた取り組みを進めています」と、運営体制の見直しにも言及している。
いつもホロライブプロダクションを応援いただき、ありがとうございます。 卒業に関するお知らせが続き、皆さまにご心配をおかけしていることを真摯に受け止めております。 私たちもタレントの旅立ちを見送るたびに、皆さまと同じように寂しさを感じています。…
— 谷郷元昭(YAGOO) / COVER Corp. CEO (@tanigox) March 6, 2025
なお、この問題は視聴者だけでなく、以前より同社株式を保有する株主からも同様の懸念が寄せられていた。直近の同社は「ホロライブカードゲーム」などの投入で直近に手堅い成長を見せる一方、卒業などの際にはこうした懸念が強まり、一時株価が大幅下落したこともあった。
卒業や活動休止といった「一瞬でIPを失う事態(2024年定時株主総会抜粋)」について、受け止め方を問われた同社は「タレント一人に対する依存度は一番高いタレントでも5%以下となっており、一定の収益分散を図っております。また、継続的に活動いただくにあたっては、一番重要となるのは会社のサポートであることを理解しております(中略)タレントのステージに応じて会社のサポート体制も整える必要があり、適切に見極めてまいります。」とコメント。健康管理などを含めたサポートを行っていると言及していた。