過去が輝かせた最高傑作の未来――17年目のPが見た「THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!!!! 2023」両日現地レポート【前編】

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去る2月11日と12日の2日間、『アイドルマスター』シリーズ5ブランドが出演した合同ライブイベント「THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!!!! 2023」が東京ドームにて開催された。

シリーズ初となる単独東京ドームとなった本公演から3週間たった今、現地や配信で参加したプロデューサー(ファンの総称)の中にはまだ煮え切れない”思い”や”心残り”が少なからずある方もいるだろう。そこで今回はアイマスP歴17年の「紫電P」さんによるライブレポートを前後編に分けて掲載。古参Pならではの愛と経験を元に綴られた5万字に及ぶレポートを読んで心残りをなくしていただきたい。

【本ライブレポートは後編へ続きます】後編はこちら

※本記事は一般的なメディアによるレポートとは異なり、一定の知識を前提とする内容が含まれますのでご了承下さい(アイマスを少しでも触れていた方には楽しんで頂ける内容だと思っております)


それは全アイマスPが夢見た宝石箱。あるいは、同好の士と打ち上げで酔っぱらいながら妄想を語り合ったセトリの具現化と言うべきものでした。

2月11、12日の両日に東京ドームで開かれたアイマス史上最大規模、かつ初の5ブランド合同ライブとなった「THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!!!! 2023」(以下MOIW)は、過去最高傑作のアイマスライブとして大喝采の中で幕を閉じました。
アーカイブも既に公開が終わり、MOIWロスが続いている方も多いでしょう。私もその一人で、歌唱された曲をサブスクで聴いてはあの日のステージに思いを馳せています。ただ未練に区切りをつけたい一方で、もっとMOIWのことを深く思い返したいという心残りもあります。この記事も、そうしたMOIWロスのある方にこそ楽しんでいただけるように執筆しました。

最高を更新したMOIW2023ですが、当初は不安視する下馬評もありました。しかし、ライブが終わってみればSNSはほぼ絶賛一色だったように、ほとんどの参加者には高く支持されたと思われます。
その評価の変遷には、どのような背景と要因があったのでしょうか。この記事はP歴17年目で、特に765プロオールスターズ(以下765AS)とミリオンライブ!の2ブランドを追ってきた筆者が、自身の経験も交えてライブを振り返りながら「文脈」を中心にその要因を探る、現地レポートです。

なお、記事中でもバレバレとなるので事前に付記しますが、私のいわゆる「担当」は765ASの菊地真、かなり差がついて如月千早。「好き」というレベルだと水瀬伊織、秋月律子、ミリオンスターズの天空橋朋花などです。全ブランドのゲームは所持・インストールしていますが、5ブランドとなると社会人には曲を追い続けるだけでも精いっぱいで、知識や思い入れに偏りはあることはご承知ください。

前章 アイドルマスターとドームと、私と

突然ですが、皆さんが最初にアイマスに出会った日は覚えていますか?

私は学生だった2007年1月末、当時隆盛を迎えようとしていたニコニコ動画と、某画像掲示板がきっかけでした。そこから数日でCDを買い、その後にXbox360版のアイドルマスターも手にして、最初のアイドルとして菊地真を選択。記念すべき初プロデュースの最後に挑んだのが、東京ドームでのラストライブでした。

アーケード版(以下アケマス)、及びXbox360版のアイマスでは、東京ドームでのラストライブ成功がベストエンドの条件となります。また、高ランクのコミュでも東京ドームでのライブにまつわるものがあり、かの「ドームですよ! ドーム!」も、高ランクの春香コミュで生まれました。

プレイヤーとしての経験も衣装などのアイテムも、真のステータスも何もかも足りなかった中で無謀にも挑んだライブは失敗し、バッドエンドで彼女を泣かせてしまったことはアイマスPとしての私と東京ドームの関わりの原体験であり、比較的に容易にベストエンドを見られるようになったその後も、約16年が経った今も忘れがたい出来事です。

そうした古くからのアイマスとそのユーザーにとって、東京ドームはコンテンツとして、ひとつの最終目標とされていました。アイマス単独での「ドーム」という目標は前回のMOIW2015で達成しましたが、原作本来の意味でのドームと言えばやはり東京ドームでした。
2019年10月に東京ドームで開かれたバンナムフェス1stでは、天海春香役の中村繪里子さんは、アイドルマスターとしてこの場所に帰ってくる時まで「大切な言葉」はとっておきたい、と語りました。そうした場では決して軽率な発言はしない彼女のその言葉は将来的なMOIW開催予告とイコールであり、スタンドにいた私はそのメッセージを受けて涙を浮かべながら、赤いペンライトを振ったことを鮮明に覚えています。

残念ながら、翌年からは新型コロナウイルス禍もあり、15周年イヤーを締めくくるMOIWにつながるはずだった合同プロデューサーミーティングツアーは中止となりました。その後のアイマスはいったん各ブランド単独でのイベント開催を目指す方向に軌道修正し、21~22年には5ブランドがそれぞれ有観客のフルライブを開催。22年7月には765ASが4年ぶり、演者の全員集結という意味では10年ぶりのフルライブ「SUNRICH COLORFUL」(以下サンリッチ)を開催できたことで、今回のMOIWの開催条件が整いました。

一方で、昨年10月にメンバーが発表された際には、MOIWに向けて不安を感じている声も多かったのではないかと思います。直前のバンナムフェス2ndが社会的情勢や会場の制限によるものとはいえ、FIVE STARSを除いて1stのようなアイマス間の越境要素がない形式だったこと。そもそも初めて混ざる男声のSideMはどういう扱いになるのか。ファン層もやや違うが、異物になってしまわないか。時間からして40曲そこそこと想定されるセトリで、越境もやりつつ各ブランドの良さが出せるのか……。

結論から言えば、それらは演者とスタッフの尽力、そしてアイマスが積み重ねてきた歴史の蓄積により、杞憂と終わることになります。

DAY1 ――開いた宝箱の中には、誰も知らない新しい世界

ライブ開催5日前の2月6日、大きなニュースが流れました。1月27日に政府のイベント開催の制限が緩和されたことを受け、バンダイナムコエンターテインメントが全アイマスライブの声出しを解禁する、というものでした。
前年12月の「ゆくm@s くるm@s」のおまけパートでもライブの声出しについて言及される場面もあり、業界としてもこのタイミングでの緩和は予想されていたとは考えられます。それでも限られた時間で両構えでの準備を整え、リスクもある中で声援を解禁し、何より「あの言葉」を言える環境を整えてくださったことには感謝しかありません。結果的に言えば、声出し解禁もライブの大成功の要因の一つともなりました。

今回のテーマは「みんな元気!!!!!」。また、MOIW2015では強かったアニバーサリー、あるいは集大成的な色は意図的に薄められ、5ブランドの集う「お祭り」であることを強調しているのが感じ取れました。

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それでも古参のPとしては、悲願の東京ドームに昂るものはありました。11日の午前に上京した私は、物販と展示を実施していた神田スクエアホールに寄って演者の皆様の熱い思いが書かれた寄せ書きを目に焼き付け、あわよくば全ブランドで歌ってくれないかと思っていた「M@STERPIECE」を聴きながら現地入り。ドームと立ち並ぶのぼりの数々を見て、早くも感極まりそうになりました。バンナムフェス1stが終わった直後、必ずアイマス単独のライブの機会で必ずここに戻ってきたい。その思いが3年4ヶ月を経て果たされたからでした。

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この日の座席は、1階の三塁側スタンド前方ブロック。ちょうどセンターステージの真横の直線上あたりの座席です。同行者と雑談したりパンフレットを再確認したりしていましたが、今回から声出し解禁となったことで私の好きなあの時間が戻ってきました。

ライブ開始直前に流れている曲が期待を煽るようにサビでボリュームを上げ、少し遅れて上がる歓声。コロナ禍では拍手に置き換わっていましたが、現地のボルテージが上がるこの瞬間が大好きな私としては、他の観客の声が聞こえたことで「アイマスライブが戻ってきたなあ……」と感慨に浸っていました。音無小鳥さんら各事務所の事務員5人の前説でも、シャイニーカラーズの283プロ事務員・七草はづきさんから声援について言及する場面があり、観客席が沸いていたのも印象深いです。

