“きらら20周年”の節目で迎えた『星屑テレパス』アニメ化、原作陣×監督が語る制作の裏側<ミニインタビュー>
TOKYO MX他にて毎週月曜日22時よりTVアニメ『星屑テレパス』が放送中。本作はまんがタイムきらら(芳文社)にて連載中の4コマ漫画作品が原作のTVアニメとして、内気で人見知りの女の子と自称宇宙人の女の子、そしてその周りに集まってきた仲間たちが宇宙へ向かうためのロケットを作る過程で成長していく”青春ストーリー”となっている。
今回はそんな本作より原作者の大熊らすこ先生、編集デスクの末永雅弘さん、そしてアニメ監督を務めたかおりさんへのミニインタビューを実施。「きらら20周年」という中でのアニメ化の経緯から原作との接点、キャスティングの印象などを語っていただいた。
20周年でのアニメ化、至った経緯とは
――今回は創刊20周年となりました、まんがタイムきらら(以降「きらら」)についてもお伺いできればと思っています。皆さんときららとの出会いを教えてください。
らすこ先生:漫画『ひだまりスケッチ』です。4コマ漫画自体は昔から好きでよく読んでいましたが、学生の女の子がメインになって描かれるものを読んだのはまんがタイムきららが初めてでした。オチをギャグだけに使わない幅広い作風に魅力を感じました。
末永デスク:初めて読んだ漫画は『ドージンワーク』です。当時はきららというレーベルを意識せずに読んでいました。アニメで初めて触れたのは『けいおん!』です。完全に私事ですが1期『けいおん!』の時に高1、2期『けいおん!!』の時が高2、『映画けいおん!』の時が高3で、青春とともにあったという感覚が物凄くあります。
かおり監督:初監督作である『ゆゆ式』で出会いました。きらら20周年という節目にまたきらら作品に携わることができて光栄ですし、素敵なご縁を感じます。
――では、どのような経緯で本作を連載することになったのでしょうか。
らすこ先生:初めての連載『ハッピーセピア』が終了したあと、担当編集さんにいくつか新作案を出しました。その中で一番反応が良かったのが、『星屑テレパス』の原型となるストーリーで、「ガール・ミーツ・ガールもので、主人公は内気な女の子で、宇宙に行くのが目標」という根幹となる部分は出来ていました。まずはゲストとして雑誌に掲載し、その後連載に至りました。
末永デスク:ゲストの際もそうでしたが、特に連載1話目のアンケート結果が非常に良くて嬉しかったのを覚えています。
――本作はキャラクターの個性や可愛さが溢れる”きらら”らしさと、それに相反するような宇宙を目指す”らしくない”ような熱血ストーリー展開も魅力です。
かおり監督:きららといえば日常系と言われますが、少しずつキャラクターたちが成長していくという点ではどの作品にも共通していることだと思います。そのアプローチが、のんびりまったりしているのか痛みを伴うものか、の見せ方の違いなのかなあと。
――らすこ先生は本作を届けるにあたって、何かインスピレーションを受けた作品はありましたか?
らすこ先生:個人的な好みの話になりますが、宮沢賢治作品や星新一のような、物語を通して現実的な問題を描く作風に惹かれる傾向が、子どもの頃からありました。
――本作のアニメ化に関して、企画に至った経緯を教えていただけますでしょうか。また、決まった時はどのような心境でしたか?
末永デスク:コミックス1巻が発売されてから少し経った後、日本コロムビアさんからお話をいただきました。かおり監督とスタジオ五組さんのタッグで制作を進めていきたいというのも、早い段階でご提案いただいたと思います。大熊先生にお話があるので…とメッセージを入れてから電話で直接伝えました。
らすこ先生:とても嬉しかったです。と同時に、その時点で(辛い要素もある)先の展開も大方道筋を立てていたので、それでも映像化していただけるのか気になりました。こちらも編集さんを通じて確認していただきまして、有難いことにご了承いただきました。改めて身が引き締まる思いがしました。
かおり監督:経緯としては、スタジオ五組さんからお声がけいただき原作を拝読してとても素敵な作品だと思ったのでお引き受けいたしました。その時は(きららが)20周年とは知らずにいたので、芳文社様から『ゆゆ式』を評価していただけたのかな?と勝手に思っておりとても嬉しかったです。
――「きらら20周年」という節目でのアニメ化、改めておめでとうございます!
