電子書籍やゲームアイテムの「購入」表記、米国で規制の動き 所有権ではなく“使用権”消費者へ説明求める
カリフォルニア州議会は、デジタルコンテンツの購入に関連する新たな法案を可決した。この法案では、デジタル商品の販売者に対し、「購入」「買う」といった表現を使用する際に規制を設けるもので、将来的にアクセスを失う可能性がある場合はその旨を明示することを義務付ける。
法案によると、デジタルコンテンツのうち電子書籍やゲームアイテムのような、永続的に利用できることへの保証がないものについて、コンテンツ販売者が取引の際に購入者へ「利用できなくなる可能性」があることを明確に提示し、同意を得ることができない場合に「buy」「purchase」といった文言の使用を禁止する。
この法案成立の背景には、コンテンツ販売におおいて、消費者が永続的に所有できると思って購入したコンテンツが、後日突如として利用できなくなるケースが複数報告されていることがあるといい、そうした問題を防ぐ一環ともされている。
電子書籍の購入対象は「所有権」ではないのか
例えば2021年、iTunesで購入した映画が後日ライブラリから削除される可能性があるにもかかわらず、「購入」「レンタル」という表現がページ内で用いられていたことを問題視するユーザーらがアップルに対し集団訴訟を提起していた。
「購入」表記のあり方をめぐっては日本でも例外ではない。例えば、電子書籍サービスKindleでは利用規約内にて「Kindleコンテンツの使用」は「個人の非営利の使用のみのために、該当のKindleコンテンツを閲覧、使用、および表示する非独占的な使用権」と定義。「コンテンツプロバイダーからお客様にライセンスが提供されるものであり、販売されるものではありません」と記されている。
つまり、購入することで所有権を得る物理的な本とは異なり、Kindleの購入は「あくまでコンテンツの使用権を買っている」との認識であり、サービス終了で利用できなくなる可能性を持つ。有償アイテムなどを販売するスマートフォンゲームでも例外ではなく、過去にはゲームパブリッシャーがアップル社のような問題に発展した事例が見られた。
今回の可決された法案はあくまでカリフォルニア州で適用されるものであるため、日本で直接影響するものではないが、アップルやグーグルのような同州に本社を置く企業によっては対応が強いられる可能性もある。なお、先のKindleでは「Buy(購入)」ではなく「You Pay(ご請求)」となっている。
また、オフラインで閲覧、プレイできるようなダウンロード販売といった形態は規定に含まれず、それらには適用されないという。