今回のライブのいわゆるovertureは、大改修された東京ドームの横長のスクリーンをフル活用する仕組みでした。これが演出面でも大きな役割を果たしており、また後述しますが楽曲の最中も歌唱メンバーが表示・随時追加されることで、メインのブランドではない楽曲や演者でもわかりやすいように工夫がなされていたと思います。配信では演者名はともかく曲名が表示されなかったのは改善点かもしれませんが……。
そして驚いたのは、以前にも見たことのある「全アイドル集結図」が描かれたこと。数えることはもちろんできませんが、今回のライブに演者が参加していないアイドルや、シンデレラガールズのボイス未実装アイドルの姿もあったので、おそらく全員がいたのではないかと思います。これもコンテンツとしてのアイマスが、どうしてもやりたかったことだったのだろうと推察します。

そして、私たちが待ち望んでいた中村繪里子さんのあの言葉が、開幕前のドームに響き渡ります。

「プロデューサーさん。ドームですよ! ドーム!!!!!」

前回のMOIW2015は海外出張中でライブビューイングすら参加できなかった私にとっては、悲願というより未練だったあの言葉。いつか東京ドームでこの言葉を聴いて、そして全力で応えるのが最大の目標でした。まだウォーミングアップも済んでいない喉で、いきなり声が枯れてしまってもいいというくらいの声で、3年分の思いを込めて叫んだと思うのですが、感無量でその記憶はほとんどありません。
一気に熱気が高まった会場に続いて鳴り響いたのは、歌マスと呼ばれるはじまりの曲「THE IDOLM@STER」でした。
Day1、Day2ともに開幕は5ブランドの全体曲をゲームサイズで歌うという構成でしたが、Day1についてはかなり明確な文脈があったように思えます。

765ASの「THE IDOLM@STER」と、SideMの「DRIVE ALIVE」はいわゆる表題曲です。前者は前回のMOIW同様に歌うなら(コール慣らしという意味でも)初手一択ですし、「DRIVE ALIVE」もここで歌わない選択肢はありません。なぜならMOIW2015でも休憩中、この曲が流れたからです。
ブルーレイの映像で見る限りは、まばらではありますがそこそこの数の観客がブランドカラーである緑のペンライトを振っていたように思えます。あの時は演者は誰もステージに立つことはできませんでしたが、だからこそSideMがMOIWで歌うなら最初はこの曲しかありえません。私が「ドームですよ!ドーム!」に立ち会えなかったことが未練だったのと同様、彼らがMOIWにおいてこの曲で他ブランドと並び立つ瞬間を何よりも待ち望んでいたSideMメインのプロデューサーも、数多くいたのではないかと思います。

では、シンデレラ、ミリオン、シャニマスの曲はどうだったかというと、「Shine!!」「Glow Map」「Resonance+」です。いずれも世界を広げていくことをテーマにした曲であり、おそらくここにも今回のMOIWのコンセプトを込めていたのでしょう。
そしてこの3曲が示唆していたように、この後のセットリストでは誰も予想しなかったような輝く世界の広がりと5ブランドの共振が、私たち観衆を熱狂させることとなります。

最初にMCに登場したのは、サンリッチで着用した衣装に身を包んだ765AS。印象的だったのは、双海亜美・真美役を演じる下田麻美さんが毎回呼びかける「会場の兄ちゃーーーん!!」「姉ちゃーーーん!!」への声の反応でした。
この手の男女別の呼びかけは、今回の出演者だとミリオンの周防桃子役・渡部恵子さんやSideMの伊集院北斗役・神原大地さんも恒例としており、それにやっと応えられるようになったのも嬉しい限りなのですが、会場の「姉ちゃん」たちの声の大きさです。765ASのプロデューサー男女比は過去2回のプロデューサーミーティングでの調査によると8:2くらい。ミリオンも毎年商業誌で実施しているユーザーアンケートではそれに近い数字が出ていましたが、今回のMOIWは7:3に達しているようにも見えました。こんなところでも「5ブランド合同ライブだとこうなるんだ」ということを体感した思いです。

MCを経て、765ASのメンバー全員によるあの言葉もあり、またしてもドームは大歓声に包まれました。もしかしたら感情があふれるかな? と思っていたのですが、高揚が勝ったのかそんなこともなく、ただ限界値を超えた声を出したことで喉が枯れかけただけでした。とはいえ感傷に浸る間もなく、如月千早役・今井麻美さんの「コラボもシャッフルもある予想もつかないセトリですよ」という言葉で、既にてっぺんまで高まった期待値はさらに突き抜けます。では初手はどのユニットか――固唾を呑んで待ち構えた私たちの耳に届いたのは、シャニマスの盛り上げ隊長でDay1の要も務めたシャニマス・放課後クライマックスガールズの「ビーチブレイバー」のイントロでした。

「みんな元気!!!!!」のテーマと、今回MOIW初参戦のシャニマスは「とにかく好き放題暴れてこい」というポジションだったことを思えば、わかりやすいコールもあるこの放クラの選曲は必然の一手でした。私は盛り上がりながらも「なるほどなるほど、これはいいセトリが期待できそうだ……」などと余裕ぶっていたのですが、Bメロからの「乱入」で度肝を抜かれることとなります。

見覚えのある衣装とポニーテールは、全アイマスの中間管理職兼エースと呼ばれて久しい我那覇響役・沼倉愛美さん。そしてシンデレラの川島瑞樹役・東山奈央さん、赤城みりあ役・黒沢ともよさんまではキャラクターや「海」といった文脈もありますが、男声であるBeitのピエール役・堀江瞬さんと渡辺みのり役・高塚智人さんの歌唱参加は驚愕でした。一部コラボや、ミリオン4thライブのような楽曲の最初と最後に登場するお手伝いシステムくらいはあるかな……とは思っていましたが、まさかここまでがっつりと、しかも最初のユニット曲からシャッフルをするとは。高塚さんの低音が聞こえた時の会場の驚きも含んだ歓声は、この日の歓声の中でもトップ10に入るほどのものではなかったかと思います。

「ユニット曲は早ければBメロから積極的にシャッフルしていく」「男声も女声も関係ない」。このルールを明示したことで、「これがMOIW2023だ」というライブチームの意図は現地・配信を問わず全員が理解するところとなります。
私はと言えば、二度の「ドームですよ!ドーム!」で頑張りすぎた結果声がろくに出ず、慌てて水分と喉をダイレクトにケアする医薬品を摂りながら「とんでもないライブになるぞこれは……」と武者震いしていました。

曲が終わった後も黒沢さんが残り、続くはシンデレラ・U149による「ドレミファクトリー!」。ここでビーチブレイバーの復習とばかりに、SideMのもふもふえんやミリオンのTintMe!、シャニマスの小宮果穂役・河野ひよりさん、そして765ASの年少組の高槻やよい役・仁後真耶子さんと下田麻美さんが加わることで「これは年少組コラボだよ、今日はこういう流れでやるよ」と再度ルール説明が丁寧にされたわけです。続くもふもふえんの「はるかぜバトン」でも、卒業(離別と再会)テーマつながりでミリオンのCleaskyが登場。劇中で二人の離別と再会が描かれることはミリオン履修済みのプロデューサーであれば把握済みですから、思わず膝を打った方も多かったのではないかと思います。

この日は男性陣で言えば高音域を出せるもふもふえんの2人や堀江さんが女声曲の原キーに寄せたり、逆に女性陣が男声曲のキーに寄せて低く歌ったり1オクターブ上げたりと、かなり試行錯誤していたように見えます。キャラクターを崩さず男女シャッフルを次々繰り出すという、アイマスでもまず無理だと言われていた夢を実現させ、乗り越えられたのは関係者の不断の努力あってこそ。改めてライブチームと演者の皆様のプロ魂に頭が下がる思いでした。

