game8にgamewith…攻略サイトが模索する新ビジネスとは?強み活かし“脱Apple税”の流れに乗れるか


アイキャッチ画像

ゲーム攻略サイト大手のGame8とGameWithが、立て続けに「アプリ外課金」サービスの本格参入を念頭に置いた発表を行った。ゲーム業界では近年より「プラットフォーム手数料」を回避する動きが見られており、攻略サイトならではの強みを活かした新たなビジネスモデルの確立を目指しているようだ。

攻略サイト各社の新規事業展開

攻略サイト「Game8」を運営するグノシー傘下のゲームエイトは19日、ソニーペイメントサービスとの合弁による新会社「S8 Plus」を設立すると発表した。新会社では中核として、攻略記事からシームレスに課金できる記事内アプリ外課金システムを開発するといい、情報収集から購入まで一連の流れをスムーズにする狙いを明かした。

また、パブリッシャー向けには、アプリ外課金の導入支援パッケージを提供する計画も進んでいるほか、攻略サイトならではの販路を活かしたゲームダウンロードキーの販売も視野に入れており、新規ユーザー層へのアプローチを強化する方針を示した。

1219-aiudp5n1
Game8資料「記事の中でのアプリ外課金」

国内最大手で知られるGameWithも同じ時期の16日、デジタルガレージが開発したアプリ外課金プラットフォーム「アプリペイ」との提携を発表し、課金ユーザーのサービス送客を「GameWith」内で行うことを明らかにした。こちらもGame8と同様に、課金意欲の高いユーザーが多く集まる攻略サイトの特性を活かし、効果的な課金導線を設置する点を億兆としつつ、低コストでの実装が可能な仕組みを採用することで、参入障壁を下げる。

1219-b1lfhxg6
Gamewith資料「攻略情報ページに紐づけスムーズな課金誘導を可能に」

現在、AppleのApp StoreやGoogleのPlayストアでは、アプリ内課金の売上から約30%が手数料として徴収される。この料率が極めて高いことから、しばしば開発企業からは「Apple税」と揶揄されており、開発者やパブリッシャーにとって大きな負担となっている状況が続いている。

そうしたなかで、アップルやグーグルは緩和策として、アプリ外のウェブサイトなどでの独自決済、つまりアプリ外課金の導入を条件付きで許可している。また、今回のゲームエイトの発表では新会社設立の理由の一つとして、今年の6月に国会で「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」の可決を挙げるなど、世界的に問題解決に向かっている状況にある。

今、大手タイトルが相次ぎアプリ外課金を導入。実際に好影響与える事例も

なお、アプリ外課金の動きとしては、すでに大手パブリッシャーの間でも、導入が進んでいる。バンダイナムコの「アイドルマスター」シリーズや、アニプレックスの「Fate/Grand Order」では公式ストアページを通じてゲーム内有償通貨の販売を開始した。いずれも「アプリ外課金で〇〇%還元」「アイテム〇〇%追加」といった、本来徴収されていた手数料分をユーザーに還元することでお得感をアピールした。

実際にアプリ外課金を用いたことで良い影響を与えた例もあり、ゲーム「メメントモリ」を運営するバンク・オブ・イノベーションは今年夏、APK版(Playストアを経由しないバージョン)の提供により手数料を30%から25%に削減する見込みであると報告していた。

1219-oh52fnpg
バンク・オブ・イノベーション社発表決算資料より

なお、アプリ外課金には大きな課題として、ユーザーへ周知する手段が限られる点が挙げられる。これはアップルやグーグルがアプリ掲載のガイドラインにおいて「アプリ内で外課金を誘導してはならない」との旨が含まれ、大々的に宣伝できないケースもある。これらの場合は公式SNSや公式HPでの周知が必要となる。

しかし、ゲーム攻略サイトには多くのプレイヤーが集まるため、攻略情報を提供しながら、アプリ外課金の存在や付加価値をアピールする場としては非常に魅力的となる。

GameWithの事例では、近年の広告単価下落や外的要因に伴い、主力のサイト運営事業の成長鈍化が顕著に見えるなかで、過去の決算説明では今回のようなサービスの提供を示唆。新たなビジネスとして力を入れているものとみられる。

著者 編集部 経済・社会担当
オタクの“今”を届ける新・総合メディアより、アニメ・ゲーム等関連企業の動向やコンテンツ産業の動きを紹介します。エンタメと経済、双方の視点で迅速に、わかりやすく、独自の切り口でお届けいたします。
メルマガ詳細