食品メーカーが『ダンジョン飯』の料理を本気で再現!理研ビタミン社員が考案した“誰でも作れる”レシピで実演調理【特別企画】
理研ビタミンは今年2月、現在放送中のTVアニメ『ダンジョン飯』とのコラボキャンペーンを実施。「リケンのノンオイルでおいしく再現!ダンジョン飯」と題して、アニメのワンシーンに登場する料理の数々を再現するレシピを公開していた。
『ダンジョン飯』とは、古典的ファンタジー作品に登場するようなモンスターを現実に存在する調理方法によって、その場で料理しながらダンジョンを踏破していくグルメファンタジー作品。このキャンペーンでは、作中に登場するマンドレイクやテンタクルスなどおなじみのモンスターたちを“食材”として、「リケンのノンオイル」を組み合わせてレシピを提案していた。今回はそんなユーモア溢れる企画を展開した理研ビタミンに直撃。料理をしながら話を伺った。
マンドレイクは何で代用?スーパーで買える材料でクッキング
訪れたのは理研ビタミン本社にあるキッチンスタジオ。この日、コラボメニューの一つである「マンドレイクのかき揚げと大蝙蝠天(じゃが芋のかき揚げと鶏天)」の再現を担当した同社マーケティングチームの内田さんが実演調理を行ってくれたほか、企画担当者の戸田さんも臨席。 今回のコラボについて、クッキングを楽しみながら伺ってみました。ここでは調理の模様を中心に、コラボの舞台裏などをお届けします。
――今回は「マンドレイクのかき揚げと大蝙蝠天」をお作りいただけるとのことですが、調理を始める前に一点『ダンジョン飯』とのコラボの経緯や狙いを教えていただけますか。
戸田さん:弊社のドレッシング「リケンのノンオイル」シリーズは今年で発売35周年を迎えるロングセラー商品であり、この記念すべき年に何か新しい試みをしたいと考えていました。そこで、この商品を若年層の方々にも食べてほしいという思いや、料理の楽しさをアニメを通じて料理の関心層以外にも知らせたいという思いが重なり、TVアニメ化が決定した『ダンジョン飯』とのコラボを企画しました。
――より詳しくお聞きしたいのですが、料理もありますので、また後でお聞かせください。早速お作りいただけるとのことで、 まずは鶏肉に下味をつけるところですね。
【工程1】鶏むね肉は4等分程のぶつ切りにし、軽く切れ目を入れたら『リケンのノンオイル 青じそ』・おろししょうが・おろしにんにくを揉みこみ馴染ませておく(20分~)。
――このメニューでは塩や醤油といった基本調味料を使わず、「リケンのノンオイル青じそ」と、にんにく、しょうがを使うんですね。ドレッシングを使うことのメリットはやはりあるのでしょうか。
内田さん:『リケンのノンオイル青じそ』 には醤油などの基本調味料がはじめから入っているので、味が決まりやすく、大さじ2を入れるだけで良いという手軽さは魅力ですね。
――なるほど…私も料理をするのでとても勉強になります。料理番組みたいになっていますが(笑)この次はじゃがいもの下処理ですね。今回「マンドレイク」の代用にじゃがいもを採用したんですね。
【工程2】じゃがいもを千切りスライサー等で千切り、又は細切りにする。
内田さん:『ダンジョン飯』では度々マンドレイクが登場するのですが、使い勝手が良いものは…と探した結果、じゃがいもに行き着きました。
――素人目で恐縮ですが、じゃがいもは少し色が白っぽく、個体によっては再現性は高くなくなるかもしれないのですが…より似せるようにするポイントはありますか。
内田さん:おっしゃるとおり、通常の馬鈴薯やメークインでももちろん問題ないのですが、すこし白すぎるので、よりリアルに見せるため、黄色味の強い「インカのめざめ」を使用してみました。 インカのめざめとは北海道で品種改良が行われたじゃがいもの一種で、栗を連想させるような色味と食感が特徴です。
苦手な人でも大丈夫!きれいにかき揚げを揚げるには
――アドバイスありがとうございます。ここからは下準備を行ったものを揚げていく工程ですね。
【工程3】ボウルに卵・水を入れて混ぜ合わせた後、薄力粉をふるいながら入れ、ダマにならないようさっくりと混ぜ合わせる。(液A)汁気を切った鶏むね肉を液Aにくぐらせ、熱した揚げ油でこんがりと揚げる。
【工程4】残った液Aにじゃがいもと4等分程にちぎった大葉を入れ、さっくりと混ぜ合わせたら4等分にして揚げる。(180℃3~4分、途中上下を返す)
――前者のとり天は比較的簡単に揚がると思うのですが、後者のかき揚げは苦手に思う人も多いのではないかと思います。綺麗に揚げるコツなどはありますか?