続いての曲は、Cleaskyとシャニマスのノクチルによる「shiny smile」、そしてミリオンのストロベリーポップムーンと放クラによる「夏時間グラフィティ」。いずれも他ブランドの青春色の強い曲で、この4ユニットがDay1のいわば「青春枠」であることのメッセージだったととらえました。
「SideMの曲をキー上げて女性陣だけで歌う、そういうのもあるのか!!」「SideMの楽曲を女性キーで歌うとこうなるのか!!」という驚きが会場を包み、さらに少し遅れて「じゃあライブ後半とかでSideMのあのキラーチューンも……?」という予想に至った方もいたかと思いますが、そんなことを考えさせる暇も与えねえぞとばかりに次に繰り出された曲にドームが揺れました。誇張表現でなく、これは大事件でした。

流れたイントロは、SideMのアニメOP曲「Reason!!」。
歌うのは、トロッコより大型のフロート2台に分乗した765ASでした。

「Reason!!」は、2011年のアニメ版アイドルマスター、通称アニマスの1クールOP曲「READY!!」と深い関係があります。歌詞にも765ASの道のりと重なる部分があり、作詞の松井洋平さんはこの曲を「READY!!のson(息子)」と過去に表現しています。
ブランドの看板曲と深いつながりのあるこの曲を、積み重ねてきた過去が未来を輝かせることを高らかに謳うこの曲を765ASが歌うことは。ただSideMとの架け橋となるアンサーソングになっただけでなく、歌詞にもある輝きの向こう側のさらに先の景色だった東京ドームでのライブを表現するにあたってこれ以上ない選曲だったのではないでしょうか。
この瞬間に、「誓い」だけでなく「世界」も重なったと強く実感したのは私だけではないはずです。

そして、その後のMCをSideMのメンバーが受けたことも含めて、このMOIWを代表する名場面になったのではないかと思います。SideMの演者さんたちにもこの演出は好評だったとのことですし、MCでもJupiter・天ヶ瀬冬馬役の寺島拓篤さんから「765プロからの最高のプレゼント」という言葉が出た際には、大きな歓声が上がっていました。
765とJupiterの関わりという意味では、この後に予想以上のとんでもない打ち上げ花火が待っていたわけですが。

SideMのMCを経て、ここからは「青春」ゾーン。Cleaskyの「虹色letters」は、披露回数を重ねてきたゆえの絶対的な安定感もさることながら、コロナ禍で封印されていた手つなぎが解禁されたことに胸が熱くなりました。ライブで宮尾美也役・桐谷蝶々さんと島原エレナ役・角元明日香さんが手をつなぐパフォーマンスを見せたことでミリシタに逆輸入されたモーションでしたが、20年以降の披露ではそれができなかったこともあり、思わず目頭が熱くなったものです。

続いてのノクチルの「僕らだけの未来の空」。まさかのTriad Primus参戦は完全に予想外でしたが、トラプリの3人が歌うと、シャニマス曲でも特に透明感が高いノクチルの曲でもここまで蒼くできるのか……という驚きがありました。時系列は前後しますが、デビューから一貫して声出しができない中で奮闘してきたノクチルに、ようやく声援を届けられたのも良かったですね。

そしてさらに驚かされたのは、ここでミリオンのデュオ曲「秘密のメモリーズ」が6人で披露されたことでした。オリメンは四条貴音・豊川風花で、この日は演者不在。LTD曲をここまでの多人数で歌うのはミリオンのライブでさえあまりない試みです。そしてそのメンバーもまた……。

萩原雪歩役の浅倉杏美さんと、菊地真役の平田宏美さん。
神谷奈緒役の松井恵理子さんと、北条加蓮役の渕上舞さん。
西城樹里役の永井真里子さんと、有栖川夏葉役の涼本あきほさん。

まあそういうことです。秘密のメモリーズ自体がデートの曲ですし、765ASは過去にダブルデートという即席ユニット4人で「アマテラス」を歌った過去がありましたが、まさかトリプルデートですか。真Pの私は平田さんを中心に防振双眼鏡で見ていましたが、平田さんにエスコートされてすごい顔をしてる浅倉さんが印象的でした。ご本人のブログによると今回はセトリには関与していないとのことなので、完全に役得ですね……。

TintMe!の「Arrive You ~それが運命でも~」は、センターステージで歌うことでミリシタのMV再現もされていました。配信では顕著ですが、有線ドローンのようなカメラがいい仕事をしていましたね。コラボ相手が誰しもが予想したU149だったことで話題が持っていかれた感もありますが、3人のパフォーマンスはこの衣装を着て歌った8thライブを軽々と超えていましたし、特にセンターの大神環役・稲川英里さんのこの日の仕上がりは抜群だったと思います。

次の曲もミリオンの和のユニット・花咲夜。バンナムフェス2ndでも3人が揃ってはいましたが、天空橋朋花役・小岩井ことりさんは、ユニット衣装を着てアイマス単独のフルライブでこの曲を披露するのは初めてでした。(※3/4:誤表記を修正しました)

ボーカル面では途中から加わったシンデレラの村上巴役・花井美春さんが得意分野の曲だけあって傑出していましたが、見せ場である扇を使ったパフォーマンスはさすがにオリメンが面目躍如たる姿を見せたのではないかと思います。

花井さんはそのまま残って、フォーリンシーサイドによる「Gaze and Gaze」を披露。川島瑞樹役・東山奈央さんもそうですが、デュオとは思えないくらいボーカルの火力が高く、ごりごり押し込むように圧倒してくる印象があります。個人的には、出身自治体が同じで昔から地域で話題になっていたのも知っていた縁もあって花井さんに注目していましたが、初めて生で聴いた歌唱はやはり素晴らしいものでした。

この曲はペンライトによる赤と青の色のぶつかり合いも見所でしたが、それぞれ青系と赤系の個人カラーを持つノクチルの浅倉透役・和久井優さんと樋口円香役・土屋李央さんを投入したのも、フォーリンシーサイドとしての色を崩さずシャッフルをする面白い試みだったと感じました。

などと分析じみたことを考えていたら、16年以上前から聴き慣れた、けれどちょっと低いイントロが。SideMの全員でのカバー曲は、まさかの「エージェント夜を往く」でした。「Jupiterのメンバーがこの曲を歌う日が来るとは」とか「もふもふえんに歌わせていいのか?」とか「仲村宗悟さんは煽りも歌唱もやっぱ抜群に上手いな……」など様々なことを考えていましたが、何百回と聴き慣れた曲でもSideMのメンバーが歌うと新鮮で、まったく別の味わいがあるというのが最大の感想でした。

レーベルをまたぐとハードルが上がってしまいますので、まずは例えばミリオンとSideMのような形で、ランティス系のブランド間からでも相互カバーCDとか企画とかできないものでしょうか……。

続いて登場したシャニマスのMCでは、最後に「みんな元気メドレー」の告知が。
越境メドレー自体は多くの方が予想していたでしょうから、果たしてさらに予想を上回り期待に応えられるものがあるのだろうか……と考えていたところ、「それ」は唐突に投下されました。

 

中村繪里子さんと、寺島拓篤さんのデュオによる「GO MY WAY!!」。天海春香と天ヶ瀬冬馬の競演に、この日一番のとてつもない歓声が起こったのは言うまでもありません。

少しばかり、古参の昔話をします。
12年半前の2010年9月、俗に言う「9.18事件」という出来事がありました。発売を翌年2月に控えた「アイドルマスター2」において、秋月律子と水瀬伊織、三浦あずさ、双海亜美の「竜宮小町」がプロデュースできないNPCであること、また961プロのライバルユニット「Jupiter」が発表された日に端を発した出来事です。

