なぜ『魔神英雄伝ワタル』が掛軸になった?名作アニメと日本文化の融合に込められた真相を探る


なぜ『魔神英雄伝ワタル』が掛軸になった?名作アニメと日本文化の融合に込められた真相を探る

1988年放送のアニメ『魔神英雄伝ワタル』は主人公・戦部ワタルが異世界「神部界」を舞台に仲間たちとともに冒険を繰り広げるファンタジー作品。放送開始から35年以上経った今もなお多くのファンから愛され続けている。

そんな名作アニメをモチーフにした特別な商品が発売される。それが日本の伝統技法とコラボレーションした限定生産品の着彩水彩画の掛軸だ。ではなぜ『魔神英雄伝ワタル』が掛軸になったのか?この度関係者へのインタビューを行い、真相を探ってみた。

掛軸という形式を選んだ理由――時代を超えて残る日本文化との融合

『魔神英雄伝ワタル』の掛軸は、2025年7月12日から8月3日にかけて開催された「魔神英雄伝ワタル&魔神創造伝ワタル展」の目玉商品として制作された。

展示会をはじめ様々なイベントで『ワタル』という作品が放送開始から37年経てもなお根強い人気を誇っていることが改めて証明され、その中で「この先100年後も作品を残していきたい」という制作陣の強い思いから日本独自の保存性と美術性を兼ね備えた掛軸というフォーマットが採用されたと言う。

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担当者によると「数ある作品の中でも『魔神英雄伝ワタル』ほど掛軸という日本文化と親和性が高いものは他にはないと思いました。龍や鳳凰といったモチーフやダイナミックなシーンは、水墨画や金箔使いとの相性も抜群でした。」とのこと。

さらに、掛軸には巻いて収納する際にも絵部分同士が接触しない工夫が施されており、適切なメンテナンスさえ行えば何百年も保管できると言う。「長く愛される『魔神英雄伝ワタル』だからこそ、この形で未来へ紡ぎたい」と考えたそうだ。

今回、この着彩水墨画を手掛けたのは、日本画家として活躍する西嶋画伯氏。普段から龍や鳳凰など日本ならではのモチーフを描いている彼だからこそ、本商品のテーマ「龍王丸」を最大限に魅力的に表現することができた。

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西嶋画伯

水墨画×龍王丸――その特別感

西嶋画伯自身も、『魔神英雄伝ワタル』についてこう述べている。
「龍や鳳凰など、日本画でよく描かれるモチーフとの親和性が非常に高く、水墨画で描いても違和感なく仕上げられると感じました。特に白基調の龍王丸は、水墨技法による表現力が活きるキャラクター(魔神)でした。」

また、制作過程では細かな点まで注力されているといい、「龍王丸のマシンらしさを壊さず、それでいて迫力や勢いを出すため筆運びやタッチには特別気を配りました。一部には本金箔も使用し力強さと神々しさも表現しました。」と教えてくれた。

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このような緻密な筆遣いや素材選びによって完成した作品には、西嶋氏自身も深い思い入れがあるとのこと。「格好良く可愛い龍王丸、その最高のフォルムを愛でながら描かせていただきました。一緒に楽しんでもらえるとうれしいです。」

職人技による本格的な仕立て

製造工程では、日本国内でも有数の掛軸製造企業「偕拓堂アート」が担当。同社は長年培ってきた職人技術によって、一点一点丁寧に仕上げている。

そしてこの偕拓堂アートによれば、額装絵画とは異なる掛軸ならではの利点として次のポイントがあるという。

アクリル板がなく作品本来の色合いや風合いが楽しめること、本金箔部分は光加減によって輝き方が変わり美しい演出効果が出ること、巻いてコンパクトに収納でき、屋内屋外問わず飾れる汎用性があること、そして桐箱収納による湿気対策など高度な保存性能があることである。

また製造工程でも細部への配慮があり「裂地(表装用布地)合わせにもこだわり、本紙(絵部分)は本金箔押し加工済みです。この箔押し部分についても巻いたり伸ばしたりして剥離しないよう慎重につくられています。」とのことだ。

「魔神英雄伝ワタル 掛軸」は“未来へつながる“100年もの”

この商品化プロジェクトについては、ラフ段階から非常に高い精度で進行したという。通常は複数回修正するところ、一度目でほぼ完成形になったほどクオリティが高かった。ちなみに、この構図(金龍と鳳凰を背景に鳳龍剣を掲げる龍王丸)は完全オリジナルなので、この掛軸でだけしか見られないものとなっている。

さらに桐箱にも特別感がある。桐箱には西嶋画伯自ら手書きした箱書きとシリアル番号が入る。一点物として所有欲もしっかり満たす仕様となっている。

この「魔神英雄伝ワタル 掛軸」は、「名作アニメ」と「日本文化」の融合という新しい試みの商品である。その背景には、多くのクリエイターや職人たちによる情熱と技術の力がある。そして、それ以上に重要なのは「この先100年後まで作品を残したい」という願いだ。

掛軸は受注生産限定品となっており、受付期限は10月5日(日)まで。この機会を逃すと二度と手に入れることのできない逸品となる。“未来へ紡ぐ芸術品”として、「魔神英雄伝ワタル 掛軸」をご自宅のお部屋へ迎えてみてはいかがだろうか?

【受注生産】魔神英雄伝ワタル 掛軸
■A-on STORE
https://a-onstore.jp/shop/mashin-eiyuuden-wataru/kakejiku/
■プレミアムバンダイ
https://p-bandai.jp/item/item-1000234325/

取材協力:バンダイナムコフィルムワークス
(C)サンライズ・R

Yoshioka

著者 Yoshioka
オタク総研媒体統括 兼 株式会社オタクリエイト代表取締役。アニメ、テクノロジー(ガジェット)、コンテンツビジネス、システム開発などを取り扱っています。PRプランニングやIP調達、制作事業の統括も兼任。好きなものは新作アニメ、海外スマホ、東南アジア。