【独自】「とらのあな秋葉原店A」20年の歴史に終止符 店内フォトギャラリー
8月31日に「とらのあな秋葉原店A」を含む、とらのあなの池袋店以外の実店舗が閉店となった。同店舗最後の日となった昨日、本メディア記者が「秋葉原店A」を訪れた。【オタク総研独占レボート】
秋葉原店Aなどが閉店
同人誌販売の老舗・王道とも言える「コミックとらのあな」。そんな大手企業は1994年に秋葉原の地にて創業した。「秋葉原店A」は2002年に「秋葉原1号店」として現在の場所にて開店。その間、現在に至るまで東京だけでなく日本各地や海外(台北)にも店舗を展開。昨日までの約20年間、変遷を続ける秋葉原を見守ってきた。
しかし、新型コロナウイルスでの顧客減少やオンラインサービスへの集中化に伴い、2021年に「秋葉原店B」「秋葉原店C」を閉店。そして後を追うように8月31日に秋葉原エリア最後の店舗「秋葉原店A」の閉店に踏み切った。(本記事下部にて詳しく解説)
店舗内フォトギャラリー
そこで本記事では先日閉店した「とらのあな秋葉原店A」の店舗内のようすを特別に撮影させていただいた。普段は撮影禁止の店内をフォトギャラリーという形で公開する。
よく通っていた人は勿論、長らく店舗に来てなかった人も是非懐かしみ、記憶に刻んでいただきたい。
1F・2Fでは主に商業誌を取り扱っており、特に店舗の顔である1Fの入り口付近では人気の新刊を多く取り扱っていた。
2Fは1F同様商業誌エリアだが、おもに既刊を取り扱っていた。BLコーナーと百合コーナーがご対面する一角も。
特にウマ娘などのメディアミックスで展開する人気作品は新刊の販売と共にMVを流したりグッズを置いたりされる「祭壇」も形成されていた。
1階・2階・3階は店舗入り口付近にも階段が設置されており、新作ゲームのポスターから新刊情報などが壁から床まで埋め尽くす光景が見られた。
3Fも同じく商業誌を取り扱っているが「メディア」というジャンルで、バンドリやアイドルマスターの円盤が多く立ち並ぶほかアニメ化決定の”アツい”コミックもここに。
3Fには同人CDのコーナーもあり、徐々に”同人ショップ”感が漂ってくる。4Fは一般向けのオールジャンル同人誌フロア。主に女性向け同人誌やオリジナル(1次創作)の同人誌がメインだった。
店舗従業員の方が丹精込めて作られた店内POPも同人ショップならでは。
同人ゲームとして始まり、こちらも20年以上の歴史を持つ「東方プロジェクト」の一角も人気だった。
そして5F・6Fは18歳以上立ち入り禁止の成年向け同人誌コーナー。また、5Fではいわゆる”エロゲー”を含む成人向けソフトのコーナーも。二次創作作品やR18作品などは各エリア全部を詳しく紹介することはできないが、「何も買う予定もなかったのに掘り出し物見つけた…」とついつい買ってしまう人の気持ちがわかる、そんなフロア。
7Fはイベントブースとなっており、一定期間ごとに入れ替わりで開催されるポップアップストアにて、展示観覧や物販購入が行えた。また、同じく7Fはオンライン通販で購入した承認の受け取りも行え、最近では店舗受け取り割引キャンペーンも行っていた。
地下にもフロアがあり、B1Fでは成年向け商業誌などのアダルト関連商品が立ち並ぶ。
以上、簡潔に「とらのあな秋葉原店A」を紹介した…と言いたいところだが最後に一つだけ。店舗のフロア間移動は階段とエレベーターで行い、階段は下り専用と上り専用に分かれている。秋葉原周辺のサブカル関連ショップならでは(?)の「階段の譲り合い」が起きにくい仕組みになっていた。
※アダルト関連商品コーナーはモザイク等の加工を施しています。
※秋葉原店Aの公式ツイッターには「もういっぽん!コーナー」といった細かいコーナー紹介もあるのでそちらもご覧下さい
とらのあな 今後の戦略
※以後、「とらのあな」は店舗サービスの総称・「虎の穴」は前項の運営会社を指します
虎の穴は8月31日で秋葉原店Aを含む、池袋店を除くすべての直営実店舗を閉店した。
これらの閉店はグループの経営不振などの理由ではなく、「好調となっているオンラインサービス事業及びEC事業の拡大の推進によるもの」としている。
虎の穴はネット通販サイト「とらのあな通信販売」以外にも2016年にファンコミュニティプラットフォー厶「Fantia https://fantia.jp」やオタクに寄り添う結婚相談所「とら婚 https://toracon.jp」などのサービスを開始。
同社サービスの2022年度の流通総額は307億円との見通しを発表。特にFantia事業は前年比265%↑の好調。
急成長を遂げる一方で、現在のとらのあなの主力である女性向け同人誌の流通内訳は【通販97%・池袋店2%】としており、秋葉原店Aを含む他店はわずか1%。
店舗運営の採算を考慮し、女性向け同人誌を取り扱う「池袋店」の継続に踏み切った。
新たな店舗経営の形も
また、同社が数年前から推進し、現在(2022年8月31日時点)は全国で19店舗を展開する「インショップ(出張所)」や「Pop-up Store(イベント出店)」等への切り替えを目指し、現在の市場に即した形に転換するとしている。
それらの一環として、次項で述べるような取り組みが行われる身通し。
秋葉原にギャラリーを新設
今回秋葉原エリアから「とらのあな」は撤退という形にはなったものの、今後新たに同じく秋葉原エリアのビル「ガシャポン会館」6階にクリエイターの新しい発表の場として、グループ会社である「ツクルノモリ」プロデュースによるギャラリーの設置が決まっている。
詳しいオープン日時等は公式サイトがで是非チェックして頂きたい。
虎の穴は「今後もさらなる事業構造改革を断行し、2025年度に流通総額400億円超達成を目指す」とのこと。秋葉原を長年見守っていた実店舗が無くなるのは寂しいが、今後の活躍が期待される。
撮影協力: ユメノソラホールディングス株式会社
取材・文・撮影: 市井(サブカル通信社 法人代表)