この事件の後、いわゆるアフィサイトや愉快犯が火に油を注ぎ続けたこともあり、アイマス界隈は長きに渡って随分と荒れました。今でこそ東京ドームを埋めるバンダイナムコの看板IPの一つになったアイマスですが、当時は過去最大規模のライブとして会場に選ばれた幕張メッセイベントホールが埋まらないのではと懸念されていた、という規模の時代です(この頃はライブビューイングもありません)。まだ小さかったユーザー層は揺さぶられ、残念ながらアイマスを離れられた方も相当数出ました。
幸い翌年のアニメが逆転満塁ホームラン級の素晴らしい出来だったこと、さらにアニマスと765ASのライブへのゲスト出演を追い風に受けたシンデレラガールズとミリオンライブが躍進していくことで、コンテンツとしてのアイマスはV字回復どころか大きくジャンプアップして拡大していくのですが……。

Jupiter自身はむしろスケープゴートにされた被害者側の立場であることはまっとうなユーザーには認識されていましたし、まして演者さんは完全なとばっちりです。結果的にアニメなどの各種メディアミックスでも汚れ役は黒井社長が引き受けることでJupiterは前向きに961プロを離脱するなど、そう悪い扱いにはなりませんでした。ただ、特例を除けば女性アイドルコンテンツにおける男性アイドルの存在は、その後も禍根として残るのではないか――そう見られていた時期もありました。

しかし、SideMというブランドが立ち上がり、天道輝役の仲村宗悟さんはじめドラマチックスターズの演者さんたち、そしてJupiterの皆さんらの尽力もあり、SideMはブランドとして徐々に確立をしていきました。上述の事情もあってか当初はコンテンツ内におけるブランドの立ち位置が不明確で、「ゆくm@s くるm@s」などブランド横断の番組に参戦し始めた頃は、混ざることについてまだ賛否両論といった空気は少なからずありました。それでも火の粉を恐れず前進は続き、また直接の派生元でもある765ASの演者を中心に積極的に迎え入れようという動きもありました。
ターニングポイントはアニメ化だったと思いますが、さらに時代も流れ、フェスなどで同じ日に出演する機会や交流も増え、何よりSideMが男性ユーザーにも魅力的なブランドとして飛躍したことで、次第にこんな声が増えてきました。

「ライバルである、天海春香と天ヶ瀬冬馬の競演が見たい」。

アイマス2のコミカライズである名作「The world is all one !!」においてJupierと春香・響・雪歩のユニット「SprouT」が物語のクライマックスで真っ向勝負をしたことはありますが、現在の5ブランド路線が確立した後でも、ゲームやライブではその機会がありませんでした。東京ドームで開かれたバンナムフェス1stでは同日に中村繪里子さんと寺島拓篤さんが出演しましたが、出演タイミングが違うためステージ上での絡みはなし。
この時は互いに765ミリオンオールスターズとして、SideMのJupiterとして素晴らしいパフォーマンスを見せましたが、寺島さんがライブ後のブログで綴った「765プロ(の演者)とこんな写真を撮れる日が来るなんてなぁ…もっとこういう楽しい空間、作っていきたいな…」(以上引用)という想いは、コロナ禍もあり先延ばしとなっていました。

多くの困難を乗り越えてなお一線に立ち続けている2人がステージに立つ時が来たら、果たしてどんなパフォーマンスが見られるのか。アイマスの歴史上においては、すぐに抜き返すつもりだったライバルに先んじられた形となった冬馬が315プロのアイドルとして対抗心全開になるのか、それとも。

今回のMOIWで一、二を争うくらい熱望されたであろう組み合わせが、ここで匂わせすらなくいきなり投下されたのです。会場がこれ以上ないほど大きく沸くのは、必然でした。

「冬馬は春香と競演したら、こんなふうに歌うのか」

私の第一印象はそんな感じだったと思います。曲調もありますが、寺島さんの過去のブログから、おそらくライバルへの対抗心よりも一人のアイドルとしてファンに向けてベストを尽くす天ヶ瀬冬馬が見られるのではないか――という予想はありました。
それでもただ全力で、そしてアイドルとして楽しく歌う2人の姿は、私の予想を超えるものでした。未来は誰にも見えないものですが、あれから12年以上の時を超えてドームでこんな瞬間が見られるなんて、誰が思ったでしょう。

何より、ライブのクライマックスで満を持してこの2人の組み合わせを見せるのではなく、メドレーの初手として、まるで何でもない当たり前のことのように披露してくれたことが嬉しかったです。この出来事は今回限りの特別なものではない、と言ってくれているようでしたから。

興奮冷めやらぬ中、次は原曲同様「春夏秋冬」が集うSideMのタオル曲「JOKER/オールマイティ」。今回のMOIWの影の主役でもあった秋月律子役・若林直美さんが登場し、ここでまず縁が深いシンデレラの上条春菜役・長島光那さんと絡みます。この2人の越境も大いに期待されていましたから、タオルの交換では大きな歓声が上がりました。

自由人が揃った「I’m so free!」に続いたのは、終演後に話題になった「ラ♥ブ♥リ♥」。多くはツンデレが共通項とするものでしたが、釘宮理恵さん演じる水瀬伊織、松井恵理子さん演じる神谷奈緒はまあそうとして、南早紀さん演じる白石紬、まして土屋李央さん演じる樋口円香はツンデレとくくるのはどうなんでしょう……? 素直じゃない、くらいなら順当な気もしますが。
オチ担当の土屋さんの表情芸には会場は沸きましたが、実際のアイマス世界でアレをやってしまったら、世界線にもよりますが伊織は猫被ってる普段のキャラを放り投げて円香に突っかかっていくんだろうなあ……などと、舞台袖のP視点で見ていました。

驚かされたのは、ミリオンの「Get lol! Get lol! SONG」を仁後真耶子さんと「原キーで」歌った堀江瞬さん。女性が歌うにもキーが高めなはずなんですが……。やよいもピエールもカエルつながり、チーム内のマスコット的存在つながりという意味でも文句なしの人選ですが、改めて演者さんの凄さを体感することとなりました。

その次はニチアサ系ヒーローソングの「絶対正義 EVERY DAY」を歌う仲村宗悟さん、稲川英里さん、河野ひよりさんのヒーロー好きアイドルの演者3人。「そうそうこういうのだよこういうの! これが見たかったの!!」と喝采した方も多かったでしょう。輝・環・果穂にシンデレラの南条光を加えた4人はよく越境ネタで取り扱われることが多かっただけに、今後への期待も高まります。

畳みかけるように、メドレー最後を飾ったのは放クラと芹沢あさひ役・田中有紀さんを従えてセンターに立った寺島拓篤さんによる「スパイスパラダイス」。アイマスにカレー曲はいくつかありますが、5ブランドのアイドルでも特にカレーの申し子である冬馬をここで起用しない理由はありません。やたら元気なコール要員かと思いきや見せ場のスパイス名を全部ひとりで言い切っていったのにはニコニコしてしまいましたが、Jupiterのセンターでも天海春香のライバルでもない、年相応等身大の冬馬の姿を表現してくれたように思えます。

続いてのフロート曲は、シャニマスの「Let’s get a chance」を自分たちの色で歌いこなしたミリオンスターズ。この曲は文脈というよりは、どのブランドが歌っても盛り上がるタイプの曲ですね。私も盛り上がりながら、シャニマス曲は他ブランドが歌うと、特に違った色合いが見られる傾向があるのかな……と、続くシンデレラのMCを聴きながら漠然と感じていました。MCで語られた、U149のアニメ化も楽しみですね。

MC明け一発目の曲は、前半~中盤を彩った「青春組」であるミリオン信号機・ストロベリーポップムーン(通称いちぽむ)の「ABSOLUTE RUN!!!」。

抜群のパフォーマンスの一方でしばしばMCでやらかしたり、この曲でも走りすぎて立ち位置に戻れなかったりすることもあったミリオン信号機ですが、放クラとノクチルの各2人を迎えた今回は普段以上の安定感でした。「さすがのいちぽむも合同ではやらかさないかー」と安堵していたものです。この時点では。

そして、この日何を歌うのか注目されていたJupiter。選んだ曲はバンナムフェス1stでも御手洗翔太役・松岡禎丞さんも加えた3人で歌った「BRAND NEW FIELD」でした。一度東京ドームの実質トリで完成形を見せた曲を2人でどう歌うのかが注目されましたが、翔太の台詞を2人で言う粋な演出を経てBメロに入っても、ここまで定番だったシャッフルはなし。まさかこのまま最後まで行くのか……? と思ったBサビ後のタイミングで、神原大地さんが衝撃の一言を発します。