キャスティングは“もうこの4人以外考えられない”
――10月初頭に行われた先行上映会では声優さんのキャスティングで監督が「委員会と真剣に協議した」とお伺いしました。
かおり監督:キャスティングに関して自由に任せていただけたので、キャリアなどは全く考えず自分が「合う」と感じた方にお願いできました。ありがたいです。
先行上映会でも話しましたが、原作を読んだときに私の頭の中で聴こえてきた声をそのまま芝居に出来る方たちなのでバッチリハマっていると思います!
――らすこ先生もキャスティングに関わる中で、メインキャストの印象はいかがでしたか?
らすこ先生:メインスタッフの皆様と一緒にオーディションには参加させていただきました。1人の声優さんが1キャラずつ演じていくのではなく、4人の声優さんの掛け合い形式でオーディションが進むのが印象的でした。船戸さん・深川さん・永牟田さん・青木さんに声を当てていただきましたが、心にスッと入ってきて、もうこの4人以外考えられません。
――アニメと原作ではそれぞれ別の魅力があるかと思いますが、アニメから知った方へ、特に原作ならではの注目して欲しいポイントを教えてください。
らすこ先生:アニメに登場するエピソードの後に、あるキャラクターを掘り下げるエピソードが1巻分あります。これを読むと、メインキャラクター4人の解像度がさらにグッと上がると思いますので、ぜひ読んでみてください。
末永デスク:アニメの映像は言うまでもなく非常に美しいのですが、大熊先生の美麗な作画にもきっと惹かれると思います。既刊4巻すべて、単行本開いて1ページ目のイラストには特にご注目です。また、キャラだけでなく背景もキラキラで可愛く賑やかな回も多くて楽しめると思います。
かおり監督:原作は一コマ一コマの密度がものすごく濃くて、アニメも妥協せず表現したと思っています。アニメを見てから原作を読んでも全然印象が変わらない…と感じてもらえると嬉しいです。
――最後にズバリ、アニメの魅力を一言でお願いいたします!
らすこ先生:視覚・聴覚・心で味わうキラキラ
作画や音楽、声優さんの演技…どれをとっても大変素晴らしく、青春のきらめきを感じます。キャラクター達のわずかな心の動きに注目すれば、さらにキラキラを感じられると思います。
末永デスク:大熊先生の仰る通り、作画、音楽、声優さんの演技、全てが素晴らしいです。そのうえ、漫画の細かい描き文字のセリフや、キャラクターが挨拶する時の指の形まで細かく原作を再現してくださっていて、その緻密さに感動しました。
かおり監督:毎週キラキラクライマックス!海果たちの成長を見守ってほしいです!
――ありがとうございました!
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『星屑テレパス』作品情報
人とのコミュニケーションが苦手な女子高生の小ノ星海果は
自称宇宙人の明内ユウと出会い、なんと宇宙を目指す約束をする。
そして副学級委員長の宝木遥乃や不登校気味の雷門瞬たちとの出会いの中でロケットを作ることになり──
女子高生たちがロケットを作って宇宙を目指す”青春ロケット”ストーリー!
【原作】大熊らすこ(「まんがタイムきらら」連載芳文社刊)
【キャスト】小ノ星海果:船戸ゆり絵/明内ユウ:深川芹亜/宝木遥乃:永牟田萌/雷門瞬:青木志貴/笑原先生:高森奈津美/小ノ星穂波:羊宮妃那
【アニメーション制作】Studio五組
【放送】10月9日(月)よりTOKYO MX・BS11ほかにて毎週月曜日放送
【配信】FODにて独占先行配信
©大熊らすこ・芳文社/星屑テレパス製作委員会