『ドラゴンボールDAIMA』戦闘力の“デフレ”は成功か否か…ラスト突入でソシャゲ売上に心配の声も


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現在放送中のアニメ『ドラゴンボールDAIMA』が、2月28日に最終回を迎えると発表された。6年ぶりのドラゴンボールのテレビアニメシリーズということで大いに盛り上がっているが、とある観点から、ドラゴンボール関連のソーシャルゲームやグッズ売り上げに影響を及ぼしてしまうのでは?という懸念も考えられている。

ドラゴンボールのアニメシリーズはこれまで、新作が作られるたびに前回の敵を上回る強敵が現れて、それに対応するべく、主人公の悟空たちが青天井でパワーアップをしてきた。(※以降、作品の内容に関する言及がございます。ご注意ください。)

ゲームでも人気の最強形態を超える存在

『DAIMA』の前に放送されていたテレビシリーズ『ドラゴンボール超』はまさにその例で、悟空は原作漫画の最強形態であった“超サイヤ人3”より上の、超サイヤ人ゴッド、超サイヤ人ブルー、身勝手の極意“兆”、身勝手の極意といった新形態を会得していった。

一方で『DAIMA』は、悟空たちが小さくなってしまい、弱体化した状態で“大魔界”を冒険するストーリー。当然、相手もそれにあわせてそれほど強くない。今作で悟空の助っ人的な役割をしている謎の青年・グロリオは、通常の超サイヤ人に変身した悟空と戦い、すぐに力の差を悟って降参した。

大魔界で屈指の強さを誇るというドラゴンボールの守護神・タマガミたちに関しても、悟空が超サイヤ人2に、ベジータが超サイヤ人3になれば倒せるほどの強さ。原作以上の戦闘力のインフレが起こっていないのだ。

第17話では、ラスボスとされているキングゴマーとついに対峙。キングゴマーはこれまでの敵と段違いの強さで、追い詰められた悟空が奥の手として超サイヤ人3に変身して、反撃を試みたところでこの回は終わった。この後、これ以上のパワーアップ展開はもちろん考えられるが、クライマックスを前に、いまだに悟空たちは原作よりも強くなった姿を見せていない。

こうした戦闘力のデフレは、1996年に放送された『ドラゴンボールGT』でも行われていたが、この作品では最終的に、悟空は原作の最強形態を超える超サイヤ人4に変身した。そしてこの超サイヤ人4が現在、ドラゴンボールのゲームなどで大人気を誇っている。

「ドッカンバトル」での実装はどうなる

バンダイナムコHDが公開するタイトル別売上高を見ると、ドラゴンボールは2018年度からずっと1000億円以上の売上高をキープしている。この数字の原動力になっているのが、スマホゲーム『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』。2015年にサービスが開始され、2021年にダウンロード数が全世界で3.5億を突破。App Storeの売上ランキングではいまだにトップ常連のメガヒット作品だ。

『ドッカンバトル』の売上げの大部分をしめているのが、ソシャゲでおなじみの“ガチャ”。この“ガチャ”で人気のキャラが、前出の超サイヤ人4や、超サイヤ人ブルーなど、アニメでとてつもない強さとカッコよさを誇っていたキャラたちというわけだ。そのため、“かわいい系の路線”で、強さは原作よりも劣る『DAIMA』のキャラをゲームに実装しても、ガチャがあまり回らないのでは?という心配がにわかに挙がり始めている。

悟空たちを弱体化させることで、ドラゴンボールの新たな可能性を示したという意味で、『DAIMA』という作品は偉大。それでも、前よりももっともっと強くなる悟空たちがみたいのが、ドラゴンボールファンの性かもしれない。

著者 神山勝丸
ドラゴンボールとドラクエ、鳥山明を愛する30代。好きなアニメはサザエさん。