「最高のフェアリーたち、一緒に歌おう!!!」

またしても何も知らされていない天ヶ瀬冬馬さん、というふうに寺島拓篤さんが困惑する中、現れたのは「アイドルマスターSP」で961プロ所属だったプロジェクト・フェアリーの星井美希役・長谷川明子さんと沼倉愛美さん。元961だった時空もある、765ASのダブルエースと言える2人の登場に、「な、765プロ……!?」となったのは冬馬だけではないでしょう。2人は大サビをオク上で歌ったかと思えば、この曲の最大の見せ場である冬馬の「俺たちなら楽勝、だぜ!!!」に合わせて「なの!」「だぞ!」を重ねてみたりと縦横無尽のパフォーマンスで魅せます。思えば沼倉さんはMOIW2014で、「Alice or Guilty」を歌ったこともありますが、本来の時間軸では両立しないJupiterとフェアリーの「元961プロ」の競演は、積み重ねた歴史が重なった瞬間にだけ生まれた奇跡のような果実と言えるのではないでしょうか。両者でBNFを歌うことの意味の大きさは、曲が黒井社長のポーズで締められた後の大歓声が示していました。

会場にざわめきが残る中、今度はシャニマスの「Dye the sky.」が流れ始めます。言わずと知れた全体曲ですが、この流れで歌うとなれば他ブランドのメンバーです。では誰が?
その答えは、青く染まったステージが示していました。今井麻美さんと、渋谷凛役・福原綾香さん、最上静香役・田所あずささん。いわゆる「蒼の系譜」の3人による歌唱です。スクリーンに3人の姿が映り、田所さんの歌唱が始まった瞬間、会場は大きな歓声に包まれました。

MOIW2014ではこのメンバーで765ASの「MUSIC♪」を歌い、MOIW2015では福原さんと田所さんが凛のソロ曲「Never say never」を歌ったことを覚えているかと思います。その時には「技のころあず、力のふーりん」というパワーワードが話題になりましたが、その後飛躍したシンデレラを大黒柱として引っ張った福原さん、武道館での「アライブファクター」やD/Zealを経てミリオンの青としてさらに覚醒した田所さん、そして今なお全盛期を更新する歌唱を見せ続ける今井さんの今回の競演は、会場を圧倒するほど力に満ち満ちたものでした。上手く歌うのではなく心を込めて、魂を込めて歌うぞ、という気迫がスタンドまで届くようです。
また、後に明かされますが、今井さんはこのライブにDS、SideM、シャニマスの青のアイドルをモチーフにしたアクセサリーを身に着けて臨んだとのことで、改めてその想いの強さを感じます。
限界を否定するかのように会場を蒼く染め上げた3人の歌声は、シャニマスにあまりリソースを割けていない私にも「完全掌握」という言葉を思い起こさせました。

「凄かったけど、この後どうするんだ?」などと思う暇もなく、続いて耳に入ったのはシンデレラの信号機・new generationsの「流れ星キセキ」のイントロ。シンデレラガールズのアニメでも終盤の要所で歌われ、ライブでもまた印象深い曲ですが、ここでは最初の信号機色のライトから一転してステージが赤に染まります。
各々のキャラポーズを決めるのは、中村繪里子さん、仲村宗悟さん、そして春日未来役・山崎はるかさんの「赤」の3人。星たちの出会いの奇跡と軌跡を歌うこの曲ですが、センター3人の調和のとれた歌声だけでなく、ドームの天井を駆ける流れ星のライトの演出も光っていました。

感情を揺さぶるパートの後は、シャイニーカラーズがフロートで披露する「ハイファイ☆デイズ」でボルテージを爆上げさせていきます。集大成のムードなんてまだまだ感じさせない、ライブはここからだぞと言わんばかりのエネルギーに満ちあふれたパフォーマンスに、会場もサイリウムの光と歓声で応えていました。フロート曲は演者がかなり遠くに行ってしまったりもしますが、その時も引いた視点で光の海を楽しめるのは良いですよね。アリーナ前方がいい席には違いありませんが、後方も後方でこういう時に楽しめます。

さてここから問題児たちのMCか……と思いきや、まさかのSideMの未披露曲だった「True Horizon」がオリメンの3人の「天」によって初歌唱され、しかも一切誰かが加わることなく最後まで歌われました。自ブランドの曲をフルサイズかつオリメンのみで最後まで歌い切ったのは、Day1のこの曲とDay2の765ASの「Destiny」のみ。はっきり特別な狙いがあったのは明らかです。であれば、そこにはどのような意味があったのでしょうか。

私はSideMを最初から追い続けてきたわけではないのであくまで根拠のない想像なのですが、この日の印象深いシーンである春香と冬馬の競演。そしてJupiterとフェアリーの競演。765ASが「Reason!!」を歌ったことも含めて、これはブランドとしてのSideMへのねぎらいであり「酬い(むくい)」だったのではないか、と考えました。もちろん、曲名とこのライブを重ねたという文脈もありえるでしょう。

Day2で詳しく触れますが、アイドルマスターの2nd visionの完結のためには、私はこのライブでいくつかの酬いが必要だったのだと考察します。

さて、この日の最後のMC担当はミリオンでした。9thでも、かの有名な「ありがサンキュー」級の迷MCともといやらかしをした山崎はるかさんですが、この日も「最終ブロック」と「最初のブロック」を言い間違えて、ある意味期待に応えてしまいます。中谷育役・原嶋あかりさんに「リハでもやったじゃん!」と突っ込まれたり、小岩井ことりさんの「これがミリオンライブだ……」と諦観気味のコメントが出たりと実にらしい展開に。とはいえ、MOIW2014でも直系の先輩がいきなりさいたまをサイパンと言い間違えたりしたので、アレに比べればまだマシ、なのやら……。

余談ですが。ミリオンに詳しくない方は、唐突に観客を子豚ちゃん扱いして「ぶひー」コールを求めた天空橋朋花(小岩井ことりさん)のMCで困惑されたかと思います。豚つながりではシンデレラの財前時子様というアイドルもいますが、朋花の場合は子豚ちゃんとは聖母たる彼女が愛情を注ぐべき対象であり、いわゆる「迷える子羊」と概ね同義のものです。なので時子Pでもなければ、遠慮なく子豚ちゃんになって聖母の愛を享受してしまっていいのです。
生まれながらの聖母たる宿命と相応しいカリスマを背負ってきた朋花は15歳ながら非常に複雑な精神性を持つ子ですが、その言葉や特徴的な持ち歌の数々を読み解くことさえできれば、ミリオンスターズの中でもなかなか深く心地よい沼です。おすすめは彼女がある章のメインキャラクターとして描かれるコミカライズ「Blooming Clover」、そして同作で取り扱われるとともに6thライブで演劇を披露したことで話題になったユニット「夜想令嬢」です。

話を戻します。この日のフロート曲ラストは、シンデレラガールズによる「FairyTaleじゃいられない」でした。これにはとても驚かされました。シンデレラによるミリオン曲のカバーがあるとすれば、苦難を乗り越えてのMOIWに重ねて「STANDING ALIVE」、あるいはそれぞれが大切にあたためてきた想いを歌う「brave HARMONY」あたりと考えていました。

2017年に発表されたこの曲の文脈は、翌年にベクトルは違えどシンデレラ側で「ガールズ・イン・ザ・フロンティア」という革命的な曲が出るまではしばしば話題になったと記憶しています。その曲を「私たちらしく」歌い上げるというのは、ブランドが10年を超えて一層成熟してきた今だからこそ、という意図なのかもしれません。

