スタッフ陣が語るアニメ化決定と制作の裏側…来冬放送のアニメ『ダンジョン飯』先行上映イベントが開催


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アニメの放送シーズンが2024年1月に決定し、放送へ向け盛り上がりを見せるTVアニメ『ダンジョン飯』について、去る9月に放送に先駆けて本作の特別先行上映会が開催された。

イベントには事前に募集された合計約200名のファンが集まり、アメリカで開催された Anime Expo 2023 やフランスで開催されJapan Expo 2023、ドイツで開催されたAnimagiC2023 でプレミア上映された第1話に続き、第2話を世界最速上映。上映後にはキャスト陣とスタッフ陣か集結し、ここでしか聴くことができないスタッフとキャストの貴重なトークが繰り広げられた。<以下、公式レポートより>

11日の登壇者はライオス役の熊谷健太郎さん、チルチャック役の泊明日菜さん、監督の宮島善博さん、プロデューサーの菊島憲文さんの4人。4人はアニメの製作開始から今回の先行試写会までの道のりを振り返りながら、作品に対する想いを振り返ることに。それぞれの本作への愛とこだわりを伺うことができた。

そもそも本作のアニメ化の第1歩は、原作コミックス第8巻が発売されるときに公開されたPV(プロモーションビデオ)(2019年9月)。
その時点で、菊島プロデューサーのもとで本作のアニメ化の企画が進んでいたものの、PVの制作にはノータッチ。アニメスタジオの TRIGGERでPVを制作することは、あとから知ったという。TRIGGER 社内では、もともと「ダンジョン飯」と九井諒子作品の大ファンだった宮島監督が自らを制作を名乗り出て、若手スタッフを中心に制作が進められることになった。

「僕は『ダンジョン飯』が連載開始時から大好きで。単行本の第1巻が発売になったころ(2015年1月)に、うち(TRIGGER)でこういう作品のアニ
メ化はできないのか? と上司に聞いたことがあったんです。でも、こういう原作物をアニメ化することが得意な監督がうちにはいないよね、と言われてしまったことがあったんですよね。それから数年が経って、うちに PV 化の話が来た。これは僕がやるべきだろうと思って、監督を名乗り出たんです」(宮島)

菊島プロデューサーも、制作したPVを見て大満足。これは TV アニメ化もTRIGGERが担当するべきだろうと判断をしたという。こうして、2022年8月にTRIGGERによるアニメ化が発表された。そのときに発表されたティザービジュアルは、真っ暗闇のダンジョンの中で、食事の灯りを4人が囲んでいるというもの。

「キャラクターデザインの竹田(直樹)が影の中にいろいろとモンスターを描き込んでいるんです。影の中なので見えにくいんですけど(笑)」

そこから2023年3月の AnimeJapan KADOKAWA ブースでステッカーを配布。そして、2023年3月に公
開された劇場版「グリッドマンユニバース」の劇中で「ダンジョン飯」のCMが流れたことに触れられた。
「TRIGGER作品では、毎回次に制作する作品にバトンタッチする意味で、次作品のキャラクターを入れる映像を作っているんです。それで次は『ダンジョン飯』だということでバトンタッチ CM を作らせていただきました」(宮島)

「『グリッドマンユニバース』の雨宮哲監督から、『ダンジョン飯』のCMを使いたいとご提案をいただいて。本編に入れてくださることになりました」(菊島)

その後、2023年5月にアニメ『ダンジョン飯』のティザーPV がプレミア公開。そこでキャスト、スタッフ陣が発表された。チルチャック役の泊さんは家族にも「ダンジョン飯」の参加を内緒にしていたそう。「家族にプレミア公開の時間だけを教えておいて。この時間になったら何かあるかもよって話をしていました」(泊)

ライオス役の熊谷さんは、ティザーPVが公開されるときに緊張していたとのこと。
「ライオスのパーティのキャスト陣(マルシル役・千本木さん、チルチャック役・泊さん、センシ役・中さん)で唯一僕だけがX(Twitter)のアカウントをもっているんです。だから、僕がティザーPV の告知をせねばと。責任重大だと思ってツイートする手が震えました」(熊谷)

一同の話題は、本作のオーディションに。熊谷さんと泊さんはテープオーディションで選ばれたあとにスタジオオーディションを実施し、最終オーディションではパーティー4 人での掛け合いが行われたとのこと。
「ライオス役に熊谷さんを選んだのは、4人のパーティの中で良い意味で浮いている感じがあったから。最初から4人の仲が良すぎるとこの作品にはちょっとふさわしくないかなと思っていたんです。熊谷さんは、みんなとの距離感が良かった」(宮島)

最後に、それぞれが第1話と第2話の見どころを教えてくれました。
「チルチャックとセンシがかき揚げを料理しているときに、油はねして悶絶するライオス」(熊谷)
「PV にも映っている、マルシルの食事シーン」(泊)
「マルシルの食べ方」(菊島)
そして、宮島監督は「全部」。

最後に熊谷さんから「まだオンエアまで少しだけ時間があるので、それまでPVを何度も回してください」とメッセージが贈られた。

なお、15日の登壇者はマルシル役の千本木彩花さん、監督の宮島善博さん、プロデューサーの菊島憲文さんの3人。

千本木さんは「原作を読んだときから、マルシルをやりたかった」と熱望をしていたとのこと。宮島監督も菊島プロデューサーも、オーディションの早い段階から「マルシル役に関しては、テープオーディションのときから千本木さんにお願いしようと思っていた」(宮島)、「もめることなくすんなりと決まりました」(菊島)とのこと。

なお、千本木さんが考える、第1話、第2話の見どころは——
「第1話はどちらかというとライオスとセンシが中心で、マルシルはずっと拒否するようなところがあったのですが、第2話はマルシルから物語が動いていく感じがあったので、自分が話を回していかなくてはいけない、自分に対するプレッシャーを感じながら演じさせていただきました。呪文をとなえるシーンもありましたし、マンドレイクを引き抜くシーンもあって。そういう意味では第2話は思い入れが強いです」(千本木)

取材・文/志田英邦
写真/大川晋児

市井

著者 市井
オタク総研媒体統括 兼 合同会社サブカル通信社執行役社長。専門領域はアニメ、テクノロジー(ガジェット)、プログラミング、コンテンツビジネス。PRプランニングやIP調達なども担当しています。新作アニメ、海外スマホ、東南アジア好き。