なぜ?民放各局で23時台の“アニメ枠”が急増中…テレ朝も来春新設で「ぬ〜べ〜」など放送、フジテレビも繰り上げ編成
今月上旬、地上波キー局の来年春の改編報道が相次ぎ「ズームインサタデー」「ワイドナショー」といったなじみある番組の終了が話題なったが、アニメ関連でも大きな変化を迎えそうだ。近年増える「23時台」のアニメ枠新設の動きが来春以降も行われることが明らかになっている。
昨日17日、テレビ朝日はアニメ作品の新ラインナップを発表。来春4月より毎週水曜日23時45分から「IMAnimation W」枠を設立し、4月から『ユア・フォルマ』を、7月から『地獄先生ぬ~べ~』を全国ネットでオンエアすると発表した。
前者は電撃文庫刊の人気小説を現在とする新作、後者は原作2,900万部を突破する言わずとしれた人気作であり、いずれも新枠の開幕にふさわしい強気のラインナップに。テレ朝は10月から毎週土曜日にも23時台に「IMAnimation」枠を運用していた。
地上波における23時台は「プライム2」「プラチナゾーン」などと称され、ゴールデンタイムに続く、多くの視聴者を集める非常に重要な時間帯になる。近年、そんな23時台に新たにアニメ枠を設立する動きが活発になっており、アニメ作品に対する期待や注目度の高まりが如実に反映されていた。
たとえば日本テレビは昨年9月に「FRIDAY ANIME NIGHT」と呼ばれるアニメ枠を毎週金曜日23時より設立。以降『葬送のフリーレン』『転生したらスライムだった件』を1年かけて放送し、来る1月からは人気シリーズ『薬屋のひとりごと』第2期が控えるなど、アニメファンの間でも定着した印象だ。
日テレに続き、今年4月には中京エリアのCBCテレビがTBS系全国ネットとして、毎週日曜日23時30分から「アガルアニメ」枠を設立。転生系作品『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる』のほか、『キン肉マン』の完全新作を放送するなど、こちらも話題性を欠かない。
そして先日10日、フジテレビがアニメラインナップ発表会において、20周年を迎える深夜アニメ枠「ノイタミナ」を「23時に繰り上げ編成(曜日未定)」することが明らかに。フジテレビ系は現在も『ドラゴンボール』新作を23時台で放送しているほか、民放キー局以外ではNHK総合が毎週土曜に『チ。―地球の運動について―』を展開する。
テレ朝は成果も見せつつ「新たなアニメ事業の創出」掲げる
こうした動きの背景には、世界的な日本アニメの人気の高まりを追い風に、視聴者のニーズに応えるためと受け取れるのはもちろん、ビジネスの観点では各局のアニメに対する期待の高さがあるとみられる。電波媒体の「放送枠」という強力な資産をさらに活かせる取り組みと取れそうだ。
特にテレ朝はその傾向が強く、今年発表した新経営計画のなかで「新たなアニメ事業の創出」「コンテンツを活用した新たなビジネス領域に果敢に挑戦する」を事業戦略に掲げた。実際、昨年に全国ネットで放送したアニメ『僕の心のヤバイやつ』は海外販売において「枠史上最高契約額を記録」するなど、成果も見せている。『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』や系列の「ニチアサ」などで培ったアニメ放送のノウハウを基盤に、新しい取り組みを促進すると意気込んでいた。