続いてはSideMの新鋭ユニット・C.FIRSTによる「We’re the one」。単独以外の場で比べれば、昨年5月のバンナムフェス2ndの頃よりもかなり貫禄と自信がついてきたように見える3人の切れ味鋭いパフォーマンスにも見惚れましたが、驚いたのは応援メンバー。シャニマスの2人に加えて、なんと担当の真を演じる平田宏美さんがいるではありませんか。3人を呼ぶ文脈はわかるけれど、どうするんだこれ……と思っていましたが、平田さんのたった一言の「ボクに任せて」でやられました。それがあったかー!! と感激しながら、語彙力を失った私はただただ歓声を上げていたと思います。

平田さん自身は演じる真のようにDaタイプ(もしくはDa/Viタイプ)というわけではないのですが、サンリッチでも仰られていた「年齢を理由にしたくない」という姿勢で、今回も男性曲のダンスも貪欲に学んでくださっていることに頭が下がります。腕の動きや指先で魅せるタイプのダンスについては表現力が高い方だと思いますので、今後発売されるはずのMOIWやサンリッチのライブBD、あるいは過去ライブを見る機会があればその辺りに注目してもらえたらなあ……と、真P視点では思ったりしています。いずれにしても、新境地だけでなく見せ場のチャンスまでくれたクラファには感謝しかありません。

そのクラファに続いたのは、シャニマスのユニットでも私が随一のステージ巧者と感じているストレイライトの「Transcending The World」。

主要イベント2回目でいきなり出演させられたバンナムフェス1stの時点でも高い評価がありましたが、何段階もの成長を果たして臨んだ今回はこのポジションを任されるに相応しいパフォーマンスでした。立ち上るパイロテクニクスの火球同様、クライマックスに向けてドームの熱気をさらに高めていった見事なステージです。

サイバーつながりで次曲担当のサイバーグラスに加えて、SideMのセンターとJupiterの3人を迎える大盤振る舞いの構成でしたが、男声が入ることにより曲の厚みが一層増していたように思えます。リスアニに参戦していたストレイライトはアイマスのくくりでは演者のレッスン期間が最も短かったと思われ、実際に歌唱数も出演者の中では控えめでしたが、その出番を後半に集中させることで今回も強い光を放ったのではないでしょうか。

そのままステージに残ったサイバーグラスが披露したのは、AJIKURAさん作詞作曲編曲の「Nの系譜」である「Needle Light」。スクリーンも眼鏡をかたどった演出で、スタイリッシュで疾走感のある楽曲とよくマッチしています。

さて、サイバーグラスの参戦が発表された時点で、強く期待されている越境要素がありました。言うまでもなく、上条春菜と秋月律子の共演です。
シンデレラガールズは追い切れていないので知人P経由の伝聞もありますが、春菜が大人の事情で名前こそ出せないものの、律子を強くリスペクトしていたのは周知の事実です。滑走路の役割を果たした後はモバイル版シンデレラガールズで765ASが描かれることはほぼありませんでしたが、律子の存在については彼女を経由して示唆されていました。また、直近でもMOIWでの共演を想起させるような描写もあり「サイバーグラスの曲に若林さんが混ざるか、いっぱいいっぱいにサイバーグラスが混ざるのでは?」と予想されていました。だからこそ期待に応える采配を見て、この経緯を知っていた観客は歓喜とともにこう思ったでしょう。

「ですよねーーーー!!!」と。

サプライズだけが演出ではない。若林直美さんだけを投入するあたりからしても、望まれた王道はきっちりやり切る今回のMOIWの性格が示されていたように思います。それにしても、律子がN曲を歌うとあんな感じになるんですねえ……。

「いやあ、いいものを見た。あと残ってるのはトラプリとエルドリッチ・ロアテラーだっけ……」とひと息つきかけた私ですが、重大な見落としをしていました。SideMのBeitはまだユニット曲を歌っていなかったのです。
そのことを、昨年12月の7th横浜で最も衝撃を受けた曲のイントロが一瞬で思い出させてくれました。

そう、「Platinum MASK」の時間です。

サブスクでしっかり予習したのに良い意味でそれがあまり役に立たなかったSideMの7th横浜ですが、両日を配信で視聴していた中でもBeitの3人が歌ったこの曲には驚かされました。「スマイル・エンゲージ」のようにキラキラした王子様曲のイメージが強かっただけに、ライブでいきなりこの玉座に座る闇堕ち王子様の曲を浴びたのは刺激が強すぎました(サイスタはちょこちょこやってはいるのですが、この時は多忙でしばらく触れておらず、イベントは覚知していませんでした)。多分アーカイブで一番見直した曲です。だからこそ、フルメンバーではなくとも現地で見られたのは望外の幸運でした。
特に良かったのは、堀江瞬さんの目のハイライトが消えたいわゆるヤンデレ演技でしょう。「君さっきまで、うちのやよいとカエルの歌でキャッキャしてたよね!?」と言いたくなるほどの豹変ぶりで、役者の技というものを肌で感じることができました。
曲終盤から入った応援メンバーは、エルドリッチ・ロアテラーと、花咲夜からエミリー役・郁原ゆうさんと小岩井ことりさん。前者が呼ばれた文脈は言うまでもありませんが、後者については「エミリーも朋花も堕天使モチーフのSSR衣装がある」もしくは「エミリーはスペードのQというヤンデレソングを昨年に歌い、朋花も支配をテーマにしたソロ曲を持つ」といった背景があるためと思われます。

エルドリッチ・ロアテラーの2人はそのままステージに残り、「アンデッド・ダンスロック」を歌います。765AS・ミリオン中心の私でもこのデュオの歌唱力はよく知っていますが、ただ歌が上手いだけでなくPlatinum MASKのからフェードさせるように自分たちの世界観に塗り替えていくのが巧みだなあ……なんて思っていたら応援メンバーがまたしても菊地真案件で「ウソぉ!?」と声が出ました。しかも、ゆきまこデュオ歌唱。もう今日の応援での出番は終わりだと完全に油断していたので、とっさに黒と白の個別ライトを取り出せずあたふたする羽目に。

にしても、松永涼役の千菅春香さんと平田宏美さんの歌声の相性が、思った以上に良かったのが印象的でした。実は浅倉杏美さんも「いかにも雪歩」という曲だけでなく、この手のカッコいい曲は適性高めではあるのですが、まさかのアンデッド・ダンスロックにゆきまこ投入という奇策をぶっ放したのは誰の提案だったのでしょう? ホラー苦手組とか「(墓の)穴を掘る」とか色々文脈はあるのでしょうが、ここはまだライブ後の各種番組でも示されていないのでどこかで伺える機会があればいいなと思います。

そしてユニット大トリのトラプリかと思いきや、ここでとんでもない切り札が炸裂します。ほとんどの観客が知っているであろうシンデレラの誇るキラーチューン「Tulip」なのですが……キーが低い。それはつまり、男声で歌うというわけで。
スタンドマイクとともにせり上がってきたのは、演者7人。両サイドのスクリーンで、神原大地さんら7人だとわかると、どよめきと悲鳴混じりの大歓声が上がりました。

最初から最後まで驚かされてばかりのこの日のセトリですが、この歌唱にはおったまげました。しかもメンバーがすごい。センターが北斗というのはセクシー担当であるので妥当ですしデコルテを見せてくるのも当然っちゃ当然なんですが(見たら変な声は出る)、もふもふえんやピエールが歌っているとそりゃ「違法Tulip」なんて言われます。「なんてね」を小学生アイドルの演者に歌わせるのはダメでしょう。まあ、小学生ユニット2組が大人に憧れる恋の曲を歌ったばかりではあるのですが……。
他にもここまで徹底してクールな表情で仕上げていた眉見鋭心役・大塚剛央さんがAメロの「咲いている」でふっと口角を上げた時にも、女性のすんごい悲鳴が聞こえた気がしました。それと、高塚智人さんはやけに歌い慣れてたように見えたんですがもしかして普段からカラオケとかで歌ってらっしゃる……?

