「はたらく細胞」と製薬会社がコラボ、難治性“鼻ポリープ”の原因を楽しく学べる新作マンガが登場
慢性副鼻腔炎の治療薬を開発、販売するサノフィは21日、人気漫画『はたらく細胞』とのコラボレーション第2弾として、特別コンテンツ「はたらく細胞 2型炎症特別編」を公開した。同社が運営する疾患情報サイト「アレルギーi」にて閲覧可能となっている。
本コラボレーションは、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の治療薬を製造・販売するサノフィが、難治性の慢性副鼻腔炎の原因とされる「2型炎症」について、アニメや舞台などで大きな話題になった『はたらく細胞』とコラボすることで、一般向けにわかりやすく解説することを目的としている。
サノフィによれば、両側の鼻に多発性の鼻茸(鼻ポリープ)ができ、手術後も再発を繰り返す難治性の慢性副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎)の原因として、「2型炎症」と呼ばれるアレルギー性炎症が深く関与していることが最近の研究で明らかになってきたという。2型炎症では、本来身体を守るべき免疫系が過剰に働くことで炎症が持続し、鼻茸の再発を引き起こすとされている。
サノフィの広報担当者は、鼻の健康の重要性について「鼻の健康は私たちの日常生活の質に直結します。長引く症状は注意力や集中力の低下、頭痛や倦怠感そして不眠など、特に働きざかりの患者さんに深刻な悪影響をもたらします。」とのこと。
本コラボレーションは、昨年公開され好評を博した第1弾「はたらく細胞 鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎 特別編」に続くもので、第1弾では鼻づまりや嗅覚のメカニズムを解説していた。今回の第2弾と合わせて、楽しみながら鼻の健康について学べる場として疾患の理解促進を図っている。
「はたらく細胞 2型炎症 特別編」
鼻茸の原因である2型炎症を引き起こす細胞(ILC2、ヘルパーT細胞)が登場します。
■ILC2(自然リンパ球):寄生虫感染やアレルギー性疾患の際に活性化し、IL-5やIL-13などのインターロイキンを産生するリンパ球。2010年に日本で発見された。
■ヘルパーT細胞(Th2):外敵侵入の知らせを受け、外敵がどんなものであるのかという情報をもとに侵入した敵に的確に攻撃できるように戦略を決める司令官。
漫画:かいれめく 監修:清水茜(『はたらく細胞』)
医療監修:
福井大学医学部 耳鼻咽喉科頭頸部外科学 教授
大阪大学大学院医学系研究科 生体防御学教室 教授 茂呂和世先生
“鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎”とは
※以下、専門性のある内容につき発表文をそのまま掲載します
鼻茸(はなたけ)は、鼻の粘膜にできる肉質の増殖性病変で、鼻ポリープとも呼ばれています。「鼻茸(鼻ポリープ)」と聞いて、「鼻にポリープができるなんて⁉」と思う方が多いかもしれませんが、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)のうち難治性の場合、ポリープ状の“できもの”が鼻の中にできるケースがあります。
慢性副鼻腔炎の患者さんの10~20%、日本人のおよそ20万人に鼻茸があるといわれており(i,ii)、なかでも、難治性の慢性副鼻腔炎が要因の場合、鼻の両側に鼻茸が多くできやすいため、手術で取り除くことが必要です。2型炎症が関わっている場合、取り除いた鼻茸が再発してしまうケースもあります。専門医による薬物療法や手術など、継続した治療を受けることが大切です。
鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の症状は、鼻閉、鼻水、嗅覚障害、頭痛などです。しかし、それらの症状があっても、一般的な鼻炎や花粉症との区別が付きにくく、患者さんもその症状に慣れてしまい、専門的な治療に至らないことも多い現状です。
症状が持続すると、患者の健康関連 QOL(生産性や日常生活動作などの複数の項目で評価する指標)が損なわれ(iii,iv,v)、食事が楽しめなくなったり、睡眠不足や疲労が生じたりする場合があります。
また、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の患者さんの多くが喘息にも苦しんでおり、これら患者さんにみられる喘息の多くはより重症で、治療が困難です。
鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎のうち、好酸球性副鼻腔炎は指定難病に指定されており、一定の基準を満たす患者さんは、医療費の助成を受けることができます。