内田さん:かき揚げは慣れてしまえば難しくない料理ですが、綺麗に仕上げたり、初めての人が作ったりする場合は成形が難しいことがありますよね。その際は、あらかじめオーブンシートを用意し、丸型に成形して、シートごと油に沈めるととても綺麗にできあがります。しばらく揚げているとシートは勝手に剥がれるので、非常におすすめできる方法です。
また、とり天については揚げるだけには変わりないのですが、『ダンジョン飯』の登場シーンではかなり大きめに描かれていたため、もし完璧な再現のために大きいサイズの鶏肉を使用する場合は2度揚げをしましょう。5分ほど冷ました後、再度揚げることで、中心にも火が通りジューシーに仕上がりますよ。(180℃2分、取り出し3~4分程休ませたら再度180℃3分~)
こうして出来上がった料理がこちら。
――すごい!アニメのカットと見比べると再現度が高い…!焦げていない程度に茶色かかった鶏天の衣、かき揚げに入っている大葉の緑色が非常に再現度を高いものにしていますね。
内田さん:少し2度揚げが長かったかもしれませんが、無事に完成しました。実際に作って召し上がっていただければわかるのですが、揚げることで青じそのドレッシングが程よい風味に落ち着き、ジューシーに仕上がっていると思います。ぜひご家庭でもお試しいただきたいですね。
レシピ考案者が語るコラボの舞台裏、会議でボツになったレシピとは
ここからは後片付けをしつつ、今回の『ダンジョン飯』コラボにおける裏側についても迫ってみました。
――改めてコラボレシピをチェックしてみると「マンドレイク」を「インカのめざめ 」にしてみたりと、架空の食材を“代用”しているのが多くて面白いですね。これは誰が考えたのですか?
内田さん:本キャンペーンのレシピはすべて社内で考案しました。企画当初は料理研究家などにサポートをお願いすることも検討しましたが、原作者さんからのご提案や、私がもとから『ダンジョン飯』の原作マンガファンだったこともあり、社内で考えよう、という運びになりました。
――今回調理を実演いただいて、さすが食品メーカーだな、と感じる手つきで再現度の高い料理ができましたが、やっぱり揚げ物って少し敷居が高い…と思う方もいらっしゃるかもしれません。今回のコラボで展開されている、その他のメニューの中で、より手軽なものはありますか。
内田さん:「動く鎧のドワーフ風炒め」は炒め料理なので作りやすいかもしれません。このレシピでは動く鎧を牡蠣で代用していまして、オムレツもフライパンひとつでできるのでおすすめです。
――社内でのレシピ考案となると、やはり大変だった部分はあるのでしょうか。
内田さん:レシピを考案する中でボツになったものもあって、そのうちの一つ「その辺に落ちていた大麦の雑炊」は私的にとてもおいしかったんですけど、開発会議では選ばれませんでしたね…
戸田さん:また、代用に関連して、食材選びで最も大変だったのは「テンタクルス」で、バナナにするか、ごぼうにするかで一悶着がありました。土の中に生えている形状はごぼうらしいが、作中で剥く描写があったことと、そのままでも食べていたのでバナナとの2択で割れ、食管の良さと美味しさで バナナになりました(笑)
――大変な部分がありつつも、聞いていると非常に楽しく企画が進んだように思えますが、今後もこういった企画は展開予定ですか?
戸田さん:アニメ作品とのコラボキャンペーンは今回が初めてというわけではなく、過去にも『転生したらスライムだった件』や『竜とそばかすの姫』といった人気作品とのコラボキャンペーンを組ませていただきました。しかし、「作中に登場する料理を再現」といったアプローチでのメニュー考案は今回が初めての試みでした。若年層にアプローチしたいという狙いもありますので、今後も今回の様なより親和性のあるキャンペーンを行っていきたいですね。
「マンドレイクのかき揚げと大蝙蝠天」
材料(2人分)
大蝙蝠の胸肉※鶏むね肉で代用…1枚
マンドレイク※じゃがいも(インカのめざめ)で代用…150g
大葉…4枚
薄力粉…80g
バジリスクの卵 ※にわとりの卵(といたもの)で代用…1/2個
水…100ml
おろししょうが…3g
おろしにんにく…3g
リケンのノンオイル 青じそ…大さじ2
揚げ油…適量
お好みで塩…適量
©九井諒子・KADOKAWA 刊/「ダンジョン飯」製作委員会