ざわめきが消えない中、ユニット大トリで登場したのはシンデレラのTriad Primus。どちらを歌うかと注目されていた曲は、1曲目の「Trancing Pulse」でした。バンナムフェス2ndでも披露していたので、今回は「Trinity Field」かなと思っていたのですが、その選曲に至った文脈はこの後に知ることとなります。

3人が揃って歌うのは今回で5回目とのことで、ユニットの大トリに相応しい安定感と存在感でした。ただ、それは昨春のバンナムフェス2ndも同じ。それならば追加メンバーに何か意味があるのか――と考えていたところ、Bメロからストレイライトとクラファが追加投入されました。

それぞれ違った色彩のトリオユニットが加わることで、会場はもう対バンなんだか熱バトルなんだかわからない盛り上がりに包まれていきます。特に大サビを9人全員で歌い、それぞれのユニットで向き合う演出は素晴らしいの一言に尽きたのではないでしょうか。765ASはこの手のユニット概念がなく、ミリオンも三角形を冠したユニットは一応あるものの蓄積以前にそもそも揃う状況ではなかったので、ここに加われないことにちょっぴり羨ましさもある一方、今回については3×3の三角形で良かったのだと思います。配信ではトライフォースとか北条家の家紋とか言われてましたが……。

三者三様の饗宴が終わり、この日の全演者がステージに集結します。

アンコール前最後の曲は、MOIW2023のために書き下ろされた合同曲「CRYST@LOUD」。配信版音源の歌唱メンバーでもあるミリオンの伊吹翼役・Machicoさんからクラップをお願いしますとの要請があり「散々やったんだから何とかなるやろ」と楽観視していたのですが……ドームの広さも相まって、これが案外やりにくい。下手に他の人のクラップに合わせようとすると、録り直しが頻発したミリオン9thDay1のクラップ収録のようになってしまいそうでした。

それにしても、「CRYST@LOUD」は聴けば聴くほど味の出る曲でしたね。やっと開けられた宝箱がすべての人の予想と期待を上回った最高の出来だったからこそ、この曲にも思い出補正が存分に乗っていったのだと思います。CDも秋には出るということですが、今後も他の合同曲同様、各ゲームなどで登場する機会があればなと期待しています。

久しぶりの、そしてまっっったく揃わないアンコールを経て、普段のいわゆる影ナレ告知はなしで演者の皆さんがステージに再集結。告知はアンコール上映会などMOIW関係のお知らせのみに絞り、MCはセンターの中村繪里子さんに戻ります。さて、最後の一曲は何なのか。「なんどでも笑おう」も「VOY@GER」も控えているのでこのあたりかな、とは誰しもが思っていたでしょうが、東京ドームのさらに先へと銘打たれて告げられた曲名は、意外なものでした。

「アイ MUST GO!」。

MOIW2015のために作られた3ブランド合同曲で、ライブのフィナーレを飾ったあの曲です。そのイントロを聴きながら、私の胸に去来したのは「ああ、未練をなくさせてくれるんだな」ということでした。

ブランドで言えば、前回は始動から間もなく当時の情勢的にも参加できなかったSideMの。そしてあの時点では影も形もなかったシャイニーカラーズの。そして、前回出演できなかった765ASの3人の演者の。そして私自身で言えば、海外出張でライブビューイングですらライブを見られず、この曲も「M@STERPIECE」も、あの言葉にも立ち会えなかったMOIW2015という消えずにいた大きな悔いの。

誰にとっても、未練は時にコンテンツを追う原動力にもなりますが、いつまでも長く残り続けるのは健全ではありません。「次」に進むにあたって、様々な未練を解消していく。可能な範囲で2nd visionのやり残しはクリアしていくというのが今回のMOIWの隠れたコンセプトの一つだったと思いますが、ここで「アイ MUST GO!」を歌ったのもその現れだったのでしょう。

また、これはDay2終演後にふと思ったのですが、この曲を歌っているのは各ブランド以外にもう一つ、海の向こうのアイドルマスターがありました。17年の韓国の実写ドラマ「アイドルマスター.KR」でも、この曲はカバーされています。後述する「THE IDOLM@STER MUSIC ON THE RADIO」(以下MOR)でもこのドラマの曲は紹介されているので、遥か外伝であっても一応コンテンツの枠内に入るのではないかと思います。後述しますが全事務所の要素を可能な限り手放さなかったのを思えば、もしかするとこの日の歌唱にはKR要素の回収も含まれていたのかもしれませんね。

曲終盤にはセンターステージで再び中村繪里子さんと寺島拓篤さんが並んで歌う場面に胸が熱くなりましたが、その少し前、五角形の突端でお辞儀をする、仲村宗悟さんと寺島さんの姿も印象的でした。

大団円の中、約3年言えなかったあの言葉の大合唱がドームを覆います。確認できた範囲では山崎はるかさんら何人かの演者さんが、イヤモニを外して久々の歓声に聴き入っていたように見えました。

全演者が退場しても、ドームにはいまだ立ち上るような熱が渦巻いていました。そう、今日のライブはまだDay1なのです。明日はどうなってしまうのか。今日あの曲が歌われたのなら明日はまさかあの曲が? それとも今日のシャッフルぶりならあの演者同士のコラボが? そんな胸を躍らせる予感が、現地・配信でライブを楽しんだそれぞれの方の脳裏を駆け巡っていたことでしょう。そしてMOIW2023はその期待に応えてくれるであろうことも。
この時点で、既に明日の大成功を皆が確信していたと言っても過言ではなかったと思います。

幕間 このライブのMVPは…

今回のMOIWについて、終演後には普段のアイマスライブ同様、「MVPは誰か」という感想がSNSにも多く流れました。両日の演者で言えば、アイマスの両輪である天海春香役・中村繪里子さんと如月千早役・今井麻美さん。越境の要であり最年長ながら過去イチかというエネルギッシュなパフォーマンスを見せた秋月律子役・若林直美さん。ブランドを引っ張ってきたことがドームで結実した、天道輝役の仲村宗悟さんや天ヶ瀬冬馬役の寺島拓篤さん。あるいは後述する新鋭の演者さんたち――様々なものがあったかと思います。
ですが私は、大成功に至ったMVPを敢えて挙げるならば「MOR」、そしてそれをメインパーソナリティーとして約3年引っ張った我那覇響役・沼倉愛美さんだと思います。

MORは、長寿番組だった「THE IDOLM@STER STATION!!!」を発展的解消することで、同枠の後継番組として2018年10月に誕生しました。アイマス関連曲であればラジオ曲やカバー曲どころかナムコ系ではないアイマスを冠した曲まで幅広く紹介する番組で、当初から全ブランドの曲を分け隔てなく取り扱ってきました。
18年後半と言えば、スターリットシーズンの開発が本格始動(再始動)して、コンテンツとしてもブランド間の横軸を強化して現在のFIVE STARS路線に舵を切ろうとしていた時期です。そうした中で、この番組が生まれるのは必然だったのでしょう。メインブランド以外に割ける時間が限られる私が少なくとも楽曲はある程度ついていけたのも、多分にこの番組で知らない曲に出会ったり、番組をきっかけに新しい曲を開拓していけたことにあります。おそらく、今回に限らず「あっ、この曲MORで聴いたことある!!」となった経験がある方は、私以外にも数多くいるでしょう。
沼倉さんは聴き上手なだけでなくアイマスの中間管理職兼エースポジションでもあり、以前から今井さんと共に後輩ブランドを積極的にサポートし、当時全ブランドに一定の知識を有していました。その彼女がメインパーソナリティーを務めることで、演者さんも楽曲の作り手さんも、例え初対面でも楽曲への思いを存分に語れていました。Day2で信玄誠司役・増元拓也さんがシンデレラ・五十嵐響子のソロ曲「恋のhamburg♪」を歌いましたが、これもMORで紹介された際に信玄さんがハンバーグが得意であることが語られたのがきっかけの一つと考えられます。(記憶が怪しいのですが、当時のログを見てもここで増元さんからも歌ってみたいという話が出ていたはずです)

