【解説】Switch 2、メルカリは“案の定”転売横行…明暗分けたフリマ各社の対応 ネット通販は抜け道か

昨日6月5日に発売された任天堂の新型ゲーム機「Nintendo Switch2」。発売当日はXトレンド首位になり、さっそく手に入れた方もいるなど大きな注目を集める一方で、近年の新ハードの課題ともいえる転売問題が早くも露呈している。
一部のフリマアプリでは希望小売価格を大幅に上回る出品が横行し、一部ネットショップでは組織的な動きも指摘されている。本稿では、事前に公表された各社の対応方針と、発売後の実態を整理する。
フリマアプリ各社の対応:メルカリは「出品禁止」ではない
すでにソーシャルメディアやニュースでも大きな話題となっているSwitch2の転売問題。特に個人間(CtoC)の取引が中心となるフリマアプリでは、各社の対応に違いが見られる。
任天堂は発売に先立ち、株式会社メルカリ、LINEヤフー株式会社(「Yahoo!オークション」「Yahoo!フリマ」を運営)、楽天グループ株式会社(「楽天ラクマ」を運営)と連携し、不正な出品行為の防止に取り組むと発表。各社の利用規約に違反する出品に対しては、能動的な削除対応や情報共有を含む連携体制を構築するとしていた。
しかし、発売日を迎えると、メルカリと楽天ラクマでは「案の定」と言うべきか、定価を大幅に上回る価格での出品が多数確認された。確認する限りでは、発売直後から7万円から10万円といった定価の1.2倍〜2倍の高値で取引されるケースが後を絶たず、すでに「SOLD OUT」状態も存在している。
これらのプラットフォームは、発売前の段階で「出品一律禁止」という措置は取っておらず、あくまで「不正な出品」への対策強化というスタンスだった。これが、結果として発売直後の転売行為の横行を許す一因となった。出品ページの中には「不要になったため」「余分に当たりました」といったそれらしい理由をつけているものも存在するが、定価(希望小売価格)以上の価格を設定することが疑問視されていた。
なかでもフリマアプリ最大手のメルカリでは批判が集中しており、5日午後のXトレンドには「メルカリ」が2位にランクインしたほどだった。
同社は先日の発表にて具体的なアクションとして「任天堂と協議の上(中略)利用規約に違反する出品への削除対応の強化および実施」を明言した。ここでの利規約違反とは「手元にない状態での出品」「誤解を招く説明」「WEBサイト等から商品画像を転載」などが該当しており、Xではユーザーの間で通報の呼びかけが行われている。
一応、関連する商品ページに「本商品は、価格が急騰している可能性があります。ご購入においては冷静なご判断をお願いいたします」とのメッセージが表示されるようになっているが、根本的な対策とは言えず、火に油を注ぐ形となっている。

一方で、LINEヤフーが運営するYahoo!オークションやYahoo!フリマでは、「当面の間は出品禁止」という、より踏み込んだ対応が講じられている。実際に「Switch2 本体」などのワードで検索してみても全く本体出品は存在せず、口先対応ではなかったとして、評価する声が上がっている。同社が説明する「当面の間」の具体的な期間は不明ではあるが、それでも他のプラットフォームとの対応の差が浮き彫りになった。

ネットショップの動向:高額出品の温床か
こうしたフリマアプリでは個人間の取引が主となっているのに対し、ネット通販サイトにおいては、法人格を持つ事業者による高額出品が確認されており、特段の規制がないことから「抜け道」とも指摘されている。

例えばLINEヤフーの場合、先の「出品禁止」はあくまでオークション、フリマサイトにて適用されるもので、BtoC(会社→顧客)サービスである「Yahoo!ショッピング」ではそれらは適用されておらず、他の「楽天市場」「Amazon.co.jp」などとともに出品されている現状がある。
これらの出品のほとんどは法人によるもので、出店には法人登記や厳しい審査、そして月額数万円〜数十万円単位のショップ維持費が必要となる場合が多い。個人が容易に参入できるフリマアプリとは異なり、組織的なプレミア価格での販売の温床となっている可能性も存在する。
発売前から予約品と称して定価を大幅に超える価格設定で出品する例や、発売後は品薄につけ込み、マーケットプレイス型の出品で高値を付けるケースは今回に限ったことではないが、フリマアプリにおける個人間の取引とは異なるため、事業者としての責任が問われるべきとの声も強い。
プラットフォーマー各社の対策強化はもちろんのこと「正規以外では買わない」を消費者側で徹底するなど、冷静な購買行動も求められる局面となっている。今後の市場の動向と各社の対応が引き続き注視される。