サムスン、PC向けに「巻き取れる」ディスプレイを初めて量産へ 気になる耐久性はノウハウ活用で担保


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サムスンのディスプレイ製造子会社・Samsung Displayは先日開催された大型IT見本市「CES」に出展し、世界初となるノートPC向けローラブル(巻取り式)OLEDディスプレイの量産を2025年4月より開始すると発表した。レノボの新型ノートPC「ThinkBook Plus G6 Rollable」が初の採用事例になる見込み。

搭載デバイスは高額の見込み

同社がCES 2025にてデモも披露したこの技術は、垂直方向に約50%ディスプレイ領域を拡張することができるもの。通常時は14インチ・アスペクト比5:4の画面として使用でき、キーボード下部に収納されているが、展開すると16.7インチ・アスペクト比8:9まで拡大。これにより、マルチタスク作業時の視認性と作業効率が大幅に向上するという。

サムスン・ディスプレイは、従来から高価格帯のスマートフォン向けに使用していたOLED技術を、ノートPC向けとして初めて採用したものと説明。パネルの薄型化を実現するとともに、消費電力を30%削減することに成功したといい、業界で初めてパネル自体に偏光機能を組み込んだものとアピールしている。

巻き取り部が増えると物理的な損傷が心配なところだが、サムスン・ディスプレイの製品責任者は「ロール式ディスプレイが伸びると、ストレスがかかる可能性がありますが、当社の折りたたみ式大量生産の経験に基づいて、ロール式製品の耐久性を確保するように設計した」と明かした。

ただ、初搭載が予定されているThinkBook Plus G6 Rollableの想定価格は3499ドルから、日本円でおよそ55万円程度と最高クラスのノートPCになる見込み。日本国内での展開予定は今のところなく、実際に購入できるようになるまでにはまだしばらく時間は掛かりそうだ。

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今回の両社の取り組みについて、レノボ側はモバイルワーカーやクリエイター、マルチタスク…など、効率を重視するビジネスユーザーを主なメインターゲット層と捉えている。文書作成からコーディング(プログラミング)、コンテンツ制作など、様々な業務において、サブモニターを持ち運ぶことなく、生産性向上が図れるという。

著者 編集部 IT/デジタル担当
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