21年秋以降はパーソナリティーが持ち回り制になりましたが、形は多少変われど沼倉さんが築いてきたMORという土台は揺らぐことなく、今も私たちを楽しませてくれています。MORを通じて「この曲、うちの○○にも歌ってほしいな」ということを考えた方は無数にいるでしょうし、その延長線上に今回の無尽合体的シャッフルがあったとも言えます。演者にしてもユーザーにしても、知識の蓄積や知らないブランドへの関心だけでなく、心理的な垣根を取っ払うという意味でMORが果たした役割は非常に大きいものでしょう。
ゆえに、もしMOIWのMVPはと問われれば、私は迷わず「MORと沼倉愛美さん」と答えます。またこれに加えて、今回披露された84曲中8曲を演奏・歌唱した昨年11月の「THE IDOLM@STER ORCHESTRA CONCERT ~SYMPHONY OF FIVE STARS!!!!!~」(以下オケマス)も評価されるべきだと考えます。

また、越境という意味では、残念ながら約1年半の短命に終わってしまった「アイドルマスター ポップリンクス」も大きな役割を果たしました。おそらく、スターリットシーズン同様に元々は21年に想定されていたMOIWに向けて準備されていたもので、コロナ禍がなければより役割を果たせていたはずです。
プレイヤー個人の感想としてはゲームバランスとその調整はお世辞にも良いとは言えず、またスキマ時間のプレーを掲げながらハイスコアを目指すとそうはならない、そもそもほとんどのユーザーは2ブランド追うだけでも結構大変でスキマがない――など課題も多いゲームでしたが、積極的に越境を促して「ぼくの、わたしのかんがえたドリームユニット」を目指していくその姿勢は正しいものだったと思います。主題歌の「POP LINKS TUNE!!!!!」は今回歌われこそしませんでしたが、その理念は隅々までMOIWに根付いていたと言えるでしょう。

信じて世界を越えてみた先に、こんなにも輝く未知の領域が広がっていたんですから。

その日はアイマスとして東京ドームに還る日は必ずここと決めていたドームホテルに一泊しましたが、待ちに待ったライブの会場を見下ろす夜景は格別のものがありました。

【本ライブレポートは後編へ続きます。】後編はこちら

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文・執筆・編集:紫電P
企画・編集:オタク総研編集部
取材協力:株式会社バンダイナムコエンターテインメント

※イベント公式サイト:https://idolmaster-official.jp/live_event/idolworld2023/
©窪岡俊之 THE IDOLM@STER™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.

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DAY1セットリスト

No. 曲名 キャスト
1 THE IDOLM@STER  765プロオールスターズ
2 Shine!! シンデレラガールズ
3 Glow Map ミリオンライブ!
4 DRIVE A LIVE SideM
5 Resonance⁺ シャイニーカラーズ
MC MC 765プロオールスターズ
6 ビーチブレイバー 放課後クライマックスガールズ(河野 ひより・白石 晴香・永井 真里子・丸岡 和佳奈・涼本 あきほ)/沼倉 愛美/東山 奈央/黒沢 ともよ/Beit(堀江 瞬・高塚 智人)
7 ドレミファクトリー! U149(今井 麻夏・黒沢 ともよ・集貝 はな)/仁後 真耶子/下田 麻美/TIntMe!(稲川 英里・原嶋 あかり・渡部 恵子)/もふもふえん(矢野 奨吾・古畑 恵介)/河野 ひより
8 はるかぜバトン もふもふえん(矢野 奨吾・古畑 恵介)/Cleasky(角元 明日香・桐谷 蝶々)
9 shiny smile Cleasky(角元 明日香・桐谷 蝶々)/ノクチル(和久井 優・土屋 李央・田嶌 紗蘭・岡咲 美保)
10 夏時間グラフィティ ストロベリーポップムーン(山崎 はるか・田所 あずさ・Machico)/放課後クライマックスガールズ(河野 ひより・白石 晴香・永井 真里子・丸岡 和佳奈・涼本 あきほ)
11 Reason!! 765プロオールスターズ
MC MC SideM
12 虹色letters Cleasky(角元 明日香・桐谷 蝶々)/白石 晴香/田嶌 紗蘭
13 僕らだけの未来の空 ノクチル(和久井 優・土屋 李央・田嶌 紗蘭・岡咲 美保)/Triad Primus(福原 綾香・松井 恵理子・渕上 舞)
14 秘密のメモリーズ 浅倉 杏美/平田 宏美/松井 恵理子/渕上 舞/永井 真里子/涼本 あきほ
15 Arrive You ~それが運命でも~ TIntMe!(稲川 英里・原嶋 あかり・渡部 恵子)/U149(今井 麻夏・黒沢 ともよ・集貝 はな)
16 百花は月下に散りぬるを(Long Intro Ver.) 花咲夜(郁原 ゆう・南 早紀・小岩井 ことり)/花井 美春/丸岡 和佳奈
17 Gaze and Gaze フォーリンシーサイド(東山 奈央・花井 美春)/和久井 優/土屋 李央
18 エージェント夜を往く SideM
MC MC シャイニーカラーズ
19 GO MY WAY!! 中村 繪里子/寺島 拓篤
20 JOKER↗︎オールマイティ 若林 直美/長島 光那/涼本 あきほ/幸村 恵理
21 I’m so free! 長谷川 明子/Machico/和久井 優/岡咲 美保
22 ラ♥ブ♥リ♥(Long Intro Ver.) 釘宮 理恵/松井 恵理子/南 早紀/土屋 李央
23 Get lol! Get lol! SONG 仁後 真耶子/堀江 瞬
24 絶対正義 EVERY DAY 稲川 英里/仲村 宗悟/河野 ひより
25 スパイスパラダイス 寺島 拓篤/放課後クライマックスガールズ(河野 ひより・白石 晴香・永井 真里子・丸岡 和佳奈・涼本 あきほ)/田中 有紀
26 Let’s get a chance ミリオンライブ!
MC MC シンデレラガールズ
27 ABSOLUTE RUN!!! ストロベリーポップムーン(山崎 はるか・田所 あずさ・Machico)/白石 晴香/丸岡 和佳奈/田嶌 紗蘭/岡咲 美保
28 BRAND NEW FIELD Jupiter(寺島 拓篤・神原 大地)/長谷川 明子/沼倉 愛美
29 Dye the sky. 今井 麻美/福原 綾香/田所 あずさ
30 流れ星キセキ(Long Intro Ver.) 中村 繪里子/山崎 はるか/仲村 宗悟
31 ハイファイ☆デイズ シャイニーカラーズ
32 True Horizon 仲村 宗悟/寺島 拓篤/伊瀬 結陸
MC MC ミリオンライブ!
33 FairyTaleじゃいられない シンデレラガールズ
34 We’re the one C.FIRST(伊瀬 結陸・宮﨑 雅也・大塚 剛央)/平田 宏美/北原 沙弥香/和久井 優
35 Transcending The World(Long Intro Ver.) ストレイライト(田中 有紀・幸村 恵理・北原 沙弥香)/サイバーグラス(長島 光那・田辺 留依)/DRAMATIC STARS(仲村 宗悟)/Jupiter(寺島 拓篤・神原 大地)
36 Needle Light サイバーグラス(長島 光那・田辺 留依)/若林 直美
37 Platinum MASK Beit(堀江 瞬・高塚 智人)/エルドリッチ・ロアテラー(千菅 春香・桜咲 千依)/郁原 ゆう/小岩井 ことり
38 アンデッド・ダンスロック エルドリッチ・ロアテラー(千菅 春香・桜咲 千依)/浅倉 杏美/平田 宏美
39 Tulip(Long Intro Ver.) 神原 大地/堀江 瞬/高塚 智人/矢野 奨吾/古畑 恵介/宮﨑 雅也/大塚 剛央
40 Trancing Pulse(Long Intro Ver.) Triad Primus(福原 綾香・松井 恵理子・渕上 舞)/C.FIRST(伊瀬 結陸・宮﨑 雅也・大塚 剛央)/ストレイライト(田中 有紀・幸村 恵理・北原 沙弥香)
MC MC FIVE STARS!!!!!
41 CRYST@LOUD FIVE STARS!!!!!
MC 最後のご挨拶                   FIVE STARS!!!!!
42 アイ MUST GO! FIVE STARS!!!!!