中国・バイトダンス傘下のVRメーカー「PICO」に“事業撤退”の懸念強まる…噂は否定も従業員の解雇止まらぬ


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TikTokの運営元である中国・Bytedance(字节跳动有限公司)傘下のVR企業「PICO」をめぐり、今後を不安視する声が強まっている。

PICO社は2015年に設立されたVR機器メーカーとして、Bytedanceによる出資を経てオールインワンVRヘッドセット「PICO」シリーズを展開している。昨年9月には軽量化と高性能化を実現した最新モデル「PICO 4」を49,000円という低価格で発売。Meta社(旧:Facebook)の「Meta Quest」シリーズに引けを取らない人気を得つつあり、VRヘッドセットの市場シェアにおいては世界第2位にまで成長した。

そんな今注目のPICO社だが、直近の10月ごろより、中国国内のメディアやSNSで「BytedanceがPICOの事業を将来的に縮小する方針である」との“噂”が目立ち始めている。一部メディアでは「PICO社の代表者がBytedance社に業務報告を行った際、段階的にPICO事業を縮小する可能性があるとのフィードバックを受け取った」と踏み込んだ報道も行われたが、これらの内容についてBytedance側は明確に否定し、長期的なXR事業への投資は継続する予定であるとの返答を行った。

次ぐ翌月の11月上旬には「PICO社が全従業員の8割を解雇する予定だ」という新たな“噂”が沸き立ち、国内外でも広く伝えられた。しかし、国内媒体の科创板日报によると「8割ではなく、23%の300人程度の解雇を予定している」との回答がBytedance側より得られたと報告しており、理由については「長期的な価値を生み出すために改組した」との旨の記述も見られたという。

その直後にも新たな情報として、同社完全内製のVRゲーム「闪韵灵境(Blitz Rhythm)」を手掛けた開発チームを解散する予定であることが情報筋により通告され話題に。同作は本年リリースの新作にして、PICO独自のアプリストアでもランキング上位に並ぶ注目を集めたものの、売上が振るわなかったのではないかとの意見が目立つ。

PICO社は2022年より従業員の解雇を段階的に実施しており、2,000人を擁した全盛期から断続的な大規模リストラが行われている。一連の状況をめぐり、PICO社側は「一般消費者によるPICO製品の購入や体験には影響しない」とした上で、研究開発への投資を引き続き増やしていく予定であると改めて強調した。

しかしながら、調査会社が発表した2023年上半期の中国国内におけるVR/ARデバイス出荷台数は前年同期比56%の減少を見せるなど、2021年より続いた業界全体の需要が一段落したとみられる状況も相まって、VRユーザーや一般消費者からは雲行きを伺う声が多く見られている。(IT情報班)

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オタク総研編集部

著者 オタク総研編集部
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